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第15話 練習再開

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体力は、戻りきらないまま、儀式の練習は
再開され、衣装も、着々と作られて、
いきました。
胸に布を巻いて、男っぽくしました。
体型は、ほぼ一緒くらいだと、教えて、
貰いました。
たしかに、以前から、作られていた衣装も、
普段着も、ほぼ一緒でした。
多少、大きめですが、病気で、痩せたので、
周りからは、変には思われないはず。
痩せたからか、メイドさん達からは、
相変わらず無言で、たまに、ため息を
つかれる事も、多くなりました。

病み上がり後で、変わったと言えば、
お茶の時間には、今までなかった、
サンドイッチや、バターたっぷりの、
小さめのパンケーキや、
濃厚な味わいのクッキーが増えました。
「美味しい。ありがとう。」
「あっ。」
メイドさんは、口に手を当て、顔を
赤くし、頭を下げ下がっていきました。
また、だ。
そろそろ、言っていいよね。
でも、身代わりだし、リマーユ様は、
おとなしい性格のリマーユ様だった
みたいだから、やはり、言えない。
ガチャ。

「我が麗しの弟リマーユ。お兄ちゃま
だよー。」
私は、立ち上がり、頭を下げました。
「固い。固すぎる。ここは、お兄ちゃま、
かストルグお兄ちゃま、大好きって、
抱きつくとこだよ。」
「いつも、してる事なのに、忘れたかなぁ。
忘れん坊の、かわいいリマーユ。」

「恐れながら、ストルグ王子、わたくしは、
一度も、そんな場面を見た事が、
ないんですが、なんででしょうか?」
「うーむ。固いのが、増えた。元凶か。
アランがべったり、ベトベトについてるから
アランの固さが、我が麗しの弟リマーユに
移ったかもしれん。」
「はいはい。」
……。
「なげかわしい。しかも、冷たい返事。」
「アランが冷たいし、働け働けで、身も
心も、ボロボロだ。ここはひとつ、
我が麗しの、かわいい弟に、慰めて
もらおう。さあ、お兄ちゃまの胸に、
さあさあ、早く、おいで。」
……。
「ストルグ王子、寝言は、寝て言えです。
リマーユ様、気にしないで下さいね。」
私は、アラン隊長の笑顔を、見て、
微笑んだ気がした。
「はあ~。昔は私が、トイレに行くたびに
お兄ちゃま行かないでぇ。って、可愛く
泣いていたのに。はあ~。」
「記憶に、ございません。」
「だから、なんで、さっきから、全部
アランが答えてるの。せっかくの
兄弟の会話だのに。」
「わたくしも、乳兄弟ですので、兄弟の
会話に参加してるだけです。えーと、
ストルグお兄ちゃま。」
「す、すまない、やめてくれ。
アランから言われたら、破壊力が、
ありすぎだ。お兄ちゃま発言は、
かわいいリマーユ限定だ。」
ぷっぷ。
「す、すみません。つい。」
「おぉ。我が弟が、かわいい笑顔で、
笑ってるぞ。お固いアランくん。」
「はい。かわいいですね。ストルグ
お兄ちゃま。」
私は、笑いを堪えていました。
「ストルグお兄ちゃま、アランお兄ちゃま
なんだか、いいコンビですね。」
「「やめてくれ。」」
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