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君みたいな綺麗な肌に牙をたてるなんて、とてもできそうにないから、俺は吸血鬼失格だね
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螺殻(らがら)ミツは、新しいコートに袖を通した。
仕立てたもののようなので、これは確実に覆木(おおうき)プロデュースと見た。
そんな彼女はとても凛凛しい。
「事務所のファンが騒ぎそう」
というのは現在の同級生の一人である。
「それはあると思う」
同じくこちらも。
「先生はこの写真見てどう思いますか?」
傘目(かさめ)にも聞いてみるのだが。
「腕周りの邪魔にならない作り出し、丈も持ち物が見えにくいようになってるからいいんじゃない?」
「ソルジャーな感想をありがとうございます」
「ダメだよ、先生にそんな感想を求めちゃ、私たちは覆木さんたちを見ているから、夢を見れるわけだし」
(聞こえている、というか、そこまで直球で言われると結構こたえる)
「あっ、先生、あれですよ、ファンクラブがざわざわしてるかなって思ったら、ざわざわしてましたよ」
おニューのコートを着たおミツ様に、「おはようございます」って挨拶されちゃった。
火力が高すぎるわ。
また尊いものが増えてしまった。
書類の確認のために、覆木と会うのだが、その前にミツがいた。
「あれ?どうしたの?」
「先生、こんにちは」
「はい、こんにちは、それでどうしたんですか?」
「今、覆木さんがあそこのカフェにいるのですが、連絡はいれましたが、あのようにファン対応をしているので」
「呼んでくればいい?」
「出来れば」
「わかった、螺殻さんが行くともっと盛り上がりそうだから、俺が行くよ」
「では事務所の方で先に待ってますね」
カフェに近づくと、いきなりファンの女性陣がワー!と歓声をあげた。
何があったのだろうか。
「覆木さん、書類を持ってきたので、確認をお願いしたいんですが?みなさんすいませんが、守秘義務がある書類ですので、覆木さんをお借りします」
「バイバイ」
そこでまたワー!である。
しばらく歩いたあと。
「すごい人気ですね」
「最初からそういうわけではなかったんだけどもね、元々はあのカフェが出来た時からのお客が俺だったんだけども」
覆木が通うような店、そりゃあ採算性を考えてないこだわりのお店というやつだ。
「なんか女性客がぽつりぽつり増えたときに、お客が俺だけの時に店主が…」
「あなたがいると、それを目当てに女性客が来るんですよ」
「って言われて」
「モテる男はこれだから、それでそのままキャーキャー言われるためにいるんですか?」
「まさか、俺がいるから食えているっていうのが見えてから、無くなったら困るからさ、俺一人か、事務所から掃除の邪魔ですって追い出された瀬旭(せきょく)連れていったりするな、ミツはさすがに連れていきにくい」
「螺殻さん、あのファンの方々から、おミツ様って呼ばれてるみたいですが、知ってました?」
「おミツ様?それは知らない、でも結構評判はいいみたいなんだよね、なんていうの王子様系ってやつ、特に制服着るとね、見ただけでざわざわしているのを見るよ」
「そういえばさっきワー!ってなってましたが、何したんです?今日は日本代表の試合はなかったはずですが」
「吸血鬼が最近多いから、気をつけてねっていう話をして」
「それであのワー!はないでしょう?」
「そう、ええっとその後ファンの子が」
「私、覆木さんが吸血鬼なら噛まれたい!」
「っていったんだよね、だから俺は」
「君みたいな綺麗な肌に牙をたてるなんて、とてもできそうにないから、俺は吸血鬼失格だね」
「それですね」
「それか…」
「自然とそういう言葉が出すぎて、何が相手に受けているのか、把握してないから、それは勘違いされますよ」
「でもさ、そういうの女の子に言わない?」
「言えないでしょ」
「好きな子にも?」
「好きな子か…」
「傘目先生は、俺が言うのはなんだけども、キザな言葉は似合うと思うよ」
「無理でしょ」
「そんなこと言わずに、挑戦してみてよ、なんだかんだで女の子はそういう言葉もとめているから、決めたら格好いいから、もしも恥ずかしいなら、ほら、まず目をつぶって」
「えっ、あっ」
「言葉が思い付かないなら、さっき俺がいった言葉引用してもいいから、まずはやってみようよ」
「あれを言うんですか」
「とりあえずいってみて」
目をつぶる。
(ええっと)
「君の肌はとても白いね、素敵だよ、俺が吸血鬼なら、すぐに狙っていたぐらいだよ」
そこで目を開けると、ミツが視界にいたので。
「先生、何をしているんですか?」
「すいませんでした」
すぐに謝る。
「ちょっとね、台詞の練習ってやつだよ、ほら、もうすぐハロウィンでしょ」
「だから先生が『吸血鬼なら』とか言ってたんですね」
「ミツはあの台詞どう思う?」
「先生に狙われたら、私は逃げられませんね」
はい、ここで傘目の心はぐらぐーら。
「う~ん、でもやっぱり悔しいから一矢はむくいたいかな、ワイヤーソーだと切られちゃうし、足止めできるものって何かあったかな」
たぶんその時、「先生、大好き」とかいえば止まるじゃないかな。
(それはさすがに心ない言葉ってわかるから)
おや、じゃあどうしまょうかね。
「そういうときはですね」
先生、どうかしましたか?なんで泣きそうな顔をしているんですか?
またお会い出来てうれしいです。
仕立てたもののようなので、これは確実に覆木(おおうき)プロデュースと見た。
そんな彼女はとても凛凛しい。
「事務所のファンが騒ぎそう」
というのは現在の同級生の一人である。
「それはあると思う」
同じくこちらも。
「先生はこの写真見てどう思いますか?」
傘目(かさめ)にも聞いてみるのだが。
「腕周りの邪魔にならない作り出し、丈も持ち物が見えにくいようになってるからいいんじゃない?」
「ソルジャーな感想をありがとうございます」
「ダメだよ、先生にそんな感想を求めちゃ、私たちは覆木さんたちを見ているから、夢を見れるわけだし」
(聞こえている、というか、そこまで直球で言われると結構こたえる)
「あっ、先生、あれですよ、ファンクラブがざわざわしてるかなって思ったら、ざわざわしてましたよ」
おニューのコートを着たおミツ様に、「おはようございます」って挨拶されちゃった。
火力が高すぎるわ。
また尊いものが増えてしまった。
書類の確認のために、覆木と会うのだが、その前にミツがいた。
「あれ?どうしたの?」
「先生、こんにちは」
「はい、こんにちは、それでどうしたんですか?」
「今、覆木さんがあそこのカフェにいるのですが、連絡はいれましたが、あのようにファン対応をしているので」
「呼んでくればいい?」
「出来れば」
「わかった、螺殻さんが行くともっと盛り上がりそうだから、俺が行くよ」
「では事務所の方で先に待ってますね」
カフェに近づくと、いきなりファンの女性陣がワー!と歓声をあげた。
何があったのだろうか。
「覆木さん、書類を持ってきたので、確認をお願いしたいんですが?みなさんすいませんが、守秘義務がある書類ですので、覆木さんをお借りします」
「バイバイ」
そこでまたワー!である。
しばらく歩いたあと。
「すごい人気ですね」
「最初からそういうわけではなかったんだけどもね、元々はあのカフェが出来た時からのお客が俺だったんだけども」
覆木が通うような店、そりゃあ採算性を考えてないこだわりのお店というやつだ。
「なんか女性客がぽつりぽつり増えたときに、お客が俺だけの時に店主が…」
「あなたがいると、それを目当てに女性客が来るんですよ」
「って言われて」
「モテる男はこれだから、それでそのままキャーキャー言われるためにいるんですか?」
「まさか、俺がいるから食えているっていうのが見えてから、無くなったら困るからさ、俺一人か、事務所から掃除の邪魔ですって追い出された瀬旭(せきょく)連れていったりするな、ミツはさすがに連れていきにくい」
「螺殻さん、あのファンの方々から、おミツ様って呼ばれてるみたいですが、知ってました?」
「おミツ様?それは知らない、でも結構評判はいいみたいなんだよね、なんていうの王子様系ってやつ、特に制服着るとね、見ただけでざわざわしているのを見るよ」
「そういえばさっきワー!ってなってましたが、何したんです?今日は日本代表の試合はなかったはずですが」
「吸血鬼が最近多いから、気をつけてねっていう話をして」
「それであのワー!はないでしょう?」
「そう、ええっとその後ファンの子が」
「私、覆木さんが吸血鬼なら噛まれたい!」
「っていったんだよね、だから俺は」
「君みたいな綺麗な肌に牙をたてるなんて、とてもできそうにないから、俺は吸血鬼失格だね」
「それですね」
「それか…」
「自然とそういう言葉が出すぎて、何が相手に受けているのか、把握してないから、それは勘違いされますよ」
「でもさ、そういうの女の子に言わない?」
「言えないでしょ」
「好きな子にも?」
「好きな子か…」
「傘目先生は、俺が言うのはなんだけども、キザな言葉は似合うと思うよ」
「無理でしょ」
「そんなこと言わずに、挑戦してみてよ、なんだかんだで女の子はそういう言葉もとめているから、決めたら格好いいから、もしも恥ずかしいなら、ほら、まず目をつぶって」
「えっ、あっ」
「言葉が思い付かないなら、さっき俺がいった言葉引用してもいいから、まずはやってみようよ」
「あれを言うんですか」
「とりあえずいってみて」
目をつぶる。
(ええっと)
「君の肌はとても白いね、素敵だよ、俺が吸血鬼なら、すぐに狙っていたぐらいだよ」
そこで目を開けると、ミツが視界にいたので。
「先生、何をしているんですか?」
「すいませんでした」
すぐに謝る。
「ちょっとね、台詞の練習ってやつだよ、ほら、もうすぐハロウィンでしょ」
「だから先生が『吸血鬼なら』とか言ってたんですね」
「ミツはあの台詞どう思う?」
「先生に狙われたら、私は逃げられませんね」
はい、ここで傘目の心はぐらぐーら。
「う~ん、でもやっぱり悔しいから一矢はむくいたいかな、ワイヤーソーだと切られちゃうし、足止めできるものって何かあったかな」
たぶんその時、「先生、大好き」とかいえば止まるじゃないかな。
(それはさすがに心ない言葉ってわかるから)
おや、じゃあどうしまょうかね。
「そういうときはですね」
先生、どうかしましたか?なんで泣きそうな顔をしているんですか?
またお会い出来てうれしいです。
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