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第32話 アランと一緒

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アラン目線

今朝も、チマリと一緒に、食事をとり、
朝の支度を済ませるまで、一緒に、
いた。
午後から、来客の事で、護衛や会場の
警備体制の確認など忙しく、昼食が
とれなかった。
チマリには、それとなしに、
言ってあったので、少しでも、
自分で食べるように、言ってあったから、
心配だが、大丈夫なはずだ。

思っていたより、警備体制の見直しや、
書類に、時間がかかり、帰れたのは、
翌朝だった。
仮眠をとり、また、仕事に行くつもりで、
彼女の、部屋を覗いてみた。

ボーっとして、起きていた。
「チマリ。今日も、少し遅くなり
そうだから、自分で、食事をしてくれ。
すまないな。」
かすかに、頷いて微笑を浮かべてくれた
気がした。

「行ってくるよ。」

4日かかって、やっと、ひと段落、
ついた。
今日は、久々に、チマリと、ご飯を
食べようと思い急ぎ足で、部屋に
行くと、チマリのご飯は用意されていた。
リマーユ様がいた。
俺が、あげていたやり方で、
食べさせようとしていた。

スープに、果実汁、肉を小さく切った
ものだった。
俺がいなくても、大丈夫だったんだ。
自分だけが、信頼を得ている、錯覚
していた。思いあがっていた。

リマーユ様は、チマリとなら、
結婚をしたいと言っていた。
王子の立場なら、チマリも、多少
安全なのか?
俺が、守りたかった。
この俺のチマリヘの、気持ち、
なんだったんだろう。
まだ、引き返せれる。
まだ、大丈夫だなはずだ。
彼女を守るのは、俺じゃなくても、
大丈夫だ。
俺は…。とうぶん、立ち上がれない。

俺は、こんなに、ウジウジした男
だったのか?
頭を冷やそうと、部屋から出ようとした、
「行かないで。」
か細い声で、呼び止められた。

顔はにているが、リマーユ様からは、
あんな可愛い声は出せない。
とすれば、残る可能性は、
可愛い声の正体は、チマリ。

身体から力が、みなぎるような気が
した。間違いでない事を、
祈りながら、素早く振り返った。
「ど、どうか、なされましたで、しょうか?」
「アラン、なんか、話し方、
明らかに、おかしくないか?」

「おかしくないです、よ。リマーユ様、
おかしい事、いいますね。そんなことより、
イカナイデ。と可愛い声で、
おっしゃられたのは、そ、その、
チマリ様でしょーか?」
「はぁー。」
リマーユ様が、呆れていたが、そんな
ささいな事は、どうでもよかった。
重要な事は、チマリが、俺を、
呼び止めたか、どうかだけだ。
「あ、あの、一緒に…。」
ゴホッゴホッ。

チマリは、かすれた声で、話し始めたが、
咳き込んでしまった。
思わずかけより、リマーユ様そっちのけで、
チマリの、背中をさすり、クッションの
位置を変えて、持たれやすくし、
座らせた。

リマーユ様は、呆れながら、
「おまえが、いない間、チマリは、
食事を手につけなかった。おまけに、
俺が食べさせようとしても、拒否した。」
俺は、チマリみると、チマリ居心地
悪そうにしていた。
「チマリに、何か、言ったのか?」
何か?ちゃんと、食べるようには、
言ったはずだが、どういう事だ?
「特に何も、言わなかったが、
俺がいなくても、食べるようには、
伝えたはずだ。」

「ご、ごめんなさい。アラン隊長が、
いないと、怖くて……。」
俺が、いないと、怖い?
俺が、怖い、じゃなくて、
いて欲しいって事だよな?
「アラン、だらしない顔だ。あーあ、
この俺が、こんな茶番に、付き合って
られない。アランの顔溶けきる前に、
出て行くよ。」
「お城からは、出ないで下さいね。」
パタン。

部屋に、チマリ、俺だけが、
取り残された。

「4日?俺が、一緒に、ご飯を
食べれなかったのは、4日だよな?」
「たぶん、そうだと、思います。」
「食べれなかったのか?体調が、
おかしかったのか?」
しばらく、考えていたチマリは、
「他の人じゃ嫌だったんです。」
期待している、自分がいた。
「アラン隊長じゃないと、怖くて、
また、毒を盛られたらと、思うと、
食べれなくなって、しまったの。」
小さな声で、何度も、ごめんなさい。
と謝っていた。
「すまない。1人にして、悪かった。」
「これからは、俺が、そばに、いるから、
安心しろ。」
「はい。」

そのあと、仕事の事で、俺を呼びに
来るまで、チマリと、一緒に、いた。
俺は、仕事を、忘れていた。
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