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一瞬のために生きる
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「ここにおもしろい人たちがいるって聞いてたんだけども、ハズレね、じゃあ、そういうことで」
ガキンと硬質な素材でできた趣味の悪い人形は、傘目(かさめ)の喉を突こうとするのだが、それは防がれる。
「それだけで命のやり取りに発展する?つまんないね」
旧校舎での授業をする際に異音、教室を背にしながら見る限りでは、外とは分断されたようだを
「いいのよ、私たちにはそれが全てだから」
「嫌になるね、一瞬のために生きるだなんて」
「だって、寿命もないし、若いままなのよ、そういうのが楽しみになっちゃう」
この言い方で、実際はけっこうな年齢から吸血鬼になったと思われる。
「あ~やだやだ、俺は人なんでね」
「あら、私も人だったのよ」
「人であったときも、ろくでもない人間だったんだろうね」
「うん、知ってる!」
「うわ~最悪だ、わかっててやってるやつだ、だからこっちを試すようなこともしているんだね」
「格好いいおじ様たちか、お兄さんに会えると思ったんだけども」
なんとなくトゲがある言い方。
(その格好いいおじ様と同じぐらいの年齢なのかな?)
等と考えているとそこに乾いた音がして、吸血鬼の手元は一度はじけてまた再生をする。
「届かなかったか」
駆けつけてきたのは瀬旭(せきょく)である。
「残~念!」
ペロリと吸血鬼は自分の手の甲をなめた。
「じゃあ、次ってことで」
「えっ?帰るよ」
「もうちょっといなよ、地獄行きのバスが来るからさ」
「そんなものに乗るはずないでしょ?…あなたはどっち?魔弾の射手?」
「銀の弾丸とか格好いい名前では呼ばれているね」
「大したことないね」
「そんなことは…ないと思うな」
「えっ?だって、銀の弾丸なら一発で私を灰にするんじゃないの?」
「したかったけどもね」
「名前負けね」
「そんなことはないとは思うけども」
「じゃあ、私はそろそろ行くね」
そういうと天井から硬質な人形たちが大雨のような音を立てて落ちてきた。
「待て」
「さようなら」
ああ、ついでに巻き込み自爆の命令を出しておくか。
そういって吸血鬼は改めて指示をだして消えていった。
「なんか大変なことになってるな」
覆木(おおうき)はKCJに通報したあとに追いかけてきた。
「ん?これ見てよ」
壊れた人形の頭部、内側を見ると。
「…中に人の魂入れて作ったのか」
封印加工を見て、現状何をすればいいのか覆木は考え。
「傘目先生、戦闘許可証持ち、教室にはミツを入れて何人いますか?」
「五人います、3人は経験積ませてますから前に出せます、あと二人は螺殻(らがら)さんもですが、まだ許可証取ったばかりですし、後ろにいてもらえるなら心強いです」
「この人形はみんなここで壊さなきゃダメだ、結構長い時間囚われた魂が入れられてるから、霧散してしまう」
「その代わり前の方には傘目先生だけじゃ大変だから、しいさんをうちから出すから」
「魔法はないんですか?」
「ここではダメだ」
白万(はくまん)は呼べないらしい。
「が、手札としてはある」
そういって傘目にもお守りの代わりの護符札を数枚渡すと。
「めっ」
「こちらがいつもミツについてもらっている、しいさん」
「何度かお見掛けしましたが、こうしてご挨拶するのは初めてですね」
「めっ」
(さすが傘目先生、サメレディの対応は完璧だね)
「しい、危険度は?」
キョロキョロと、しいは周囲を見回し。
「めっ」
「問題はないみたいだな」
「どうやって判断しているんですか?」
「本当に危ない、サメ基準で判断すると、こっちと指示とか聞こえなくなるんだ」
興奮しているわけではないが、戦いとなると集中してくる、こっちの問いに答えるだけの余裕があるならば、時間はかかったとしても、勝算はあるというところだろう。
「剣士もそういうところあるじゃん、強敵だとそれしか見なくなっちゃって、チームで対処しているのに勝手に動くみたいなさ」
「うちはもうコイツがそうだから、好き勝手動かれると大変なんだよな」
「えっ?俺ってそうだっけ?」
瀬旭は自覚があんまりない。
「ただこいつが動いた場合、必ず何か得るんだよね、特に未知との遭遇になるとこいつの野生の勘がね、頼りになるから、本当に困る」
「えっそれでいいじゃん」
(覆木さん、苦労してきたんだろうな)
教室側
「じゃあ、みんなは教室からでないでね」
螺殻ミツは教室に残る同級生達にそういうと。
「おミツ、これね」
そういって友人から鞄を渡された、中にはお菓子と飲み物が入っている。
「いいの?これ」
「いいよ、どうせ、多めに買ったし」
「ほら、私たちは異世界転移したことあるから、こういうのの大事さはわかってるんだ、ちゃんと私たちの分はあるから、これは螺殻ちゃんたちが使って」
「わかった」
「じゃあ行ってくるね」
ここの教室に通う生徒たちは、いつ巻き込まれるかわからないということで、服装も動きやすいというか、中には寝袋等詰め込んだ荷物でくるものもいる。
日常が崩れ、投げ出されたという経験がこびりついていた。
「大丈夫、みんな守るから!」
「よくこれで無事でしたね」
KCJの立ち会い検査が行われた。
「えっ?」
「だってこの人形、自爆とかするやつですよ、なんでかその指示が起動してなかったから助かってますが、この数から一体破壊したら、みんな連鎖で、旧校舎の人間は全員吹き飛んでいたでしょうね」
「うわ~命拾いした」
「本当に運がいいですね」
そうだね、瀬旭が吸血鬼の利き腕を一回吹き飛ばして、再生阻害が行われてなかったら、自爆スイッチ入れられて、しい以外は命はなかったかな。
あっ、でも待てよ、白万の護符を持っているのがあそこには四人いたから生き延びている…いやそれだと、人として生き延びるにはちょっと足りないから。
もしかして不死の盾、泉呼(せんこ)が守っていた魔女の螺殻ミツや、吸血鬼の傘目、高齢店主の水芭と繋がるフラグをここで折ったのかもしれない。
あぁ、もうぐちゃぐちゃだよ、この未来の計測はAIが私では計算出来ませんって答えちゃったしさ、生きるのって本当に面倒くさいな。
ガキンと硬質な素材でできた趣味の悪い人形は、傘目(かさめ)の喉を突こうとするのだが、それは防がれる。
「それだけで命のやり取りに発展する?つまんないね」
旧校舎での授業をする際に異音、教室を背にしながら見る限りでは、外とは分断されたようだを
「いいのよ、私たちにはそれが全てだから」
「嫌になるね、一瞬のために生きるだなんて」
「だって、寿命もないし、若いままなのよ、そういうのが楽しみになっちゃう」
この言い方で、実際はけっこうな年齢から吸血鬼になったと思われる。
「あ~やだやだ、俺は人なんでね」
「あら、私も人だったのよ」
「人であったときも、ろくでもない人間だったんだろうね」
「うん、知ってる!」
「うわ~最悪だ、わかっててやってるやつだ、だからこっちを試すようなこともしているんだね」
「格好いいおじ様たちか、お兄さんに会えると思ったんだけども」
なんとなくトゲがある言い方。
(その格好いいおじ様と同じぐらいの年齢なのかな?)
等と考えているとそこに乾いた音がして、吸血鬼の手元は一度はじけてまた再生をする。
「届かなかったか」
駆けつけてきたのは瀬旭(せきょく)である。
「残~念!」
ペロリと吸血鬼は自分の手の甲をなめた。
「じゃあ、次ってことで」
「えっ?帰るよ」
「もうちょっといなよ、地獄行きのバスが来るからさ」
「そんなものに乗るはずないでしょ?…あなたはどっち?魔弾の射手?」
「銀の弾丸とか格好いい名前では呼ばれているね」
「大したことないね」
「そんなことは…ないと思うな」
「えっ?だって、銀の弾丸なら一発で私を灰にするんじゃないの?」
「したかったけどもね」
「名前負けね」
「そんなことはないとは思うけども」
「じゃあ、私はそろそろ行くね」
そういうと天井から硬質な人形たちが大雨のような音を立てて落ちてきた。
「待て」
「さようなら」
ああ、ついでに巻き込み自爆の命令を出しておくか。
そういって吸血鬼は改めて指示をだして消えていった。
「なんか大変なことになってるな」
覆木(おおうき)はKCJに通報したあとに追いかけてきた。
「ん?これ見てよ」
壊れた人形の頭部、内側を見ると。
「…中に人の魂入れて作ったのか」
封印加工を見て、現状何をすればいいのか覆木は考え。
「傘目先生、戦闘許可証持ち、教室にはミツを入れて何人いますか?」
「五人います、3人は経験積ませてますから前に出せます、あと二人は螺殻(らがら)さんもですが、まだ許可証取ったばかりですし、後ろにいてもらえるなら心強いです」
「この人形はみんなここで壊さなきゃダメだ、結構長い時間囚われた魂が入れられてるから、霧散してしまう」
「その代わり前の方には傘目先生だけじゃ大変だから、しいさんをうちから出すから」
「魔法はないんですか?」
「ここではダメだ」
白万(はくまん)は呼べないらしい。
「が、手札としてはある」
そういって傘目にもお守りの代わりの護符札を数枚渡すと。
「めっ」
「こちらがいつもミツについてもらっている、しいさん」
「何度かお見掛けしましたが、こうしてご挨拶するのは初めてですね」
「めっ」
(さすが傘目先生、サメレディの対応は完璧だね)
「しい、危険度は?」
キョロキョロと、しいは周囲を見回し。
「めっ」
「問題はないみたいだな」
「どうやって判断しているんですか?」
「本当に危ない、サメ基準で判断すると、こっちと指示とか聞こえなくなるんだ」
興奮しているわけではないが、戦いとなると集中してくる、こっちの問いに答えるだけの余裕があるならば、時間はかかったとしても、勝算はあるというところだろう。
「剣士もそういうところあるじゃん、強敵だとそれしか見なくなっちゃって、チームで対処しているのに勝手に動くみたいなさ」
「うちはもうコイツがそうだから、好き勝手動かれると大変なんだよな」
「えっ?俺ってそうだっけ?」
瀬旭は自覚があんまりない。
「ただこいつが動いた場合、必ず何か得るんだよね、特に未知との遭遇になるとこいつの野生の勘がね、頼りになるから、本当に困る」
「えっそれでいいじゃん」
(覆木さん、苦労してきたんだろうな)
教室側
「じゃあ、みんなは教室からでないでね」
螺殻ミツは教室に残る同級生達にそういうと。
「おミツ、これね」
そういって友人から鞄を渡された、中にはお菓子と飲み物が入っている。
「いいの?これ」
「いいよ、どうせ、多めに買ったし」
「ほら、私たちは異世界転移したことあるから、こういうのの大事さはわかってるんだ、ちゃんと私たちの分はあるから、これは螺殻ちゃんたちが使って」
「わかった」
「じゃあ行ってくるね」
ここの教室に通う生徒たちは、いつ巻き込まれるかわからないということで、服装も動きやすいというか、中には寝袋等詰め込んだ荷物でくるものもいる。
日常が崩れ、投げ出されたという経験がこびりついていた。
「大丈夫、みんな守るから!」
「よくこれで無事でしたね」
KCJの立ち会い検査が行われた。
「えっ?」
「だってこの人形、自爆とかするやつですよ、なんでかその指示が起動してなかったから助かってますが、この数から一体破壊したら、みんな連鎖で、旧校舎の人間は全員吹き飛んでいたでしょうね」
「うわ~命拾いした」
「本当に運がいいですね」
そうだね、瀬旭が吸血鬼の利き腕を一回吹き飛ばして、再生阻害が行われてなかったら、自爆スイッチ入れられて、しい以外は命はなかったかな。
あっ、でも待てよ、白万の護符を持っているのがあそこには四人いたから生き延びている…いやそれだと、人として生き延びるにはちょっと足りないから。
もしかして不死の盾、泉呼(せんこ)が守っていた魔女の螺殻ミツや、吸血鬼の傘目、高齢店主の水芭と繋がるフラグをここで折ったのかもしれない。
あぁ、もうぐちゃぐちゃだよ、この未来の計測はAIが私では計算出来ませんって答えちゃったしさ、生きるのって本当に面倒くさいな。
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