浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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川の数だけ魔法があるという

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「ちょうど良かった、探してたんだが、リーダーいる?」
「いない、三日後にこっちに来る」
「三日か」
「何があった?」
「グリーンアイズだよ」
「また巣があったが」
「そっ、時期だからしょうがないんだけども、こうあっちこっちに巣を作られたらたまらないよ、放置するわけにもいかないし」
早めに除去しないと、人を恐れなくなり、襲ってきます。
「お尻はシマシマ、白くてまん丸卵がたくさんあってとか報告来たら、すぐにやらなきゃダメだろ」
「私がやろうか?」
「そういえば…そうか」
元々ソロでグリーンアイズを駆除してました。
「でもな、この間のことがあったから、一人は怖いんだよな」
しかし考え直したのか。
「いや、頼むわ、薬を吹き掛けてくれるだけで、人を揃えるまでの時間が稼げるし、素人には任せられないんだよ」
「何かしたのか?」
「グリーンアイズの巣が見えるところで、花を刈り取って」
その花もグリーンアイズが花粉をチョンチョンしたりするので、すごく危ない行為である。
「頭が痛くなるな」
「そうだよ、だからリーダーに頼みたかったんだよ」
「では引き受ける」
グリーンアイズは縦横無尽に飛び回るが、その相手を一人でやるにはコツがある。
「そろそろか」
まず時間、夕暮れを狙う。
ここから目的地まで、ちょうど日が沈むがまだ明るい時間である。
グリーンアイズはこの時間だと巣の中でおとなしくしているはずだ、実際にその目で見ないとわからないが、うん、巣から飛び回るものは確認されてないし、見えるのは白くてまん丸な卵である。
道具を確認する、煙幕と薬、それと道具ではないが、そのまま走って距離を取る逃げ足。
煙幕を巣の下辺りに向かって投げる。
地味にこれは難しいもので、意外と外すこともあるが。
バチバチバチ
派手な音を立てて煙が吹き出す、一気に吹き出すから、短時間しか効果がないものだが、風もないため、巣に目眩ましになる。
ブンブンブン
グリーンアイズが巣から出てきた、が煙幕を撤去することはできないから、慌ててるだけであった。

そこにだ。

煙幕と混ぜることによって、効果が出る薬をかけた。

すると発生するガス。
これにはグリーンアイズ種に効果的とされる薬剤成分も含まれていたが、その間に仕掛けた本人は逃げてグリーンアイズの目では追えない位置にまで駆け抜けていた。
今、確認しなくて大丈夫か?と思われるが。
(確認は明日の同じ時間だ)
理由はさすがにグリーンアイズも、一日中敵対行動への警戒はしないためであるし。
全滅させれなくても確実に成虫の数は減らせているという自信はある。

次の日、数は減ったのがわかったので、もう一度同じことをする。

これで自分の仕事はおしまい。

理由としては使った薬は二回分で巣にもしばらく残るからである。

何故に一回でやらないのかというと、それは昔試したが、どうしても薬が強すぎて、吹き付けると喉にくる、それこそ完全装備をして使わなければならないが、グリーンアイズの巣は人気のないところにある、完全装備のまま逃げるとなると、他の獣に遭遇した場合が怖いのだ。
失敗を繰り返して、一人でも解決する方法はないだろうか、それがこのやり方であったし、結果を出せるやり方を発見してからは、このプランを越えてくるグリーンアイズはいなかった。
「ただちょっと越えて来てほしいところはないわけではないんだがな」
それならば新しい薬を考えるのもまた楽しいというやつだ。
「というわけで明日の昼辺りに一度確認してくれ、それで飛び回っているのがいたら、また薬を吹き付けるから」
「わかった、支払いは個人ではなくパーティーとして受けとるでいいんだな」
「ああ、勝手に受けたからな、そのぐらいはさせてくれ」
「わかった」
飛び回るグリーンアイズがいないことが確認され、そのまま巣を破壊することになったという。


「と、まあ、仕事を受けたわけなんだが、大丈夫なのか?」
「頭痛い」
「回る~」
魔法を使わない二人のメンバーが二日酔いみたいになっていた。
「はい、これ飲んで、楽になるわ」
「ありがとう」
「悪い」
そういって中和のための水分を取らせていた。
「一体何があったんだ?」
「ほら、この間の商人さんなところの、サメさんいたでしょ、モンスター追い払ったときの衝撃ってやつ」
重低音の『サッ』で、鳥がバサバサ飛んだあれである。
「あのせいで、二人とも夢見が悪くなっちゃって、あれって川魔法でしょ」
「それで二日酔いみたいになっていたのか」
「辛さわからねえだろう、大変なんだぞ、俺の格好したサメが夢の中に出てきてよ、リーダーがいうんだわ、今日から俺の代わりにパーティーに加わるんだとよ」
「私もなんだよね、私の格好したサメが、リーダーに紹介されるの、この子はうちの子です」
それは二人にとって悪夢だという。
「そのままじゃな、川魔法『悪夢』がかかってるな、しかしだな、なんていえばいいのか、もう少し腕を磨いた方がいいんじゃないか?でなければ、夢の通りにお前たちの代わりにサメが選ばれてしまうぞ」
「くっそ、っていうか、なんでそっちは大丈夫なんだ?」
「魔法を使えるからかしら?」
「きちんと研鑽するのを忘れてないからだろうな」
と言っていた二人は、この日の夜、川魔法の影響が出てしまった。
自分の格好をしたサメが、リーダーに新しい仲間です、頼れますなどと紹介されるのは共通であるが。
「この手帳はこの子にこそ相応しい」
「サッ」
魔法を使える男は、そういって用意した手帳をリーダーから渡されているのを見て、ショックを受けて目覚めたという。
「川魔法ってなんなんだ、あれは…」
「油断してたわけではないけども、とても辛いわ」
そこにリーダーが予定より早く現れた。
「あれ?みんなどうしたの?」
その時である。
みんな一斉に川魔法が解けたのであった。
「?」
「?」
「??」
「なんだこりゃ?」
「えっ?本当にどうしたのさ」
そこで何があったのか説明する。
「川魔法?」
「そうだ、川の数だけ魔法があるという川魔法だ、リーダーにはサメ魔法と言った方がわかりやすいかもしれない」
「どっちも知らないな」
「悪夢だけじゃないぞ、台風を呼ぶとか、後怖い話で、どこからともなくサメがずっと頭の中で鳴き続けるものもあるんだ」
台風を呼ぶのはサメの怒りが958ヘクトパスカルだし、頭の中で鳴くは、テレパシーのことじゃ…おっちゃん使っているあれのことじゃないでしょうかね(名推理)
鳴き声が聞こえるは、たぶんその人、サメの言葉わからないだけで、内容的にはサメはものすごいくだらない話しかけをしてると思う。
それこそ…
「ウメーウメー、今日も芋がウメー」とかそんなんですよ。

「とりあえずこちらからはみんなにはいつまでも頑張ってもらえたらなと、ただやめる場合は出来るだけ早くいってくれたら、お願いね」
「それは今は考えてない」
「そうだよ」
魔法は解けたがみんな辛そうなので、リーダーは人数分の飲み物のオーダーをとった。
「それこそ、リーダーはどうなの?あの商人さんとは付き合いが長いし、こういってはなんだけども、あの人も、サメさんも私たちよりずっと強いわよ」
「依頼というより、誘いはなかったのかよ」
「一回もないよ、それこそ、あの人は一人でやっていけるけども、そうしないと安くて良いものを扱えないからだそうだし、それこそさ、変なところでお店を開くんだよ、あの時言ってたでしょ、迷宮内がどんなものかって」
「あれは本当に店出しているのか?冗談じゃなく」
「うん、知り合いになったきっかけがそっちに修行しに行った時だし」
リーダーはKCJの戦闘許可証を持っていないので、生まれ育った世界では武装できないので、練習する場所一つ見つけるにも苦労します。
実際に命がかかったところで、頑張ってみようというとんでもない方針で、普通にお店がありました。
「タヌキとかキツネではなく?」
「泥団子売ったら信用にかかわるんで」
そうはいってもこの値段、この品質は少し怖かったのだが。
「全部ね、説明通りの良いものだったんだよね」
なので駆け出しの頃だったため色々と買っていったら。
「いつの間にか常連になってたんだよね」
見かけたら毎度様ですと言われるようになったという。
「一緒にいたサメは、それこそ選ばれしサメチーム、レッドノーズにいたサメだけども、昔はいなかったから、契約したの最近じゃないかな」
正解、結婚するとそれを機会にレッドノーズを退職するサメは結構いる。
家族との時間を取りたいなどがその理由なのだが、河川ザメは子供が大きくなるのが早いので、そうなると、こうね、血、肉が、ヒレを叩いて大喜びするような世界が恋しくなるので。
「じゃあ、契約で」
ヒリヒリした世界に身を置く人間と組むことはよくあるそうだ。



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