浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
上 下
814 / 891

反省の正座

しおりを挟む
「濡島(ぬれしま)さん!」
「はい!すいません、今後はこのようなことが決してないようにいたしたく…」
「そこまでは怒っていませんの、便利になりましたし、でも事前におっしゃってくれたら」
冷凍庫の保冷能力が上がりすぎた件について。
「どうして先に言ってくださらなかったんですか?」
「その…思い付いてしまいましたので、途中のアイディアを説明するよりかは、実際に見てくれた方が早いと、言葉よりも形になったもののほうがわかりやすいかなって」
「それで言わなかったんですね?」
「はい!すいませんでした」
「実際にアルミのトレーは早く凍らせることが出来るというお話もありますし、アルミホイルも当たり前のように台所にありますし」
「それでもいいのですが、大事なのは厚みであって、素材によっては同じアルミでも使えないものもありますから」
爆発するのもあります。
「もっと早く凍らせるもあるんですが、夜に準備して、朝凍っていたら、それだけでビックリしていただけるかなとそう思った次第で」
アルミより熱伝導が高い素材で身近なものは実際にあるが、ここは一晩で凍らせてみよう、たぶん喜んでもらえるぞ!の一点で、びっくりするほどの行動力を出してみました。
そんな濡島の両手を「かえ」は握った。「かえ」からすると、子供に言い聞かせるようなつもりだったんだと思うが。
(あ~!)
濡島はそれどころではない。
本当は握り返したい、でもそんなことできない、だったらずっと握ってください。
(あなたのことは本当に好きで、好きで、好きでしょうがないのです)
まずそこまでを言葉に変えた。
「濡島さん!」
「かえ」さんは俺を子供扱いしているんだろうけども、俺にはそれにはたまらないものがある。けどももう1つ俺の中には相反する気持ちが、もっと大人の男として見られたい、そんな気持ちが生まれるんです。
(そして俺はそれを選べない、どっちがいいかなんて、そんな大それたこと!)
「今度から先に説明してくださいね」
そこで「かえ」は手を離すので。
「あっ」
なんて声が出てしまう。
もう終わりですか?の悲しさが素直に出ている、そしてその寂しさに耐えるために、自分で拳作ってしのぎはじめた。
「すいません、俺は未熟な人間なので」
反省の正座。
「そこまではしなくてもいいです」
「いえ、させてください、これは戒めであり、こういうことは必要なんですよ」
「濡島さんって、実は変ですね」
「な…」
「初めてお会いしたときは実に普通の人だったと思いますが、こう…話せば話すほど、知れば知るほどというか、どんどん…」
あれ?この人はなにか…
「俺ってそんなに変ですか」
ショックを受けた後にズドーン。
「いえ、それは悪い意味ではなくてですね、た人とは少し違っているのかなって」
「結構…そこはコンプレックスなんですよ」
他の人が難しいや辛いと感じるような時も、楽々できてしまう。
「なんかおかしいのかなって」
「そこまでは気にする必要はないんじゃありませんかね」
「あなたにも変だって言われるなんて、もうおしまいだ」
「落ち着いてください」
「かえ」も向い合わせで正座をした。
「かえさんは、俺のことどう思っているんですか?」
「私ですか?」
「はい、かえさんが俺のことをどう思ってくださっているのかなというのは、非常に興味があります」
「嫌いではありませんよ」
「!…ああ、それなら良かった、嫌われてないならそれでいいです」
「そうなんですか?」
「はい、もうそれだけで十分ですよ」
そこで濡島は微笑んだら。
ムニ!
「かへさん?」
頬をかえに、ムニッとされたので、かえが、かへになっている。
「すいません、ついこういうことをやってしまいたくなりました」
手を離した。
「そういうときも人生にはありますよね」
なんて濡島が言う頃には、かえは立ち上がって。
「おやすみなさいませ」
といって帰ってしまった。
そのまま固まっている濡島。
ビシャ!という勢いよく閉まった音で、濡島の目は点になった。
「あれ?なんか怒ってません?」
何か怒らせてしまう理由が…と考えても、考えても。
「わからない…」
今のは一体なんだったのだろう、本当に濡島にはわからなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

お兄さんの子供を妊娠したの!旦那を寝取った妹からの反撃が怖い!血を分けた家族からの裏切りを解決したのは…

白崎アイド
大衆娯楽
「お兄さんの子供を妊娠したの」と妹がいきなり告白してきた。 恐ろしい告白に私はうろたえる。 だが、妹が本当に狙っているものを知って怒りが湧き上がり…

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

処理中です...