浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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ここは景色がいいのだろうが、少し寒いね。

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コンコン
「はーい」
螺殻(らがら)ミツは勝手口を開けると。
「あれ?」
誰もいない。
「あれれ?」
キョロキョロと見渡すが誰もいない。
「ミツさんこれはね」
水芭(みずば)がいうには、ミツには見えてはいないが、お客さんはいるという。
「お客さんというか、迷子なんだけもどもね」
そういってチョコレートを空に渡そうとすると、それが消えた。
(水芭さんの目線、ここにいるの子供なんだ)
「迷子は送り届けなくっちゃいけないね、悪いけどもKCJにこれから行くよ」
「わかりました」
車中では子供が好きそうな音楽をいろいろとかけていはいるが、雑音が入る。
「これじゃない、ごめんね、あまりおじさんくわしくはないんだ」
そういって水芭は次々と変えていくと、音楽を切り替えようとしても変えれなくなった。
「この曲だって」
それが何度も流れるので。
「リピートになってるんですか?」
「いや、全然、これがいいんだろうね」
「男の子ですか」
「うん、そう、でもこの曲は結構前の曲だ」
タイトル名に続いて()に発表の年数を現す数字を指差す。
「でもね、それでも特定するの難しいんだよね、ヒーロー物の曲なんて特にだよ、当たり前のように自分の生まれる前の曲を知ってるんだからさ」
KCJの支部に到着すると、猫がずらりとお出迎え。
「可愛いですけども、多いかな」
「これ全部ケットシーだな、支部にいるケットシーみんな居るんじゃなかな、あっ、ダメだ!」
水芭が慌てる。
バシ
ケットシーの一匹が空にシーパンチ。
「ニャー」
上から目線で何かいってる。
「ええっとですね、それはですね」
KCJの職員がやってくるのだが、言いづらそうだ。
「ミツさん、今ね、あの子、ケットシーを食べようとした」
「食べ?食べようとした?」
「それをケットシーにパンチされてやめたんだ」
それこそその瞬間人間から逸脱した姿になったそうだ。
「ケットシーたちに任せれば大丈夫なので、すいませんが、その子の似顔絵を作りたいので、ご協力ください」
「わかりました」
見えている人と見えてない人がいるので、似顔絵は何人もの見え方を参考にして特定作業は始められるが、こういう仕事というのは金にならないからないものなので、本来であればKCJに連絡するだけで終わる。


「こういう仕事は気が滅入る」
「そういうことを言うなよ、気が滅入るには違いはないがね」
事務所の協力者たちにお願いし、おそらくこの辺に眠るのではないかという推測が立てられた。
瀬旭(せきょく)と覆木(おおうき)は、歩いていく。
「ここら辺だと思う」
菊のような香りが漂う。
「そうだな、こんな生え方しているところだから、もう二年もすれば、この辺はみんな下草で覆われてしまって、見えなくなっていただろう」
歩き方を知る瀬旭の後をついていくが、道はすぐに終わった。
手を合わせたあと。
「ごめんね、待たせちゃったよ」
「ここは景色がいいのだろうが、少し寒いね」
覆木は仕立てのいいコートを脱ぎ、シートの代わりにかけると、サイレンが近づいてくる音が聞こえた。
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