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山地限定フキノトウスナックチーズ味
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「こんにちは、水芭(みずば)さん」
「こんにちは、覆木(おおうき)さんはあちらです」
そういって来客者は窓辺のソファー席にいる覆木の元に向かった。
「早かったね」
「少しばかり、しかし…水芭さんは忙しい様子ですね、これならばもうちょっと時間を潰してくれば良かった」
「学校へお菓子をね、スイートポテトを、うちの子は昨日のお土産を友達に渡す時に一緒に持っていこうと思って、その準備だよ」
「では小分けの袋、必要じゃありませんかね?ちょうど良かったこういうものはいかがですか?」
そういってエコバックというのを並べてくれるが、覆木もそれは気に入って。
「いいの?」
「構いませんよ、いつもお世話になってるので、こういうときに恩を返させてくださいよ」
「こういうときってね、君にはいつも助けられているよ」
「えっ?そうなんですか?」
「お二人はいつものようにコーヒーと、お菓子も申し訳ありませんがスイートポテトで」
「ありがとうございます」
本当に水芭は忙しいのか、それだけ置いて、また厨房に戻っていった。
「さっきの話に戻りますけどもね、覆木さんが声かけてなかったら、私はどうなっていたのか本当にわからないので」
それは少し前の話だ。
その時はいわゆる定期的に購入してくれるお客というのがいなかった。
だから食事も節約しまくってた、何しろ扱っていたものの質を落とすわけにはいかないし、またプライドもあった。
「なんか君は面白いものを扱ってるね、それは俺でも買える?よかったら見せてくれないだろうか?」
興味本位か何かわからないが、そう覆木は声をかけた。
それで面白そうにそれを見て。
「いいね」
なんて言ってくれた。
正直趣味から始めたようなものなので、自分のセンスを誉められたようで、売れなくても今日はいい日だなと思えるような気分だった。
「良かったら、うちの事務所でもっと見せてくれないかな、うちの事務所はbarもあるんだけども、そこは食事もデザートもだしていて」
そういって写真も見せてくれた。
グー~
すごい、目で見て、お腹が減るのははじめてだ。
しかし、恥ずかしかったのだが、そこで覆木は何かに気づいて。
「水芭?ああ、俺、今からお客さんをつれていきたいんだけどもさ、ご飯ってよういしてもらえる?…うん、わかった、あっ、君さ、何好き?嫌いなものある?何か特別に食べたいものってあるのかな?」
と聞いてくれたが。
「え…あ…」
答えれなかった。
理由は察してください。
「じゃあ、今日の賄いだしていいかな、賄いのメニューって今日はなんだっけ?」
椎茸を刻んで、小さな海老の団子と共にかき揚げにしました、それをふっくらと炊いたご飯の上に乗せたあとに。
「特製のタレをかけてくれるそうだよ」
「あーーーーー!」
空腹、空腹でこんなに苦しむとは!
「待って、まずは何か食べなさい」
覆木はコンビニで食べるものを買ってきてくれて、それを口の中に入れることになった。
「落ち着いた?」
「はい、食べてはいたんですが、お恥ずかしい話です」
「それでも仕事の質は落とさないのは誰にでもできることじゃないよ」
「もっと、その、自分で戦えれば良かったんですけどもね、そうしたら困らなかったかなって」
「君みたいな人は必要だよ」
「そういってくれると…これからも仕事に精進したいと思います」
事務所の駐車場に覆木の車の音がしたので、水芭は支度を始めた。
「ただいま」
扉を開けると胡麻油の香りが漂い。
よだれが、ジュル。さすがにこれはまずいと口を抑えた。
「すいません、おトイレは?」
「向こうだよ」
「お借りします」
トイレの鏡を前にして、身なりをチェック、よし笑顔を浮かべて。
「初めまして、この度はお招きいただきましてありがとうございます」
水芭にそう挨拶をすると、向こうも笑顔を作り。
「こちらこそ初めまして、でも挨拶はここら辺にして、まずは食事からどうでしょうか?」
「重ね重ね申し訳ありません、それではお言葉に甘えさせていただきたいと思います」
「では準備しますね」
パチパチと油の中に具材を落としていき、揚がるとすぐに特製の出汁がかけられた、出汁を衣はよく吸って、そのハーモニーで飯が食えそうである。
「いただきます!」
サク、サクサク、ずっと噛んでいたい、なんで口の中から消えちゃうの?
「野菜もとってくださいね」
そういって大根と豆腐のお味噌汁が出てきたが、かき揚げに合わせているのか、塩分少な目で、これは飲めますよ。ゴクゴク行きたい、でもさすがに行儀が悪い、あせる気持ちと戦いながらごちそうさまでした。
「お粗末様でした」
「じゃあ、仕事の話を、俺にコーヒーを、君は飲み物は?」
「同じもので」
「焼き菓子もありますよ、スイートポテトはお好きですか?」
「そこからスイートポテトを買うようにもなったんですよ」
「へぇ、そうなんだ」
「思い出の味というやつなんですよ」
螺殻(らがら)ミツが登校するのを友達は待っていた。
「絶対に美味しいよね」
「写真だけで美味しそうだものね」
「二人ともどうしたの?」
担任の傘目(かさめ)がウキウキしている生徒たちに聞くと。
「ミツちゃんが昨日山に行ったんで、私たちにお土産を買ってきてくれたらしいんですよ」
「それで楽しみにしてたのか」
「それだけじゃないですよ、水芭さんがスイートポテトを作ってくれたから持ってくると」
「!?」
「ああ、先生も食べたいんだ、たぶん先生の分もそっちはありますよ、さっき何人いる?って聞かれて、人数答えたら、足りるけども、ちょっと多目に持ってくるって言ってたし」
「先生、甘いもの好きなの」
「結構ね」
ミツがお菓子の箱を持ってくると、そこにいた教師と同級生たちもご相伴に預かった。
「螺殻さんの事務所ってお菓子屋さんの人なの?」
同級生に聞かれたが。
「うちbarもあるんだけども、この間迎えに来たに傘目先生と話していた人わかるかな?あの人が水芭さんね、あの人がbarで調理も担当しているし、たぶん傘目先生の方が料理の腕知っているんじゃないかな」
「うん、うちの道場にもおにぎりや唐揚げを差し入れてもっているけども、水芭さんって本当に料理が上手いと思う。人によって得意料理ってあると思うけども、あの人って、何を食べてもハズレがない気がする」
「先生が好きなガッツリ系も得意だし、こういうお菓子も美味しいし、barだからお酒のツマミも凄そう」
「お酒のツマミとか食事系もファンいるよ、うちのbarって関係者しかお客さんには来れないから、ここにいる人だと先生ぐらいかな、お客さんとして来てるの」
「いつもお世話になっております、といっても用件があるときだけしか俺はいかないけどもさ」
「そこは先生、たくさん食べてこようよ」
「そうなんだけども、あそこってやっぱり常連客が多いから、あんまり見かけない奴だなって顔されちゃうんだよね」
「だから他のお客さんいない時間とか、会わないようにしている人もいますよ」
「なんかもう会員制って感じがする」
「そうだね、あっ、そうそうこっちお土産ね、それとなんか小分けの袋?かな」
ミツは異世界生まれで育ちなので、お土産に小分け袋という文化はいまいちよくわかってはいないが、必要だからといって渡されていたが。
「これはおミツが選んだんじゃないね」
「名推理来たね」
「うん、そういうのまではよくわからなくて、覆木さんが持っていくといいよって」
「さすがは覆木さんだわ」
「わかる、こういうことするのって覆木さんだよね」
(覆木さんのイメージって一体)
不思議そうに友達を見ていたのだが、友達たちはというと。
(奥様、見ました、小分けの袋っていっておきながら、これエコバックの割りといいお値段するやつですよ)
(そうザマス、山地限定フキノトウスナックチーズ味とか妥当なお土産をチョイスはするけども、センスのいいエコバック四桁円をつけてくるのは、さすがは覆木さんよね)
その向こう、ミツの背中側にいた傘目は、うんうん、わかる覆木さんってそんなところあるよなと、生徒の気持ちが痛いほどわかったという。
「こんにちは、覆木(おおうき)さんはあちらです」
そういって来客者は窓辺のソファー席にいる覆木の元に向かった。
「早かったね」
「少しばかり、しかし…水芭さんは忙しい様子ですね、これならばもうちょっと時間を潰してくれば良かった」
「学校へお菓子をね、スイートポテトを、うちの子は昨日のお土産を友達に渡す時に一緒に持っていこうと思って、その準備だよ」
「では小分けの袋、必要じゃありませんかね?ちょうど良かったこういうものはいかがですか?」
そういってエコバックというのを並べてくれるが、覆木もそれは気に入って。
「いいの?」
「構いませんよ、いつもお世話になってるので、こういうときに恩を返させてくださいよ」
「こういうときってね、君にはいつも助けられているよ」
「えっ?そうなんですか?」
「お二人はいつものようにコーヒーと、お菓子も申し訳ありませんがスイートポテトで」
「ありがとうございます」
本当に水芭は忙しいのか、それだけ置いて、また厨房に戻っていった。
「さっきの話に戻りますけどもね、覆木さんが声かけてなかったら、私はどうなっていたのか本当にわからないので」
それは少し前の話だ。
その時はいわゆる定期的に購入してくれるお客というのがいなかった。
だから食事も節約しまくってた、何しろ扱っていたものの質を落とすわけにはいかないし、またプライドもあった。
「なんか君は面白いものを扱ってるね、それは俺でも買える?よかったら見せてくれないだろうか?」
興味本位か何かわからないが、そう覆木は声をかけた。
それで面白そうにそれを見て。
「いいね」
なんて言ってくれた。
正直趣味から始めたようなものなので、自分のセンスを誉められたようで、売れなくても今日はいい日だなと思えるような気分だった。
「良かったら、うちの事務所でもっと見せてくれないかな、うちの事務所はbarもあるんだけども、そこは食事もデザートもだしていて」
そういって写真も見せてくれた。
グー~
すごい、目で見て、お腹が減るのははじめてだ。
しかし、恥ずかしかったのだが、そこで覆木は何かに気づいて。
「水芭?ああ、俺、今からお客さんをつれていきたいんだけどもさ、ご飯ってよういしてもらえる?…うん、わかった、あっ、君さ、何好き?嫌いなものある?何か特別に食べたいものってあるのかな?」
と聞いてくれたが。
「え…あ…」
答えれなかった。
理由は察してください。
「じゃあ、今日の賄いだしていいかな、賄いのメニューって今日はなんだっけ?」
椎茸を刻んで、小さな海老の団子と共にかき揚げにしました、それをふっくらと炊いたご飯の上に乗せたあとに。
「特製のタレをかけてくれるそうだよ」
「あーーーーー!」
空腹、空腹でこんなに苦しむとは!
「待って、まずは何か食べなさい」
覆木はコンビニで食べるものを買ってきてくれて、それを口の中に入れることになった。
「落ち着いた?」
「はい、食べてはいたんですが、お恥ずかしい話です」
「それでも仕事の質は落とさないのは誰にでもできることじゃないよ」
「もっと、その、自分で戦えれば良かったんですけどもね、そうしたら困らなかったかなって」
「君みたいな人は必要だよ」
「そういってくれると…これからも仕事に精進したいと思います」
事務所の駐車場に覆木の車の音がしたので、水芭は支度を始めた。
「ただいま」
扉を開けると胡麻油の香りが漂い。
よだれが、ジュル。さすがにこれはまずいと口を抑えた。
「すいません、おトイレは?」
「向こうだよ」
「お借りします」
トイレの鏡を前にして、身なりをチェック、よし笑顔を浮かべて。
「初めまして、この度はお招きいただきましてありがとうございます」
水芭にそう挨拶をすると、向こうも笑顔を作り。
「こちらこそ初めまして、でも挨拶はここら辺にして、まずは食事からどうでしょうか?」
「重ね重ね申し訳ありません、それではお言葉に甘えさせていただきたいと思います」
「では準備しますね」
パチパチと油の中に具材を落としていき、揚がるとすぐに特製の出汁がかけられた、出汁を衣はよく吸って、そのハーモニーで飯が食えそうである。
「いただきます!」
サク、サクサク、ずっと噛んでいたい、なんで口の中から消えちゃうの?
「野菜もとってくださいね」
そういって大根と豆腐のお味噌汁が出てきたが、かき揚げに合わせているのか、塩分少な目で、これは飲めますよ。ゴクゴク行きたい、でもさすがに行儀が悪い、あせる気持ちと戦いながらごちそうさまでした。
「お粗末様でした」
「じゃあ、仕事の話を、俺にコーヒーを、君は飲み物は?」
「同じもので」
「焼き菓子もありますよ、スイートポテトはお好きですか?」
「そこからスイートポテトを買うようにもなったんですよ」
「へぇ、そうなんだ」
「思い出の味というやつなんですよ」
螺殻(らがら)ミツが登校するのを友達は待っていた。
「絶対に美味しいよね」
「写真だけで美味しそうだものね」
「二人ともどうしたの?」
担任の傘目(かさめ)がウキウキしている生徒たちに聞くと。
「ミツちゃんが昨日山に行ったんで、私たちにお土産を買ってきてくれたらしいんですよ」
「それで楽しみにしてたのか」
「それだけじゃないですよ、水芭さんがスイートポテトを作ってくれたから持ってくると」
「!?」
「ああ、先生も食べたいんだ、たぶん先生の分もそっちはありますよ、さっき何人いる?って聞かれて、人数答えたら、足りるけども、ちょっと多目に持ってくるって言ってたし」
「先生、甘いもの好きなの」
「結構ね」
ミツがお菓子の箱を持ってくると、そこにいた教師と同級生たちもご相伴に預かった。
「螺殻さんの事務所ってお菓子屋さんの人なの?」
同級生に聞かれたが。
「うちbarもあるんだけども、この間迎えに来たに傘目先生と話していた人わかるかな?あの人が水芭さんね、あの人がbarで調理も担当しているし、たぶん傘目先生の方が料理の腕知っているんじゃないかな」
「うん、うちの道場にもおにぎりや唐揚げを差し入れてもっているけども、水芭さんって本当に料理が上手いと思う。人によって得意料理ってあると思うけども、あの人って、何を食べてもハズレがない気がする」
「先生が好きなガッツリ系も得意だし、こういうお菓子も美味しいし、barだからお酒のツマミも凄そう」
「お酒のツマミとか食事系もファンいるよ、うちのbarって関係者しかお客さんには来れないから、ここにいる人だと先生ぐらいかな、お客さんとして来てるの」
「いつもお世話になっております、といっても用件があるときだけしか俺はいかないけどもさ」
「そこは先生、たくさん食べてこようよ」
「そうなんだけども、あそこってやっぱり常連客が多いから、あんまり見かけない奴だなって顔されちゃうんだよね」
「だから他のお客さんいない時間とか、会わないようにしている人もいますよ」
「なんかもう会員制って感じがする」
「そうだね、あっ、そうそうこっちお土産ね、それとなんか小分けの袋?かな」
ミツは異世界生まれで育ちなので、お土産に小分け袋という文化はいまいちよくわかってはいないが、必要だからといって渡されていたが。
「これはおミツが選んだんじゃないね」
「名推理来たね」
「うん、そういうのまではよくわからなくて、覆木さんが持っていくといいよって」
「さすがは覆木さんだわ」
「わかる、こういうことするのって覆木さんだよね」
(覆木さんのイメージって一体)
不思議そうに友達を見ていたのだが、友達たちはというと。
(奥様、見ました、小分けの袋っていっておきながら、これエコバックの割りといいお値段するやつですよ)
(そうザマス、山地限定フキノトウスナックチーズ味とか妥当なお土産をチョイスはするけども、センスのいいエコバック四桁円をつけてくるのは、さすがは覆木さんよね)
その向こう、ミツの背中側にいた傘目は、うんうん、わかる覆木さんってそんなところあるよなと、生徒の気持ちが痛いほどわかったという。
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