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7、おっチャンと副団長

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おっチャンだった、ナオキは驚いていた。
国境に建てられた、堅牢な建物。
眼下に広がる景色は、遠目からでも
かなりの広さがある建物と石造りの
塀があった。
大きな魔物対策なのか、塀の高さは
かなりあった。
ビルにしたら余裕で10階相当はありそうな
高さで、ちょっとやそっとでは壊れなさそうな
塀と建物。
建物も無骨な感じで、どっしりしたかまえ、
色はコンクリートっぽい色だ。
お国柄なのか、門兵まで巨体の持ち主が
多く、遠目でも威圧感は半端なかった。
堅牢な建物からは、いくつかの道が
整備されておりポツポツ見えるのが、
村や町なんだろうと思われた。
門の向こうには、簡易的なテントを
張っている者、馬車や馬車のように
獣がひいている帆付きの車?というのか
それらの列とは別に、徒歩専用なのか
様々な格好をした者たちが、
長蛇の列をつくっていた。

"すごい異世界様々やなぁ。"

空から降り立つと建物の屋上だろうか?
大型スーパーの駐車場のように、
だだ広い場所があり、所々に下に降りていく
階段が付いていた。
ハロルドさんは、王城に討伐終了の
報告があるとのことで、他の竜騎士、
黄色の竜騎士団の団長と青の竜騎士団の
団長の3人で再び空に舞っていったのだった。
「夕食には戻る。待っていてくれ。」
ギュッと一瞬強く抱きしめられた
ナオキは、固まった。
ハロルドさんに言われたあと
赤竜騎士団の副団長に預けられ俺。
竜からお姫様抱っこで降ろして
もらったのだが……。
ハロルドさんたちを見送ったあとも
しばらくの間、地に足をつけた俺の足は
カクカクしていた。
竜、騎獣。
楽しかったのだが乗馬の後のように
思いのほか疲れていたのだ。
歩くのがやばい。
しばらくじっとしていたかったので
屋上の上から、長蛇の列を眺めていた。
"ケモ耳、おぉぉぉ……リアル、ケモ耳!!"
ナオキは心の中で叫んでいた。
くまっぽい大きな獣人族なのか、
その前にいたこの世界で初めてみる女性、
女性のうさぎの獣人族、横にいるのは子ども?の 
獣人族なのか?"めっちゃ可愛い。"
お行儀よく縦一列に並んでるいた。
「あっ、あれ?」
前にいるうさぎさんから、荷物取った?
前にいるうさぎさん、気付いてないよね?
くまっぽい大きな獣人族は、しれっと
しながら自分の荷物に入れたよ。
あ、あれは、まさか……。
「どうした?」
「あ、あれ。」
俺は、指を指しながら、クマっぽいのと
うさぎの獣人族の母子の事を、
しどろとどろで、副隊長に説明した。
副隊長は、素早く後方に控えていた人に
伝えたのか、あっという間にクマっぽい人と
うさきさんの所に、屈強な兵2人が行った。
少し暴れたものの素早く捕獲、
うさぎさんに、盗られたと思われる
巾着を返す兵。
ほんの数秒に思われた。
「は、早い。」
「我が赤竜騎士団の前で愚弄なヤツよ。」
「…かっこいい。」
「……。」
副団長も、兵士?さんもかっこよすぎる。
あっ、そういえば此の建物もかなり
高さがあるけど、伝令?早すぎない?!
皆、優秀すぎるよ。

副団長に連れられ、広すぎる部屋
応接間っぽい部屋に連れてこられたのだった。
必要以上喋らない茶色の竜に乗っていた
副団長もたくましくイケメンの部類に
入る人だった。
会話が続かない…沈黙に耐えれず
どうでもいい会話でもしたくなったナオキ。
「質問、ええかなぁ?」
「ああ。」
副隊長が頷いたのを見た後、ナオキは
何気ない疑問を質問した。
「竜騎士団の入隊規則に、イケメンで
ある事ってゆー決まりでも、あるんか…
あ、あるのですか?」
彼はフッと柔らかな表情で
「ないな。.」
そう言いながら、俺の頭をポンポン、
ポンポンポンポンポンポンポン……。
ポンポン長いわぁってツッコミしたいくらい、
頭のポンポンは終わりそうになかった。
「髪の毛がぐちゃぐちゃになってまうし
…なぜ、俺は頭をぽんぽんされとるんですか?」
「ナオキ……可愛い。」
にっこり笑う副団長。
「…お、おおきに、ありがとう。」
「ああ。」
出会った頃からあまり表情が変わらない
副団長の貴重な笑顔を何度も見ている
ナオキだった。
ナオキはそれに気づかないでいた。
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