奴隷少女は騎士となる

灰色の街。

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あくる日

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かの訓練から数週間が経った。

あの時の怪我をしていた三人は、無事完治したらしい。だが、三人の内一人は騎士を辞職するらしい。その人は今までの訓練でも、中々魔物の強さを測れずピンチになっていたらしい。相手の強さを測れないのは致命的。いくら体力や実力があっても、その能力が欠けていたらこので生き残るのは至難の業だろう。
まあ、死ぬ前にそれに気付いただけいいのかな、と思う。入団して一年間は自分にとって騎士が合うのかを確かめる期間でもあるから、こういう理由で辞職する人も珍しくない。だからこそこの一年間は様々な訓練をやらせるのだろうけど。

今日は休暇日。騎士団にもきちんと休暇制度は整っている。むしろ、国が直接管轄をしている数少ない職なので他のところよりきちんとした制度になっているぐらいだ。

休暇だからといいショッピングに行くわけでもなく、近くの公園のベンチで風景を眺める。平日ということもありあまり人はいないが、静かな所が好きな私にとってはいいことだ。

暫く気持ちよく風に当たっていたが、ふとここに来た目的を思い出し、ポケットから紙を取り出す。紙といっても、文字が書かれたいわば便箋、というものだ。
この手紙の送り人はリンさん。一ヶ月ほど前、急に届いてからは毎週のように届いている。どうやらリンさんは鳥形の魔物を従えているらしい。とはいっても、完璧に主従関係を結んでいる従魔と違い、ペット感覚で一緒にいるらしいが。こちらからの手紙は、手紙を送ってきた魔物に待ってもらって、その場で読んで書いている。だからといって返事を雑にやるわけにもいかないのでかなり待って貰うことになるのだが、そこはちゃんとリンさんが躾ているのか、急かすことなくのんびりと毛繕いして待っている。

私が持ってきた手紙は一昨日きたもので少し気になることが書いてあったので、きちんと考えたいと思い持ってきたのだが…少し中断するか。公園に入ってきたのはついこないだ会った人だった。

「あ、この間の…あの、助けて頂きありがとうございます」

そう言って話しかけてきたのは、こないだの訓練で助けた内の一人だった。
聞いた話だとこの間の訓練の時、止めた騎士が襲われていて、それを助けようとたまたま近くにいた二人で協力していたが、元々怪我をしていたこともありあんな状態になってしまったのだそう。怪我をしていたのに上級魔物に対し、生きて帰ってこれただけでも凄い。
そして今改めて見たがこの騎士、かなり強い。少なくとも新人騎士の間では上位十人の中に間違いなく入るだろう。

「いえ。そちらこそ怪我は大丈夫ですか?」

「はい。この通り。あの時あなたが応急手当してくれたお陰です」 

かなり堅苦しく話しかけてくる。
あまり慣れていないので止めて欲しいと伝えると、名前も知らないのに失礼だと思ったらしい。そう言えば自己紹介してなかったなと思い、互いに自己紹介する。
彼の名前はリースさんと言うらしい。黒猫族で、主に両手剣を使うらしい。年齢は十八で、こちらが年下でも態度を変えることはしなかった。
最初は少し警戒していたが、少し警戒を緩めることにした私。リースさんも休暇中ということで、昼ごはんを一緒に食べることにした。
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