上 下
26 / 64

第26話 治療

しおりを挟む
寒い。身体が燃えるように、熱いのに、
なぜか、寒いし、身体のあちこちが、
痛い。苦しい。
お父さん、お母さんが、いる。
あれ?
痛みが、和らいだ?
「チマリ、こちらに来たらダメだ。」
お父さん、なんでダメなの?
「チマリ、ごめんね。」
お母さん、なんで謝るの?
「もう、お戻り。心配してくれている
人たちが、いるよ。」
嫌だ。私もお父さんと、お母さんと
一緒にいたいの。
心配してくれる人なんか、いないよ。
「ちゃんと、あなたの事、思ってる
人はいるのよ。ただ、方向性が、
違うだけで、皆、少しだけ、
勘違いしてるだけ。」
お父さんとお母さんみたいに、
話し合ったら、いいのにね。

私なんか、心配する人は、もう、
いないよ。
心配してくれたと思ってたら、
仕事だから、そばにいてくれた
だけだった。
「しあわせになって。」
お父さんとお母さんは、
薄れてきました。
「私、嫌、死にたい。連れて行って。
置いていかないで。」

アラン目線

青あざだらけで、傷だらけの
少女。
リマーユ様に似た、少女。
リマーユ様の身代わりを
してくれていた少女。
死にたがっている。
何者かに、襲われたのか?
栄養失調状態。

この子が、俺の手を、
握ってくれていた、
俺が助けた少女。

なぜか、ぽっかりと、
忘れていた。
頭と全身を強く打って、
意識がなかったのに、
少女の事は、なぜか
頭から、離れなかった。

名前が、思い浮かばないのが、
残念だ。
ストルグ王子は、知っているのに、
肝心な名前は、教えてくれなかった。
何を忘れてしまったんだろ。

身体のアザ。
打ち身とは、違う
右肩の2つのアザ。

この方は、まさか。

この記述どこで見たんだったかな?
図書室?報告書?記録書?過去帳?
貴族年間。
とりあえず、貴族年間、18年前
何が、あったか、調べなおさないと、
頭が、痛い。

リマーユ王子

成人の儀は、終わった。
合わせの儀は、体調不良で、
延期。
今のうちに、たくさん
調べ物をしようかな。
勉強嫌いなのに、文字を
見ると、なんだか眠くなるのに、
今日は、好奇心が強いからか、
ちゃんと、起きてる。
しおりを挟む

処理中です...