浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
814 / 1,093

反省の正座

しおりを挟む
「濡島(ぬれしま)さん!」
「はい!すいません、今後はこのようなことが決してないようにいたしたく…」
「そこまでは怒っていませんの、便利になりましたし、でも事前におっしゃってくれたら」
冷凍庫の保冷能力が上がりすぎた件について。
「どうして先に言ってくださらなかったんですか?」
「その…思い付いてしまいましたので、途中のアイディアを説明するよりかは、実際に見てくれた方が早いと、言葉よりも形になったもののほうがわかりやすいかなって」
「それで言わなかったんですね?」
「はい!すいませんでした」
「実際にアルミのトレーは早く凍らせることが出来るというお話もありますし、アルミホイルも当たり前のように台所にありますし」
「それでもいいのですが、大事なのは厚みであって、素材によっては同じアルミでも使えないものもありますから」
爆発するのもあります。
「もっと早く凍らせるもあるんですが、夜に準備して、朝凍っていたら、それだけでビックリしていただけるかなとそう思った次第で」
アルミより熱伝導が高い素材で身近なものは実際にあるが、ここは一晩で凍らせてみよう、たぶん喜んでもらえるぞ!の一点で、びっくりするほどの行動力を出してみました。
そんな濡島の両手を「かえ」は握った。「かえ」からすると、子供に言い聞かせるようなつもりだったんだと思うが。
(あ~!)
濡島はそれどころではない。
本当は握り返したい、でもそんなことできない、だったらずっと握ってください。
(あなたのことは本当に好きで、好きで、好きでしょうがないのです)
まずそこまでを言葉に変えた。
「濡島さん!」
「かえ」さんは俺を子供扱いしているんだろうけども、俺にはそれにはたまらないものがある。けどももう1つ俺の中には相反する気持ちが、もっと大人の男として見られたい、そんな気持ちが生まれるんです。
(そして俺はそれを選べない、どっちがいいかなんて、そんな大それたこと!)
「今度から先に説明してくださいね」
そこで「かえ」は手を離すので。
「あっ」
なんて声が出てしまう。
もう終わりですか?の悲しさが素直に出ている、そしてその寂しさに耐えるために、自分で拳作ってしのぎはじめた。
「すいません、俺は未熟な人間なので」
反省の正座。
「そこまではしなくてもいいです」
「いえ、させてください、これは戒めであり、こういうことは必要なんですよ」
「濡島さんって、実は変ですね」
「な…」
「初めてお会いしたときは実に普通の人だったと思いますが、こう…話せば話すほど、知れば知るほどというか、どんどん…」
あれ?この人はなにか…
「俺ってそんなに変ですか」
ショックを受けた後にズドーン。
「いえ、それは悪い意味ではなくてですね、た人とは少し違っているのかなって」
「結構…そこはコンプレックスなんですよ」
他の人が難しいや辛いと感じるような時も、楽々できてしまう。
「なんかおかしいのかなって」
「そこまでは気にする必要はないんじゃありませんかね」
「あなたにも変だって言われるなんて、もうおしまいだ」
「落ち着いてください」
「かえ」も向い合わせで正座をした。
「かえさんは、俺のことどう思っているんですか?」
「私ですか?」
「はい、かえさんが俺のことをどう思ってくださっているのかなというのは、非常に興味があります」
「嫌いではありませんよ」
「!…ああ、それなら良かった、嫌われてないならそれでいいです」
「そうなんですか?」
「はい、もうそれだけで十分ですよ」
そこで濡島は微笑んだら。
ムニ!
「かへさん?」
頬をかえに、ムニッとされたので、かえが、かへになっている。
「すいません、ついこういうことをやってしまいたくなりました」
手を離した。
「そういうときも人生にはありますよね」
なんて濡島が言う頃には、かえは立ち上がって。
「おやすみなさいませ」
といって帰ってしまった。
そのまま固まっている濡島。
ビシャ!という勢いよく閉まった音で、濡島の目は点になった。
「あれ?なんか怒ってません?」
何か怒らせてしまう理由が…と考えても、考えても。
「わからない…」
今のは一体なんだったのだろう、本当に濡島にはわからなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...