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第3班
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数日が経ち、騎士団も元の落ち着きを取り戻してきた。
今日から三日間の訓練は先輩達と一緒にやる合同訓練だ。先輩と言っても第1班の先輩達ではなく、第3班の先輩達となんだけどね。それに、訓練というより実践に近い。
第3班は王城、王都の警備。今回は、その王都警備に見学として参加させて貰う。私が所属している第1班は主に騎士団の司令塔的な役割だから、各班の仕事内容を正確に把握する必要があるため、一年目は色々な班の見学にいく機会が多々ある。今回はそれの第1回目、と言うわけだ。
「今日から三日間、宜しくお願いします」
一礼をすれば、あちこちから"宜しく~"と聞こえてくる。
第1班~第4班は王都関係の仕事が多いこともあり、歓迎会の時に顔合わせをしているので、軽く自己紹介だけする。
といっても騎士団最年少の私はかなり有名なようで、かなり知っている人が多かったが。
そのままこの三日間お世話になる人の元にいく。最初聞いた時には驚いた。まさか私の担当が……第3班班長だなんて普通は思わないよね。
最初はこの間の事件で私が報連相を怠ったため、問題児扱いになったのかと思ったが、基本的に騎士団では第1班の人が見学できたら、その班の班長が担当するらしい。
それを聞いた時はまじで安心した。正直心臓バクバクだった。怖かった。ある意味。
「知っているとは思うが一応自己紹介しとくな。第3班班長のラインハルトだ。赤犬族で適正魔法は土だ。三日間、宜しく頼む」
「第1班所属、ライです。適正魔法は雷、適正武器は鎌と投げナイフです。黒狼族です。こちらこそ、宜しくお願いいたします」
カリナンが第3班に所属しているためたまに話すことがあるのだが、新人の私にも気さくに話しかけてくれる人で、この人を尊敬している人は第1班にもそれなりにいる。
因みにカリナン含め、第3班の新人騎士は今週から新たなトレーニングに入るとかで、遠方の方に出掛けているらしい。
会うのを少し楽しみにしていたため、ちょっと残念に思いながらも、ラインハルト班長と訓練上に向かいながら話す。
「取り敢えず今日は俺らの班は普通に訓練だから、あまり指導は出来ないかもしれないが、それでも大丈夫か?」
「問題ありません。訓練の様子を見るだけでも、その人個人の戦術やポジションを把握することは出来ますから」
「ははっ!流石第1班所属なだけはあるな…まあ、個々の能力を把握しておかないと、仕事内容のみを把握しても司令塔にはなれないからな…良い教育されてるじゃないか」
「ええ。厳しくそして丁寧に教えて頂いてます」
「まあ、第1班の班長はカールだろ?あいつは丁寧だろうな」
「知っているのですか?」
「まあ、一応同僚で同期でもあるからな。俺らも昔は第1班の班員だったよ。今思うと地獄のような訓練だったがな」
まあ、確かに第1班の訓練はきついのは有名だ。とは言っても、私はまだ新人強化過程の途中のため、本格的な訓練はしていないのだが。先輩達の様子を見ていると嫌でもその過酷さがわかる。
なんて話をしているとあっという間に訓練場についた。
広い敷地を保有している騎士団本部は、合同訓練場の他に、各班専用の訓練場も保有している。私も含め新人騎士は基本的に合同訓練場で訓練をしている。こういう班を越えた合同訓練の時だけ、班専用の訓練場に入ることが出来ると言うわけ。
少し緊張しながらも、扉が開くのを待つ。
「ようこそ、第3班へ」
その声と同時に開く。
一目見て驚愕した。訓練場は三百人ぐらいが同時に入れる位のサイズで、所狭しと壁一面に様々な武器が並んでいた。それだけでなく。端の方にはダンベルなどが置かれていて、いつでも鍛えれる状態になっていた。それだけでも凄いのだが、私が驚いたのはそこではない。私が驚いた理由。それは、使い込みが桁違いなのだ。
ダンベルなどの用具はロゴの文字が剥がれていのは当然として、滑り止めとしてついているゴムバンドも、何回も変え換えた後がある。武器も、相当使い込まれているのが見てとれるにも関わらず、歯こぼれしていたり、錆びて使えなくなっているものは一つもなかった。
相当丁寧に扱って手入れも欠かせずやらないとここんな状態にはならない筈。
「ふはっ!相当驚いたか?だがどこの班もこんなんだぞ?今の内に慣れておけ」
「…これがターリスク王国一の精鋭を誇る、ターリスク王国騎士団本部……ですか…」
言葉が出ない、とはまさにこの事か。言いたいこと、思っていることは沢山あるのに、それを表現できない。
「ライもその一員なんだぜ?誇れよ。いつまでも新人だからって甘えてたらあっという間に置いてかれるぞ」
私も、一員…私だって、先輩達のように…
「食らいつきますよ。私だって、騎士になるためにここに来たんですから。食らいついて、いつか絶対、追い付いて見せます」
「…頑張れよ。そのためにまず、俺ら第3班と…一戦やりますか!」
…さっきの発言、めっちゃ後悔した。
まあでも、追い付くことには変わらないし。いずれ追い付く目標として。戦ってみるのはありかもしれない。
それに、戦うことで見ているだけじゃわからない彼らの戦闘特徴も見つかるかもしれない。
「宜しくお願いします」
ここで少しでも成長することが、私の目標だ。
今日から三日間の訓練は先輩達と一緒にやる合同訓練だ。先輩と言っても第1班の先輩達ではなく、第3班の先輩達となんだけどね。それに、訓練というより実践に近い。
第3班は王城、王都の警備。今回は、その王都警備に見学として参加させて貰う。私が所属している第1班は主に騎士団の司令塔的な役割だから、各班の仕事内容を正確に把握する必要があるため、一年目は色々な班の見学にいく機会が多々ある。今回はそれの第1回目、と言うわけだ。
「今日から三日間、宜しくお願いします」
一礼をすれば、あちこちから"宜しく~"と聞こえてくる。
第1班~第4班は王都関係の仕事が多いこともあり、歓迎会の時に顔合わせをしているので、軽く自己紹介だけする。
といっても騎士団最年少の私はかなり有名なようで、かなり知っている人が多かったが。
そのままこの三日間お世話になる人の元にいく。最初聞いた時には驚いた。まさか私の担当が……第3班班長だなんて普通は思わないよね。
最初はこの間の事件で私が報連相を怠ったため、問題児扱いになったのかと思ったが、基本的に騎士団では第1班の人が見学できたら、その班の班長が担当するらしい。
それを聞いた時はまじで安心した。正直心臓バクバクだった。怖かった。ある意味。
「知っているとは思うが一応自己紹介しとくな。第3班班長のラインハルトだ。赤犬族で適正魔法は土だ。三日間、宜しく頼む」
「第1班所属、ライです。適正魔法は雷、適正武器は鎌と投げナイフです。黒狼族です。こちらこそ、宜しくお願いいたします」
カリナンが第3班に所属しているためたまに話すことがあるのだが、新人の私にも気さくに話しかけてくれる人で、この人を尊敬している人は第1班にもそれなりにいる。
因みにカリナン含め、第3班の新人騎士は今週から新たなトレーニングに入るとかで、遠方の方に出掛けているらしい。
会うのを少し楽しみにしていたため、ちょっと残念に思いながらも、ラインハルト班長と訓練上に向かいながら話す。
「取り敢えず今日は俺らの班は普通に訓練だから、あまり指導は出来ないかもしれないが、それでも大丈夫か?」
「問題ありません。訓練の様子を見るだけでも、その人個人の戦術やポジションを把握することは出来ますから」
「ははっ!流石第1班所属なだけはあるな…まあ、個々の能力を把握しておかないと、仕事内容のみを把握しても司令塔にはなれないからな…良い教育されてるじゃないか」
「ええ。厳しくそして丁寧に教えて頂いてます」
「まあ、第1班の班長はカールだろ?あいつは丁寧だろうな」
「知っているのですか?」
「まあ、一応同僚で同期でもあるからな。俺らも昔は第1班の班員だったよ。今思うと地獄のような訓練だったがな」
まあ、確かに第1班の訓練はきついのは有名だ。とは言っても、私はまだ新人強化過程の途中のため、本格的な訓練はしていないのだが。先輩達の様子を見ていると嫌でもその過酷さがわかる。
なんて話をしているとあっという間に訓練場についた。
広い敷地を保有している騎士団本部は、合同訓練場の他に、各班専用の訓練場も保有している。私も含め新人騎士は基本的に合同訓練場で訓練をしている。こういう班を越えた合同訓練の時だけ、班専用の訓練場に入ることが出来ると言うわけ。
少し緊張しながらも、扉が開くのを待つ。
「ようこそ、第3班へ」
その声と同時に開く。
一目見て驚愕した。訓練場は三百人ぐらいが同時に入れる位のサイズで、所狭しと壁一面に様々な武器が並んでいた。それだけでなく。端の方にはダンベルなどが置かれていて、いつでも鍛えれる状態になっていた。それだけでも凄いのだが、私が驚いたのはそこではない。私が驚いた理由。それは、使い込みが桁違いなのだ。
ダンベルなどの用具はロゴの文字が剥がれていのは当然として、滑り止めとしてついているゴムバンドも、何回も変え換えた後がある。武器も、相当使い込まれているのが見てとれるにも関わらず、歯こぼれしていたり、錆びて使えなくなっているものは一つもなかった。
相当丁寧に扱って手入れも欠かせずやらないとここんな状態にはならない筈。
「ふはっ!相当驚いたか?だがどこの班もこんなんだぞ?今の内に慣れておけ」
「…これがターリスク王国一の精鋭を誇る、ターリスク王国騎士団本部……ですか…」
言葉が出ない、とはまさにこの事か。言いたいこと、思っていることは沢山あるのに、それを表現できない。
「ライもその一員なんだぜ?誇れよ。いつまでも新人だからって甘えてたらあっという間に置いてかれるぞ」
私も、一員…私だって、先輩達のように…
「食らいつきますよ。私だって、騎士になるためにここに来たんですから。食らいついて、いつか絶対、追い付いて見せます」
「…頑張れよ。そのためにまず、俺ら第3班と…一戦やりますか!」
…さっきの発言、めっちゃ後悔した。
まあでも、追い付くことには変わらないし。いずれ追い付く目標として。戦ってみるのはありかもしれない。
それに、戦うことで見ているだけじゃわからない彼らの戦闘特徴も見つかるかもしれない。
「宜しくお願いします」
ここで少しでも成長することが、私の目標だ。
応援ありがとうございます!
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