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第5話 私が、ですか?

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私は、何のために、生き残ってしまったの?
繰り返し見る、両親の亡くなった瞬間。
なぜ、私だけが?
もう、眠りたいのか、目覚めたいのか、
よくわからなくなってきたわ。
ん?
起きても、あれ?私さらわれたよね?
このまま、寝てようかな?
あー。もう、うじうじしてる私、
こんな私は、「イヤー。」
ガバッ。
「どっ、どしたんだ?大丈夫か?」
えっ?なに?えっ?
「なんなの?」

ドタドタドタ。
「たいちょー。取り込み中ですかぁー?」
「隊長、何したんですか?」
「アラン?」
……。
「王子?お前たちまで……。」
「アラン。いくら、私のリマーニに似て、
かわいいからって、だめだろう。」
「たいちょー。」
「隊長、色々、アウトです。」
……。
「な、何だ?俺は、まだ、何もしてない。」
「「まだ?」」
「アウトです。隊長。」

「あらためまして。かわいい、お嬢様。
私の弟のリマーニに似ているね。
私は、この国、ルクス国の
第1王子ストルグ・ルクスだよ。よろしく。」
「ルクス国の王子?弟?」
ストルグ王子とアウト?なアラン隊長?
何が、おきてるの?
「私の弟が、行方不明になって、もう1ヶ月
経つんだが、まだ、搜索中なんだ。」
「私のかわいい弟リマーニに、間違えられて
連れてこられたのが、君なんだ。」
「とても似ている。すまない。」

「私は、どうなるんですか?」
「女性の、君には悪いが、弟が、
見つかるまで、弟のフリをしてほしい。」
「役目が、終われば、どうなりますか?」
「大役を終えたら、君のしたい事を、
応援するよ。欲しいものが、あれば、
褒美として、私が出来る範囲でするよ。」

「希望は、持ちません。どちらにしても、
逃げれないしお受けします。」
こんな、大役、身代わりなんて、たいがい、
役目が終われば、用済み。
出来れば、一瞬で、殺してもらえれば、
楽だけど、寝てるうちに、亡くなるのも、
ある意味、夢だわ。

「役目が終われば、出来れば、"痛み"が
ないように、お願いします。」
「痛み、ね。あいわかった。ところで、
君の名はなんていうのかな?」
やはり。消されるのね?

「役目が、終わればすぐ消えるんですし、
名前はいらないでしょ。いつから、
演技したらいいですか?」
「なんだか、寂しいこと、言ってるね。」

ストルグ王子目線
「今からしてもらおうかな?」
いい事思いついた。
リマーニに似てかわいいし、女の子の事、
もしかしたら、もしかだし。
アランは、この子を気にしてるし。
本物のリマーニが、見つかるまで、
さみしいけど、この子もいいな。
「さぁ、いつも通りに、ストルグお兄ちゃん
の所においで。さぁ。はやく。」
私は、アランを意識しながら、わざと、
リマーニ似の女の子を抱きしめた。

「お兄ちゃんだよー。一緒に、ご飯を
食べて、一緒に、寝ようね。あっ、
久々に、お風呂も……。」
彼女は、首をプルプルふっていた。
アランは、握りこぶしを作り、何かを
がまんしている様子だった。
お風呂と、言ったら、にらんだし、
わかりやすい。
楽しくなりそうだ。
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