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痛みと目覚め
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目が覚めると知らない天井だった。
そんな経験中々ないし、少なくとも私は今までそんな事なかった…今日この時までは。
取り敢えず体を起こそうとして…全身に激痛が走った。
そういえば拠点の目の前で力尽きたんだっけ…ならここは医務室か?
取り敢えずチョーカーに空間魔術かけとくか。魔道具のお陰でばれてはないと思うが…ペンダントに貯めといた魔力殆ど尽きてるし。ついでに魔力補充しとくか。何かあっても面倒だし。
というか獣化したままなんだが…運ぶの大変だっただろうな。人の姿に戻ろうとしたがなんせ体が痛んでそれどころじゃない。
仕方なく人の姿になるのを断念し、せめてもの情けとして半獣化の姿になる。こっちになるのはそんな意識しなくてもいいからね。
痛みがなるべく出ないように体を起こす。部屋の中には私しか居ない。まあ暗さ的に夜中だろうし当然か…というか、私が気絶してからそんな時間経ってないのか?
流石の私も丸一日寝てたってことはないだろうし。
ベットから足をだし立ち上がろうとする。痛みが走るが無視して立ち上がる。脇腹が特に痛む。見ると痛々しく火傷の跡が残っていた。
そう言えば…意識が朦朧とする中、近くにいる人に傷口燃やしてくれって頼んだ覚えがあるな。
あのままだと本当に出血死する可能性があったが、実行した人には申し訳ないことをした。
ゆっくり外に向かう。
キーカル先輩とガリウス先輩の気配が外にある。何かあったのだろうか?
今の私には何も出来ないが、魔物の気配はしないんだよな…私の感覚が鈍ってるだけなのか?
外に出ると先輩達が無線機を片手に固まっていた。
何してるのだろうかと近づくとこちらに気付いたのかこちらを向き…すごい顔をされた。
「ライ!?目が覚めたのか!?てかなんで起きてんだよ!」
「ライ!なんで読んでくれないの!?近くにベルあったでしょ!?」
「痛い痛い!先輩!痛いです!」
私を見た瞬間駆け寄って足やら背中やらを触ってくる。無事かどうかを確信してくれているのはわかるが…なんせ痛い。
痛みで涙目になりながらも叫ぶとはっとしたように手を離す。
にしても先輩達は何をしていたのだろうと思っていると無線機から声がする。
「ライですか?今キーカル、ガリウスから報告を聞きました。魔物の食い止め、お疲れ様です。目が覚めたようで良かったです」
「…総長!?」
今度は私がびっくりする番だ。なんで総長!?
「今班長会議中でして。カールも居ますよ」
「カールだ。ライ、怪我は大丈夫なのか?報告だとかなり酷いと聞いたが…聞こえてくる限りだともう自力で歩けるのか?」
「あぁ…お疲れ様です。怪我は…まあ少し痛みますがその内回復すると思います」
なんて言うとガリウス先輩が怒ったような顔で背中を触ってくる。
途端に痛みが強くなる。立ってるだけでもやっとなのに痛みが増したらその場で崩れ落ちるしかない。
味覚で言うと十辛のカレーにさらに唐辛子を入れた感じ。痛すぎて逆に何も感じないまである。
「うぅ…ったい…ガリウス先輩…何故…」
「全然駄目じゃん。大人しく寝ときなよ」
移動する分には大丈夫だと思ったんだけどな…
なんて言う呟きはしっかり聞こえていたようでカール班長とジーク総長の怒った声も聞こえてくる。
「移動はできても触られたぐらいでそんな痛むんだったらガリウスと言う通り寝とけ」
「はぁ…聞いたところ、そちらにはタイミング悪く聖女様が居ないようなので明日の朝こっちに戻ってくるよう二人に言っておきました。それまで大人しく寝ときなさい。総長命令です」
「…了解、しました」
流石の私も総長命令に逆らう程の度胸は持ち合わせてない…というか基本私は命令には背かない…筈だ。
えっちらおっちら元来た道を戻ろうとするとキーカル先輩に背中を見せられる。
「…?キーカル先輩?」
「乗れ。さっきの様子だと立ってるだけでもしんどいんだろ?」
「…すみません。助かります」
所詮おんぶというものをされる。キーカル先輩に持たれてる足とかがめっちゃ痛いが自分で歩くよりは全然マシだ。
「…すまないな」
「何がですか?」
「今回、こうなることは予測できた筈だ。にも関わらず俺らはライ一人に任せた。俺らのどちらかが残ることも出来た筈なのに。第一班にめ関わらず選択を誤った。今回は運が良かったからライが生きて帰ってこれたが運が悪ければ死んでいたかもしれない…本当にすまなかった」
「別に恨んでませんが…それに私も、私一人が残ることに賛成でしたし。そもそも帰る道を把握していないことを忘れていた私も悪いです。お互い様です」
「だが、「でも…」…」
「でも、どうしても先輩達が納得できないと言うなら怪我が治った後にでも…三人で食べに行きましょ…食べ放題で」
「…ああ…幾らでも奢る」
「楽しみです」
なんだかんだ三人で食べに行ったことは無かったからね。一度は行ってみたいと思ってたんだ。
まあ私は全然気にしてないし、育ちが育ちだから死ぬ覚悟はとっくにできてる。
生死については運命のなすがままってところもあるしな…勿論、出来るだけ死なないようにはするけど。
医務室に着きそっとベットに座らされる。そのまま流れるように横にならされる。
横になるとやっぱり体力は回復しきってなかったのかすぐに眠気が襲ってくる。
ペンダントの魔力補充しといて良かった。何て思いながら先輩の話し声をBGMに眠りについた。
そんな経験中々ないし、少なくとも私は今までそんな事なかった…今日この時までは。
取り敢えず体を起こそうとして…全身に激痛が走った。
そういえば拠点の目の前で力尽きたんだっけ…ならここは医務室か?
取り敢えずチョーカーに空間魔術かけとくか。魔道具のお陰でばれてはないと思うが…ペンダントに貯めといた魔力殆ど尽きてるし。ついでに魔力補充しとくか。何かあっても面倒だし。
というか獣化したままなんだが…運ぶの大変だっただろうな。人の姿に戻ろうとしたがなんせ体が痛んでそれどころじゃない。
仕方なく人の姿になるのを断念し、せめてもの情けとして半獣化の姿になる。こっちになるのはそんな意識しなくてもいいからね。
痛みがなるべく出ないように体を起こす。部屋の中には私しか居ない。まあ暗さ的に夜中だろうし当然か…というか、私が気絶してからそんな時間経ってないのか?
流石の私も丸一日寝てたってことはないだろうし。
ベットから足をだし立ち上がろうとする。痛みが走るが無視して立ち上がる。脇腹が特に痛む。見ると痛々しく火傷の跡が残っていた。
そう言えば…意識が朦朧とする中、近くにいる人に傷口燃やしてくれって頼んだ覚えがあるな。
あのままだと本当に出血死する可能性があったが、実行した人には申し訳ないことをした。
ゆっくり外に向かう。
キーカル先輩とガリウス先輩の気配が外にある。何かあったのだろうか?
今の私には何も出来ないが、魔物の気配はしないんだよな…私の感覚が鈍ってるだけなのか?
外に出ると先輩達が無線機を片手に固まっていた。
何してるのだろうかと近づくとこちらに気付いたのかこちらを向き…すごい顔をされた。
「ライ!?目が覚めたのか!?てかなんで起きてんだよ!」
「ライ!なんで読んでくれないの!?近くにベルあったでしょ!?」
「痛い痛い!先輩!痛いです!」
私を見た瞬間駆け寄って足やら背中やらを触ってくる。無事かどうかを確信してくれているのはわかるが…なんせ痛い。
痛みで涙目になりながらも叫ぶとはっとしたように手を離す。
にしても先輩達は何をしていたのだろうと思っていると無線機から声がする。
「ライですか?今キーカル、ガリウスから報告を聞きました。魔物の食い止め、お疲れ様です。目が覚めたようで良かったです」
「…総長!?」
今度は私がびっくりする番だ。なんで総長!?
「今班長会議中でして。カールも居ますよ」
「カールだ。ライ、怪我は大丈夫なのか?報告だとかなり酷いと聞いたが…聞こえてくる限りだともう自力で歩けるのか?」
「あぁ…お疲れ様です。怪我は…まあ少し痛みますがその内回復すると思います」
なんて言うとガリウス先輩が怒ったような顔で背中を触ってくる。
途端に痛みが強くなる。立ってるだけでもやっとなのに痛みが増したらその場で崩れ落ちるしかない。
味覚で言うと十辛のカレーにさらに唐辛子を入れた感じ。痛すぎて逆に何も感じないまである。
「うぅ…ったい…ガリウス先輩…何故…」
「全然駄目じゃん。大人しく寝ときなよ」
移動する分には大丈夫だと思ったんだけどな…
なんて言う呟きはしっかり聞こえていたようでカール班長とジーク総長の怒った声も聞こえてくる。
「移動はできても触られたぐらいでそんな痛むんだったらガリウスと言う通り寝とけ」
「はぁ…聞いたところ、そちらにはタイミング悪く聖女様が居ないようなので明日の朝こっちに戻ってくるよう二人に言っておきました。それまで大人しく寝ときなさい。総長命令です」
「…了解、しました」
流石の私も総長命令に逆らう程の度胸は持ち合わせてない…というか基本私は命令には背かない…筈だ。
えっちらおっちら元来た道を戻ろうとするとキーカル先輩に背中を見せられる。
「…?キーカル先輩?」
「乗れ。さっきの様子だと立ってるだけでもしんどいんだろ?」
「…すみません。助かります」
所詮おんぶというものをされる。キーカル先輩に持たれてる足とかがめっちゃ痛いが自分で歩くよりは全然マシだ。
「…すまないな」
「何がですか?」
「今回、こうなることは予測できた筈だ。にも関わらず俺らはライ一人に任せた。俺らのどちらかが残ることも出来た筈なのに。第一班にめ関わらず選択を誤った。今回は運が良かったからライが生きて帰ってこれたが運が悪ければ死んでいたかもしれない…本当にすまなかった」
「別に恨んでませんが…それに私も、私一人が残ることに賛成でしたし。そもそも帰る道を把握していないことを忘れていた私も悪いです。お互い様です」
「だが、「でも…」…」
「でも、どうしても先輩達が納得できないと言うなら怪我が治った後にでも…三人で食べに行きましょ…食べ放題で」
「…ああ…幾らでも奢る」
「楽しみです」
なんだかんだ三人で食べに行ったことは無かったからね。一度は行ってみたいと思ってたんだ。
まあ私は全然気にしてないし、育ちが育ちだから死ぬ覚悟はとっくにできてる。
生死については運命のなすがままってところもあるしな…勿論、出来るだけ死なないようにはするけど。
医務室に着きそっとベットに座らされる。そのまま流れるように横にならされる。
横になるとやっぱり体力は回復しきってなかったのかすぐに眠気が襲ってくる。
ペンダントの魔力補充しといて良かった。何て思いながら先輩の話し声をBGMに眠りについた。
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