浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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グラタンにする?ドリアにする?

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「どうする?グラタンにする?それともドリアにする」
「サッ」
「んじゃ、ドリアにしようか」
真中(ただなか)とサメくんである。
この二人は仕事中心の生活になりがちなので、食べるものは協力している事務所、その併設されているbarで作ってもらったものがほとんどである。
bar、そこの調理担当の水芭(みずば)が、よく食べるサメくんのためにと、色んなものを作ってくれるのだが、日保ちするものも冷凍保存してあり、グラタンはよく冷凍庫にある食品である。
「材料を切って、混ぜて、焼くだけのグラタンですから、簡単ですよ」
とはいうが、それが美味しいし。
「今は焼きたてを提供する時間がだいたい決まってるから、その時に合わせて混んだりしますね」
だってどうせ食べるならば焼きたてが美味しいだろ!
グラタンじゃない時はピザの時もある、こちらもファンがいる、というか持ちかえりを頼まれたりするから、すぐに無くなる。
そのたま加熱しても美味しいグラタンなのだが、真中はたまにドリアにして食べていた。
「そうなると、米に合う味にしたくなるんですよね」
そして行き着いた味なのは…
「グラタンの表面に醤油を塗って、食べる前にきざみ海苔かける」
この味付けを足すことで、ぐっと米に合うという。
「そういえば、どっちがいいってサメくんに聞くと、だいたいドリアっていうかもしれないな、米は旨いからな、しょうがない」
「サッ」
真中はそう自分で納得はするが、サメくんとしては、真中が用意、調理してくれるというのがすごくうれしいのである。
「ドリアは旨いんだけども、旨すぎて舌が火傷してしまう危険な食べ物だから」
「サッサッ」
「そりゃあさ、サメは舌を火傷するまではいかないけどまさ、人間はこういうので火傷しちゃうんだって、特にさ、金がない時は」
「サッ?」
「温かいとか、冷たいとか、そういうの関係ない食事になるから、たまに熱いもの食べて、舌がビックリする感じかな」
「サッ」
「ああ、それこそ水芭さんが気づかってだよ、駆け出しの頃は金がないというか、安全に使ってたから、衣食住は後回しになってたんで」
水芭が先に気づいて。
「良ければ食べていってくれる?賄いだけどもね」
そこから食べさせてくれることになった。
「あん時先に友達の方を何とかしなきゃならなかったからな」
「サッ」
「そこに後悔はないさ、あの時頑張らなかったら、あいつ、ブラック企業にずっとだしな」
そのブラック企業は現在も存在するが、その時よりもかなり売上が下がってるそうで。
「やめるとき、色々あったみたいだしな」
定番のここで通用しないやつは、どこにいっても通用しない。
「んなことなかった、うん、一度もなかったって言える」
「サッ」
お茶飲む? 
「飲む、飲む」
水芭がくれた国産の厳選麦茶パックのものなので。
「旨い」
「サッ」
「美味しいって大事だよな、そういうのをちゃんと味わえるようにしたい」
「サッサッ」
「というか、食事の時間をこうしてきちんと取れるのも、贅沢な話なんだけどもね。じゃあ、食べたら午後のお仕事頑張りますか」
そういって真中は伸びをしたので、サメくんもそれを真似をしてみた。 
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