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王都に入りたい
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サンダーウルフを吹き飛ばしてから30分後。
私は"ターリスク王国王都"と書かれた門の前に立っていた。
元々飼い主は、ターリスク王国の王都に行くつもりだったらしい。
私がグラード王国だと思っていた場所は、タースリク王国の王都に近い森だった。
つまり、私は元々ターリスク王国の真ん中あたりにいたということだ。
そして、門の前には商人達の行列。私はそこの最後尾につく。
10分後。……まったく進まない。この10分で列が動いた回数は2回。
このままだと、日が暮れてしまうどころか、宿もとれない可能性が出てくる。
別に野宿でも構わないが、せめてご飯にはありつきたいところだ。
少し焦っていると、前にいる商人に声をかけられた。
「嬢ちゃんは商人の関係者なのかい?」
「?違います。普通に王都に用事があるだけです」
「だったらこのまま門のところに行ってもいいんだよ。ここは商人専用の列だからね。ほら、前の人達皆商人の格好してるでしょ?」
「本当ですね。教えてくださり、ありがとうございます」
ただの親切な方でした。何か文句言われるかと思ったけど、大丈夫だった。
言われた通り、門の近くにいくと、数人の騎士さんが立っていた。
「あの、すみません。王都に入りたいんですけど」
「わかりました。身分証明書はお持ちですか?」
「持ってません」
「ではこちらで質問等をさせていただくのでついてきて下さい」
1人の騎士さんに声を掛ける。
いきなり声を掛けたにも関わらず、驚くことなく丁寧に対応してくれた。
騎士さんに付いていくと、近くの小屋に入った。
そこには3人の騎士さん達がいて、案内してくれた騎士さんは3人の騎士さん達に何かを耳打ちすると、そのまま出ていった。
「……」
「……」
「あ、あの、少し質問していいかな?」
「はい」
何も喋らないなと思っていたら、恐る恐る質問する許可を取ってきた。無言の空間が気まずかったのかもしれない。
別に恐る恐る喋らなくてもいいのにな、と思いながら次の言葉を待つ。
「えっと、まずは名前と年齢と王都に来た理由、出身を教えて欲しいな」
うわ。名前考えてなかったな。とりあえず"あの少年"が考えてくれたやつでいいか
「名前はライです。年齢は15です。王都に来た理由は、仕事の面接を受けに来ました。出身はグラード王国です」
「……成る程。じゃあその格好はどうしたの?」
私が今着てるのは、少し汚れてる襟付きワンピース。ちなみに裸足。そりゃ聞きたくなるわな。
まぁ、真実を混ぜながら伝えるか
「えっと、グラード王国からこっちに来る途中で、奴隷商人に捕まりそうになって、慌てて逃げたんですけど、そのせいでぼろぼろになってしまいました」
そう言うと、2人の騎士さんは哀れみの籠った目を向けられたが、1人の騎士さんは、少し目を細めた。警戒されたのだろうか。
ちなみにこれは私の親が体験した話。現実ではそのまま捕まったらしいけど。
「だったら確認として、首、見せてくれないかな?」
「……何でですか?」
「奴隷商人っていうのは狙った獲物をやすやすと逃がしたりはしない。その執着心は俺が実際、体験してるから分かる。奴隷商人から逃げきるには相当の脚力がないと無理だよ。だから、万が一の確認として、首、見せてくれないかな?」
うわ。もしかしてこの人、実際に奴隷商人に捕まりそうになったことあるのかな。だとしたら言わなかったら良かった。
とりあえず今言えることは……
ライ、ピンチです。
私は"ターリスク王国王都"と書かれた門の前に立っていた。
元々飼い主は、ターリスク王国の王都に行くつもりだったらしい。
私がグラード王国だと思っていた場所は、タースリク王国の王都に近い森だった。
つまり、私は元々ターリスク王国の真ん中あたりにいたということだ。
そして、門の前には商人達の行列。私はそこの最後尾につく。
10分後。……まったく進まない。この10分で列が動いた回数は2回。
このままだと、日が暮れてしまうどころか、宿もとれない可能性が出てくる。
別に野宿でも構わないが、せめてご飯にはありつきたいところだ。
少し焦っていると、前にいる商人に声をかけられた。
「嬢ちゃんは商人の関係者なのかい?」
「?違います。普通に王都に用事があるだけです」
「だったらこのまま門のところに行ってもいいんだよ。ここは商人専用の列だからね。ほら、前の人達皆商人の格好してるでしょ?」
「本当ですね。教えてくださり、ありがとうございます」
ただの親切な方でした。何か文句言われるかと思ったけど、大丈夫だった。
言われた通り、門の近くにいくと、数人の騎士さんが立っていた。
「あの、すみません。王都に入りたいんですけど」
「わかりました。身分証明書はお持ちですか?」
「持ってません」
「ではこちらで質問等をさせていただくのでついてきて下さい」
1人の騎士さんに声を掛ける。
いきなり声を掛けたにも関わらず、驚くことなく丁寧に対応してくれた。
騎士さんに付いていくと、近くの小屋に入った。
そこには3人の騎士さん達がいて、案内してくれた騎士さんは3人の騎士さん達に何かを耳打ちすると、そのまま出ていった。
「……」
「……」
「あ、あの、少し質問していいかな?」
「はい」
何も喋らないなと思っていたら、恐る恐る質問する許可を取ってきた。無言の空間が気まずかったのかもしれない。
別に恐る恐る喋らなくてもいいのにな、と思いながら次の言葉を待つ。
「えっと、まずは名前と年齢と王都に来た理由、出身を教えて欲しいな」
うわ。名前考えてなかったな。とりあえず"あの少年"が考えてくれたやつでいいか
「名前はライです。年齢は15です。王都に来た理由は、仕事の面接を受けに来ました。出身はグラード王国です」
「……成る程。じゃあその格好はどうしたの?」
私が今着てるのは、少し汚れてる襟付きワンピース。ちなみに裸足。そりゃ聞きたくなるわな。
まぁ、真実を混ぜながら伝えるか
「えっと、グラード王国からこっちに来る途中で、奴隷商人に捕まりそうになって、慌てて逃げたんですけど、そのせいでぼろぼろになってしまいました」
そう言うと、2人の騎士さんは哀れみの籠った目を向けられたが、1人の騎士さんは、少し目を細めた。警戒されたのだろうか。
ちなみにこれは私の親が体験した話。現実ではそのまま捕まったらしいけど。
「だったら確認として、首、見せてくれないかな?」
「……何でですか?」
「奴隷商人っていうのは狙った獲物をやすやすと逃がしたりはしない。その執着心は俺が実際、体験してるから分かる。奴隷商人から逃げきるには相当の脚力がないと無理だよ。だから、万が一の確認として、首、見せてくれないかな?」
うわ。もしかしてこの人、実際に奴隷商人に捕まりそうになったことあるのかな。だとしたら言わなかったら良かった。
とりあえず今言えることは……
ライ、ピンチです。
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