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けーしーじぇい
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「すまないが、お前にはこの試験を受けてもらいたい」
後ろの背景が透けている、半透明の父から朝食後にそんな話をされた。
「オヤジ、何があったんだ?」
「何から話せばいいか」
仕えている主人がサメにハマった。
「そのサメは人霊研究家の側面も持っていてな」
「大丈夫、オヤジ、成仏されない?」
「そういうサメではないのだが…まあ、良い、合戦で亡くなってからもこの世に何故かとどまってしまい、赤ん坊の頃のお前を育てることになったが」
「めっちゃ感謝してる、うちの親に育てられるよりは全然いいよ」
「そうか、喜んでくれるのはうれしいが、こちらは複雑だな」
「俺が生きてるって知ってたら、返すあてのない金を借りに来るって言われているし、それがどういうことなのか、調べれたりしたらさ、そりゃあ、生きているのを隠すよなって思ったわ」
「それでだ、私の技を色々と教えたが、お前には、けーしーじぇいの許可証を取って来てほしい」
けーしーじぇい
「K…C…J、あっ、これか」
さっさと検索した。
「落ちてもまた次の週受けれるなら、楽かも」
「挑戦は四回までだ」
「えっ?なんでさ」
「それで出来なければ、お前にはこの世界で生きない方がいい、主人は受かるまでやれというかもしれないが、そこは私が決めさせもらった」
その場合はお金は出すから独り暮らししろってさ。
…これは俺には結構ショックなことである。
何しろずっとこういう生き方をして来ているわけだし、それをやめろという話だ。
同年代がどういう生活を知らないわけではないが、こう…あんまり楽しそうじゃない。
なんで嫌なことに愛想よく返事しているのかなと思ったんだよ。
そんな時だ。
未経験者でもKCJの戦闘許可証、合格者が出たそうで、明らかにみんな盛り上がっているのがわかった。
俺は少しひねくれものなところがある、というか、なんというか、この熱に浮かされているときっていうのは、結構痛い目に合う。
オヤジは何度か注意されたことがあるからだ。
ただ合格してもダメだな…
なんもなく思った。
いや、いい結論だ、そこから少し考えていこう。
未経験者というのは流派など特定の所属がない人間を指すらしい。つまり俺は未経験ではないことになる。
他にもこういった資格類はあるそうなのだが、もしも父から受けろと言われた場合は、おそらく推薦書などを持たされて、試験を受けることになるだろうし、そもそも合格出来るだろう実力がなければ父が使える殿主様も、父も受けることは許さないだろう。
そこまで節穴ではないと思われる。
でも明らかにこの未経験者合格しましたというので騒いでいる中には、節穴、ないし下駄を履かせた人たちを合格させたいのも揃っているのが気になるんだよな。
俺のダメ親レーダーに反応しまくっているんだわ。
赤ん坊の時に別れているから、そういうのがわからないんじゃないのか?と言われそうだが、逆だよ。
まともに育てられているから、まともじゃない親の所業に拒絶反応があるんだわ。
「ん?難しい顔をして、なんか書類読めないところあった?」
そういってきたのはKCJの職員で。
「いえ、そうではなくて、私、異界育ちなので」
「ああ、そういう」
通りで。
試験はどんな人間も受けることができるので、色々な人間が今、週末の窓口に集まってきている。
今日の申し込みで、最速の試験は明日のもの。
週の初めと終わりというのはこみ合うのは役所や銀行などと同じだが、ここに来ているのは…
(化けているのもいるな)
警備の制服を来た職員があちこちに立っているが。
(さっきより数が…増えている、いや、変わってるな)
さりげなく歩いて、位置取りを変えている。
一人の位置取りならば、だれを狙っているのかわからないが、三人目で彼はこれから何をするのかわかった。
「それでは申し込みは終了となります、明日は朝8時に正面玄関にお集まりください」
申請書を出して、代わりに受験票をその手に取ると。
警備が動いた。
(早いな)
刃の煌めきで抜いたのがわかったぐらいで、どの位置から駆け出したのか、…あそこからかよ、踏み込みの一歩とんでもねえわ。
ガキン
刃物と、化け物の爪が衝突する音。
それに驚くものもいるし、眉一つ動かさないものもいる。
「きゃぁぁぁぁ」
悲鳴を上げた人がその場にしゃがみこんだが、そこは戦場より少し遠い。
短時間で戦えるもの、そうでないものの区別がついたの?すごくない?
んで俺は。
「見ているといいんじゃないか?」
KCJ職員に話しかけられた。
「いいんですか?」
「いいだろう、そのためにこの距離に移動したんだろう」
ピシッ
破片がこっち飛んできた、当たらないが、威力から、しまったな、間合いの管理甘かったな。などと反省した。
「何か飲む?」
「あっ、じゃあ、お茶で」
「はい、お茶」
職員はそんな中、俺に自販機からお茶を奢ってくれたが、この人もすごいな、なんでじゃあ、俺は何を飲むかなで後ろ向けんの?そこで戦闘しているのに。
「慣れ」
「そういうの口に出しましたっけ?」
「なんかそういうの聞きたそうだったし」
「まあ、そうですが、あれ、なんですか?」
「わからない、けども、何人か混ざってるね」
「人…なんですか?」
人の姿はしているが、猛禽類のような爪で警備の刀剣をガードしたり、はじいたり、隙あらば警備の首や足を捕まえようとしている。
「3、4人ぐらい、おそらくデスゲームしたんだろうね」
「デスゲームするとあんなのになるんですか」
「今、表側に出ているのは体術、拳法の人じゃないかな、基本に忠実すぎるからすぐにわかるね」
「詳しいですね」
「後継者がいない武術を、今はそういう神社に技を奉納するという形で保存する試みがあって、KCJの職員や戦闘許可証持ちも、交戦した相手の未練を供養、これは宗教の言葉としては混ざってしまっているが、そういったこともしてるから」
ナリタツなんかはその奉納された技から習っているため、依頼を受けたは先に、そこに道半ばの武芸者がいた場合は、出身世界問わずその技を再演し奉納している。
奉納神社の神主が前にナリタツが相談していた先輩、所属がない駆け出しの頃に神社に奉納された教えれる技のいくつかを教えたこともあって、頭が上がらない人のうちの一人。
「あの人も奉納されるんですか?」
「いや、それないね」
「なんでですか?」
「その技で道を違えてしまったようだからね」
「それはその…」
「さっきも言ったじゃん、デスゲーム、あれに勝てると思って、自分ならいけると思って参加しちゃったのならば、それ相応の罰を受けなければいけないんだよ」
まっ、これは子供に言う話じゃないか。
デスゲームに参加しよう、一攫千金も夢じゃない、それは詐欺です。
後ろの背景が透けている、半透明の父から朝食後にそんな話をされた。
「オヤジ、何があったんだ?」
「何から話せばいいか」
仕えている主人がサメにハマった。
「そのサメは人霊研究家の側面も持っていてな」
「大丈夫、オヤジ、成仏されない?」
「そういうサメではないのだが…まあ、良い、合戦で亡くなってからもこの世に何故かとどまってしまい、赤ん坊の頃のお前を育てることになったが」
「めっちゃ感謝してる、うちの親に育てられるよりは全然いいよ」
「そうか、喜んでくれるのはうれしいが、こちらは複雑だな」
「俺が生きてるって知ってたら、返すあてのない金を借りに来るって言われているし、それがどういうことなのか、調べれたりしたらさ、そりゃあ、生きているのを隠すよなって思ったわ」
「それでだ、私の技を色々と教えたが、お前には、けーしーじぇいの許可証を取って来てほしい」
けーしーじぇい
「K…C…J、あっ、これか」
さっさと検索した。
「落ちてもまた次の週受けれるなら、楽かも」
「挑戦は四回までだ」
「えっ?なんでさ」
「それで出来なければ、お前にはこの世界で生きない方がいい、主人は受かるまでやれというかもしれないが、そこは私が決めさせもらった」
その場合はお金は出すから独り暮らししろってさ。
…これは俺には結構ショックなことである。
何しろずっとこういう生き方をして来ているわけだし、それをやめろという話だ。
同年代がどういう生活を知らないわけではないが、こう…あんまり楽しそうじゃない。
なんで嫌なことに愛想よく返事しているのかなと思ったんだよ。
そんな時だ。
未経験者でもKCJの戦闘許可証、合格者が出たそうで、明らかにみんな盛り上がっているのがわかった。
俺は少しひねくれものなところがある、というか、なんというか、この熱に浮かされているときっていうのは、結構痛い目に合う。
オヤジは何度か注意されたことがあるからだ。
ただ合格してもダメだな…
なんもなく思った。
いや、いい結論だ、そこから少し考えていこう。
未経験者というのは流派など特定の所属がない人間を指すらしい。つまり俺は未経験ではないことになる。
他にもこういった資格類はあるそうなのだが、もしも父から受けろと言われた場合は、おそらく推薦書などを持たされて、試験を受けることになるだろうし、そもそも合格出来るだろう実力がなければ父が使える殿主様も、父も受けることは許さないだろう。
そこまで節穴ではないと思われる。
でも明らかにこの未経験者合格しましたというので騒いでいる中には、節穴、ないし下駄を履かせた人たちを合格させたいのも揃っているのが気になるんだよな。
俺のダメ親レーダーに反応しまくっているんだわ。
赤ん坊の時に別れているから、そういうのがわからないんじゃないのか?と言われそうだが、逆だよ。
まともに育てられているから、まともじゃない親の所業に拒絶反応があるんだわ。
「ん?難しい顔をして、なんか書類読めないところあった?」
そういってきたのはKCJの職員で。
「いえ、そうではなくて、私、異界育ちなので」
「ああ、そういう」
通りで。
試験はどんな人間も受けることができるので、色々な人間が今、週末の窓口に集まってきている。
今日の申し込みで、最速の試験は明日のもの。
週の初めと終わりというのはこみ合うのは役所や銀行などと同じだが、ここに来ているのは…
(化けているのもいるな)
警備の制服を来た職員があちこちに立っているが。
(さっきより数が…増えている、いや、変わってるな)
さりげなく歩いて、位置取りを変えている。
一人の位置取りならば、だれを狙っているのかわからないが、三人目で彼はこれから何をするのかわかった。
「それでは申し込みは終了となります、明日は朝8時に正面玄関にお集まりください」
申請書を出して、代わりに受験票をその手に取ると。
警備が動いた。
(早いな)
刃の煌めきで抜いたのがわかったぐらいで、どの位置から駆け出したのか、…あそこからかよ、踏み込みの一歩とんでもねえわ。
ガキン
刃物と、化け物の爪が衝突する音。
それに驚くものもいるし、眉一つ動かさないものもいる。
「きゃぁぁぁぁ」
悲鳴を上げた人がその場にしゃがみこんだが、そこは戦場より少し遠い。
短時間で戦えるもの、そうでないものの区別がついたの?すごくない?
んで俺は。
「見ているといいんじゃないか?」
KCJ職員に話しかけられた。
「いいんですか?」
「いいだろう、そのためにこの距離に移動したんだろう」
ピシッ
破片がこっち飛んできた、当たらないが、威力から、しまったな、間合いの管理甘かったな。などと反省した。
「何か飲む?」
「あっ、じゃあ、お茶で」
「はい、お茶」
職員はそんな中、俺に自販機からお茶を奢ってくれたが、この人もすごいな、なんでじゃあ、俺は何を飲むかなで後ろ向けんの?そこで戦闘しているのに。
「慣れ」
「そういうの口に出しましたっけ?」
「なんかそういうの聞きたそうだったし」
「まあ、そうですが、あれ、なんですか?」
「わからない、けども、何人か混ざってるね」
「人…なんですか?」
人の姿はしているが、猛禽類のような爪で警備の刀剣をガードしたり、はじいたり、隙あらば警備の首や足を捕まえようとしている。
「3、4人ぐらい、おそらくデスゲームしたんだろうね」
「デスゲームするとあんなのになるんですか」
「今、表側に出ているのは体術、拳法の人じゃないかな、基本に忠実すぎるからすぐにわかるね」
「詳しいですね」
「後継者がいない武術を、今はそういう神社に技を奉納するという形で保存する試みがあって、KCJの職員や戦闘許可証持ちも、交戦した相手の未練を供養、これは宗教の言葉としては混ざってしまっているが、そういったこともしてるから」
ナリタツなんかはその奉納された技から習っているため、依頼を受けたは先に、そこに道半ばの武芸者がいた場合は、出身世界問わずその技を再演し奉納している。
奉納神社の神主が前にナリタツが相談していた先輩、所属がない駆け出しの頃に神社に奉納された教えれる技のいくつかを教えたこともあって、頭が上がらない人のうちの一人。
「あの人も奉納されるんですか?」
「いや、それないね」
「なんでですか?」
「その技で道を違えてしまったようだからね」
「それはその…」
「さっきも言ったじゃん、デスゲーム、あれに勝てると思って、自分ならいけると思って参加しちゃったのならば、それ相応の罰を受けなければいけないんだよ」
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