SEIREI ── せい れい ── 自然に好かれるオレはハッピーライフをおくる

まひる

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1.異世界転生なんて本当にあるんだ

1-6

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 ※ ※ ※ ※ ※

 そうして腹一杯になったところで、オレはその場に寝転がる。
 空は知っている青色で、草の匂いも同じだ。

「御満足頂けたようで幸いでございます」
「ん……、すっごく満足。って、何してんの?」
「はい、片付けでございます。このままにしておくと、後々草木が困りますので」
「や、それはそうだけど……」

 動き回るセスに気付いたオレは、半身を起こして観察する。──とはいっても、セスはゴミや食べ残したものを背後に追いやっているだけだ。
 問題はその先がない。

 セスの動きを目で追っても、ゴミを背後に投げた時点でゴミは消える。消える・・・のだ。

「え?どうやってるの?」
「はい、セスはそういう仕様になっております」

 また出た、仕様。──アイテムボックス的な空間が使えるのか?
 そう思い巡らせば、先程ピクニックセットを取り出した時も何処・・から出していた?と気付いた。
 オレの妄想イメージを読み取るアイテムボックス的異空間があって、そこ・・から出したものをそこ・・へ戻していると考える方が良いのか。

 考えれば考える程、セスの存在が稀少過ぎる。
 この能力を知った誰か──他の人に誘拐とかされそうで、オレがセスを守れるか心配になった。

「問題ございません、トーリ様。セスは防御性能も備えております。盗難防止機能もございまして、トーリ様から不要にされない限り精一杯おつかえする所存でございます」
「な、何だか凄いな、セス。セスがいないと、オレが生きていけれる自信がないわ。マジ」
「お誉めの御言葉、痛み入ります。誠心誠意尽くして参りますので、末永く御そばに置いて下さいませ」

 万能かと思える程のセスの存在に、オレはこれまで以上の安心感を得たのだった。

 ※ ※ ※ ※ ※

「ところで、町ってまだ掛かるのか?」
「そうですね。後二日程、でしょうか。何か不都合がございましたか、トーリ様」
「いや、なさすぎて」

 そうなのだ。
 現状オレとセスは、あの深い森から都市へ移動中である。

 セスは本当に何でも出来て、食事は勿論、寝床も風呂も──何なら家も用意してくれた。
 勿論想像するのはオレなんだけど、森の中に風呂付き一戸建てとか造れる。さすがにこの自然界に豪邸とか出すとヤバいから、丸太小屋サイズでだが。
 セスは簡単そうに片付けまでしてくれるから、一瞬で元通りの森になるのだ。

「怖い獣とかいなくて良かった」
「いますよ?普通に人サイズ丸飲み可能な大型魔獣とか存在しています」
「え……」
「ですが御安心下さいませ、トーリ様。トーリ様は自然に好かれていらっしゃるので、御望みでない限りこちらへ近付いて来る事はございません」

 物凄い事を聞いてしまったようである。
 確かに神様が魔法の世界的な事を言っていたので、思い切りファンタジー世界であってもおかしくはないのだ。
 この一週間程をセスと二人で安穏と過ごしていたから、全くそんな危機感はなかった。

「トーリ様?御不安にさせてしまい、申し訳ございません。ですが先程も御伝えした通り、トーリ様が御望みでない限り相見あいまみえる事はございません」
「オレが、望む?」
「はい、左様でございます」
「そ、そか……」

 セスがそう言うのだから、そうなのだろう。
 とりあえず急に襲撃されるとかなさそうで、そこは安心した。

「それで、今向かっている町はどんなところなんだ?」
「はい、トーリ様。セスの知る情報ですと、町の名前はリドツォル。領主はミニト・リリダ・マグスッド、四十歳でございます。町民は約一万。農業を主体としておりまして、おもに小麦の栽培をしております。漁業都市エンググや王都モソンに至る主要街道に位置しており、規模は小さめですが充分に繁栄しております」
「詳しいな、おい……。まぁそうなると、金銭のやり取りとか対人関係の雰囲気は掴めそうだな」
「はい、トーリ様。初異世界人との邂逅でございます」

 ここに至る数日をもってしても、誰一人として人間に出会っていない。そして野生動物の気配はするけれど、目の前には一向に出てこないのだ。
 本当にセスと二人きりで、不満はないが不安にはなってくる。
 本当に異世界転生したのか、とか。

 セスは言葉も話すし、オレの意を汲んでくれる。だから寂しくない。
 当然のようにオレの身の回りの世話をしてくれるから、森の中だけど凄く快適に生活出来ているんだ。
 食事もオレの思い浮かべる物が全て出てくるから、歩きながら思考が暇な時には食事の想像ストックをする余裕だってある。

「あぁ、楽しみだ。農業をしてるって事は権力とか振りかざすような感じではないと思えるし、何ならこの世界の食事とかも味わってみたいな」
「トーリ様がお気に召せば宜しいのですが……、セスはこのままトーリ様の肩を拝借して頂いたままで宜しいのですか?」
「ん?だって、その方が安全だろ?オレが」
「はぁ……まぁ、セスの防御性能をお気に召して頂けて何よりでございます」

 肩乗せイタチ状態のセスは、わずかながら現状を不満に思っているようだった。
 けれどもオレが一度石につまずいて転びそうになった時、隣の足下を歩いていたセスが物凄い勢いで飛び掛かって来たのである。実際にはオレを支えようとしたみたいで、ブワッと周囲を竜巻のような風が舞い上がって身体が宙に浮いたのだ。
 結果的にオレもセスも何事もなかったのだが、とにかく驚いた事だけは印象深かった。──防御性能、ぱねぇ。セスが危機におちいるような事がないように、可能な限りオレが守るっ。
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