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第16話 夜更け

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チマリ目線

最近、逃げる意思が私にはない、って
思われているのか警備体制が、以前より、
ゆるくなったように、感じます。
慣れとは、恐ろしいです。最近では、
気にならなくなってきたけど、私の、
部屋の隅には、椅子があり、寝ずの番の、
メイドさんが、います。
最初の頃は、何を話しても、無言だし、
すぐ顔を赤くし、無言の怒りを、
向けてくるメイドさん。

寝ずの番の間、ずっと立ってるんです。
夜中に、目が覚めた時、立ったまま、
ボーっと浮かび上がる人影をみて
びっくりして、声も出かなった時が
何度もあります。
しかも、睨みつけるような目で、
こちらを見てるんです。
あの時は、かなり、怖かった。
怖い時は、本当に、声が出ないんだなぁ
とあらためて知りました。

自分なりに妥協案として、部屋の隅、
いつもメイドさんが立っていた位置に、
小さなティーテーブルと、椅子を
移動させ、メモに、
~~~~~~~~~~~~~~~~~
いつも、お疲れ様です。
毎日、ありがとう。
身体を冷やさない様に、
膝掛け使って下さい。
夜中、好きな本や、趣味など
あれば、してね。
明るくしても、寝れるから。
ハンドクリーム、よければ、
使ってみてね。
クッキー、おすそ分けです。かまー。
可能なら、私とあなたで、
言葉を交わせれば、うれしいかも。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
椅子に膝掛けと、小ぶりのクッション。
ティーテーブルに、ランプと
ストルグ王子に頂いた、クッキー。
手荒れがひどいメイドさんが、
多いので、ハンドクリームも、
置きました。
読みやすそうな、恋愛小説や、
料理、編み物の本を数冊、
図書室から借り、数冊置きました。

その夜、私が初めてきた日に、
寝ずの番をしていた、まだ、年若い
素朴で、かわいいメイドさんでした。

メイド目線

私は、15歳で、まだまだ新人ですが、
本来なら、ありえないらしいですが、
ひと月前、大出世しました。
この国の第2王子、リマーユ様の
お世話をするメイドとして、
新たに配属された3人のメイドの
うちの、1人です。
平民出身で、私は長女、2人の弟が
います。
もともとは、住み込みでこのお城の
洗濯メイドとして、成人後、私は、
働き出しました。
今日、3回目の寝ずの番。
あまりの人気ぶりで、メイド長が、
順番で、各、朝昼夜の支度係、
寝ずの番、4パターンで、皆平等にし、
体調不良などの特別な、理由がない時の、
仕事の入れ替わりは、禁止。

リマーユ様付きのメイドは、約30人弱
昔から、行儀見習いの貴族層の
メイドばかりで、結婚を理由に、
入れ替わりが、激しい職場だった
そうです。
噂では、かんしゃく持ち、二重人格、
とかで、入れ替わりが激しいと、
聞いたことがあります。
誰のことだろうって思うくらい、
リマーユ様は、優しいです。
いつも、気遣ってくれますし、
給仕する時にも、「ありがとう。」
って言ってくれる、すごいお方なんです。
最近の、リマーユ様は、表情が、
柔らかくなったと、先輩のメイドが
話していたけど、もともとを、
知らないから、儚げな笑顔、
優しい表情は、初めて顔合わせした時
からでした。
着替えや、入浴には、メイドを寄せ付けず
ご病気になられてからは、ますます、
儚げで、アラン隊長が、そばに
いると、まるで、美女、美少年と野獣、
です。さらに、儚げに見えます。
噂では、着替えや、入浴時に、
先輩メイドに、食べられかけたことが、
あるからとかで、リマーユ様が、
入浴時には、近づかない。
着替えなどの準備だけする事って、
暗黙のルールまで、出来ました。

服の好みも、変わられたそうで、
肌を見せない服、首元が詰まってる服や
わりと、かっちりした服をお召しに、
なられるから、さらに、儚げに見え、
他の使用人からも、人気急上昇です。
あと、4日で、リマーユ様の、
成人の儀、あわせの儀(婚約者との、
初顔合わせ)です。
衣装の厳重な保管、服のお手入れ、
好みの服や、靴を、選びやすいように、
クローゼットルームの手前に、配置換え
したり、最近、ずっと忙しかったわ。
ガチャ
部屋に入室すると、いつもの場所には、
椅子や毛布?今までなかった、
ティーテーブルには、クッキーと、
数冊の本、お手紙。
リマーユ様から、私へのお手紙。
すごく嬉しい。
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