『天空の島』アリス王と眷属の騎士団~前世での行いが評価され転生する際の善行ポイントが信じられないほどあったので天空の島と城を手に入れた結果~

福冨月康

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第7話

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 ステータス向上の喜びに包まれてしばらくボーっとしていたが、いつまでもそうしているわけにも行かない。
 
 俺はこの世界で後悔のない自由な第二の人生を歩もうと決めていたのだ。
 その目標に向かって進まなくてはなるまい。

 もう俺は有栖類ありするいではなく、ルイ・アリスなんだ。

 ダンジョンコアデミゴッドソウルとの融合最終工程を終えて、ダンジョンを運営する基本的な知識も得ている。
 さっそくやるべき事をやろう!



□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■



 ……。

 何しよう?

 えーーーっ、とっ……。

 ……ムムム……。

 ……。

 おうふっ!

 こんなところでマニュアル人間としての弱点が出るとは!
 自ら考えても行動にはなかなか移さない!
 受身人間の俺の弱点をいきなり付いてくるとは!

 この世界もなかなかのハードモードのようだな!

 しかしさっきまで世界に対する感じ方が変わったとか、強者の余裕的な感覚とか言っていたが……。
 ぜんぜん変わってないな俺!

 自分の事ながら赤面するほど恥ずかしい。
 舌の根も乾かぬうちにとは、この事だな。

 まあいい。
 そんな事よりも今は当面の行動指針の決定だ。

 長期目標としては、後悔のない自由な第二の人生。
 言ってみれば、幸せで自由な人生って所かな。

 しかし、短期の目標は生存か?
 嫌に生々しいな……。

 その為には、まず情報収集かな?
 ここで俺が行なうべき行動は知的生命体との遭遇か?
 いや第一異世界人の発見と言うべきか。
 
 それと生活の安全・安心・安定の確保。
 安心して寝泊りできる場所……ダンジョン。
 いざというとき安全な場所……ダンジョン?

 そもそもダンジョンって安全なのか?
 考えてもしょうがないか。
 他にいく当てもないし、あっても行く気は無い!

 なぜならここが俺の城だからだ!

 俺、城持ち。
 おお、何か誇らしい気分になってくるな。

 前世はアパート暮らしだったが、俺もようやく自分の城を手に入れた!

 まあそれよりも今は安全の確保が問題なわけだが……。

 ダンジョンゆえに敵の侵入は十分考えられる。
 むしろ冒険者とかがお宝目当てで来るのは、当然と考えた方がいいだろう。

 ……って言うより、俺の成長の為には人間おびき寄せて戦わないといけないんだった……。
 その問題もどうしようか?

 でも『転生の間』で選べる能力に勇者なんてものもあった。
 場合によってはそういう能力を持つ存在が、この世界に転生している可能性もある。
 生まれたばかりの俺よりも強者がいる事は、考慮すべきだろう。

 そんな存在に侵入されたらどうしよう?
 なるべく敵対しないように話し合い?
 話し合ってくれるか?

 それとも対抗すべきか?
 仲間を作れば対抗できるだろうか?
 どちらにしろ仲間は欲しいが……。

 情報が何も無いので考えていても分からない問題だな。
 生存に関わる問題もあるから、情報収集は優先事項にしておこう。

 生存と言えば、生活の安定として継続した食糧確保も必要だな。

 動物は見なかったけど、この島にいるのかな?
 たしか森はあったはずだけど、そこに木の実とか無いのかな?

 ダンジョンコアに『遠見』のスキルを使えば、領域内である天空島はどこでも映し出せるはずだ。
 取り敢えず見るだけ見てみようかな。

 『遠見』の使い方は……うん、分かる。
 俺とダンジョンコアデミゴッドソウルとの融合最終工程でそのあたりは俺の中にきっちりと刻み込まれているようだ。

 初めてのスキル使用。
 緊張するけど、ワクワクするものだな。
 いつまでも勿体つけるものでもないし、では、さっそく……。

「えっ!」

 『遠見』をダンジョンコア越しに発動しようとしたら、急に胸の辺りが光りだした。
 スキルを使用する時って胸が光るのか?
 あっけに取られていると光が更に強くなる。

「はへっ?」

 おもわず呆けた声を出してしまう。
 しかしそんな俺の戸惑いなどとは関係なく、光は強くなったり弱くなったりを繰り返す。

 しかもこの光がはじまってから、自分が何かに呼ばれているような感覚がして落ち着かない気分になる。

「あっ……」

 そこでやっと俺は思い出した。

 急いで内ポケットの『眷族の卵』を見る。
 そこには予想通り輝く卵が……一つ?

 ダンジョンコアデミゴッドソウルに引き付けられた時よりは格段に弱い力ながら、この卵が俺を呼んでいる。

 直接触れてくれと呼んでいる。
 理屈は分からないが、それがはっきりと分かる。

 俺は慎重に、光る『眷属の卵』を手に取る。

 すると、卵を持つ手が熱くなり光の輝きが強まる。
 と同時に、卵が脈動を始める。

 ドクン、ドクンと、命が注がれる。

 ……いや、待て、何だこれは?
 本当に命が、いや魂が注がれているぞ。
 俺の中の魂の一部が注ぎ込まれる。
 たぶん間違いない。

 初めてであっても、献血で自分の血が抜かれている瞬間、何が抜かれているか解らないという者は殆どいないだろう。

 まさに今そんな感じだ。
 魂の一部が抜かれているのが解る。

 それは自分の事ながら、幻想的な光景でもある。

 『眷属の卵』へ向かって、虹色に輝く光が注がれていく。
 これが俺の魂の一部なのだろう。
 ダンジョンコアデミゴッドソウルが最初に見せた虹色より、柔らかく優しい色だ。

 元々あった俺の魂とダンジョンコアデミゴッドソウルの虹色に輝く力の混ざった、いまの俺の魂の色……。

 そんな俺の魂の力の一部が『眷族の卵』に注がれているのだ……。

 しばらくすると、俺から光が向かうのと同時に、卵の側からも真珠色の光が還ってくる。

 その瞬間。
 俺の中の何かが、卵と繋がった。
 ……いや、何かではない。

 魂が繋がった!

 俺の魂の系譜が生まれたんだ。

 自分の子供が生まれれば、どの母親だって解るだろう。
 恐らくそれと似ている。
 いやそれ以上に深く深く感じる。
 眷属との繋がりを……。

 と同時に、虹色の光がより強く輝き……ゆっくりと収束して行く。

 ……そしてその光が収まった中心には……頭を下げながら跪く眷属がいた。
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