浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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そのうちドラゴンなんかも倒しちゃうんじゃないの

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ナリタツは大麓と共にある地域に向かった。
「連休中はどこかに行くんじゃないのか?」
「いつもならばそれを考えますが、今は許可証も取りましたから、それに見あった実力をつけることが優先、と思いましたね」
真面目な考え方であるが。
「まあ、それなら話を聞いてほしいところがあるな」
「なんです?」
「属性剣わかるかな?ええっと魔剣というか言えばわかるか」
「是非!」
ということで、ナリタツの運転で人が賑やかな場所からどんどん離れて言った。
「どういう方なんです?」
「元々異界、異世界から来た人で、複雑なんだが、その地域の属性剣は一旦途絶えてたんだ」
「なんでまた」
「昔話にはなる」
生まれたときから属性剣の強弱は変わらないとされていた。
だから弱いものはずっと弱いとされている。
ある時のこと、そんな属性剣では今日の晩飯にも事欠くと笑われている男がいたが、その男は性格が良かった。そんなとき怪我をした魔法使いが村に助けを求めてきたのだが、冷たい対応をするなか、助けたのはいつもは嘲笑されていた男だ。
「ずいぶんと優しい方なんですね」
「そう思う」
「もしもナリタツさんの場合がその人の立場なら?」
「属性剣にこだわらないで、色々と試せばいいし、それができないことで何かいってくる奴らはな…」
(これは仕返しをするタイプだ)
「話のオチに繋がることだが、その魔法使いが助けてくれた男に魔法の使い方、コントロールを教え直したら、それこそ村一番の属性剣の使い手になったんだよ」
「それはすごい」
「けどそのせいで」
素直に喜んだものもいた、地域の因習で付き合いに葛藤したものもいたが。
「面白くない」
今までちやほやされていた男がいた。
だが今はされない、突っ掛かって、惨めに返り討ちされて、負けてしまったからだ。
でも村で元一番ではあるし、そのうちドラゴンでも倒しちゃうんじゃないの?なんて言われてきた男は、それを認められることはなかった。
「それで元一番が今までちやほやしたのに、鞍替えした人たちと喧嘩して、いや、喧嘩とはいわないか、属性剣持って、俺の方が強いだろうやってな、その時犠牲者たちが出てしまって、属性剣って、よくあるような炎や水とかああいうのを家ごと、血筋ごとに管理してて…ほぼ口伝だったからな」
「その後どうなったんです?」
「悲鳴聞いて、今の村一番が魔法使いと共にかけつけたら、血溜りの中で佇む元村一番から、もう一回だ、もう一回戦ってやるからって挑まれてな」
「勝負したんですか?」
「しなかった、それで正解だよ、その手の奴の気持ちを満たしめはいけないから」
そこから移住先を探して。
「何ヵ所から別れて、そのうちの一つがこれから行くところだな、属性剣の血筋としてはそれでも残ったんだが、それを使っての剣術とかになると、きちんと習っていた人たち、そこは女性は習ってなかった、そのせいで復興に時間がかかってしまったそうだ」
現村一番は自分のせいで…こうなったと、その話を復興してから口にした。
「伝統に生きてたんですね」
「そうだな、上手いこと言ったな、他のやり方を取り入れたら強くなれるのに、あくまでもあのやり方で、そういう意味では村一番になっても気持ちは晴れなかったんだろうな」
大麓は属性剣の里に向かい、道場で教えてる先生から話を聞いた。
「毎日これでいいんですか?」
早速聞いた動きを真似する。
「そうですね」
誉めたが、ナリタツからはそれは愛想のように思えた。
「これから毎朝取り入れることにします」
「…そうか、ただ他にも合いそうなところ回るし、その流派だけではダメだとかもないから」
「えっ?そうなんですか?」
「俺がそうだもん、実際に仕事して対応できませんっていう状態にする方が危ないだろ」
「そうですね」
「ちょっと帰る前に寄り道するぞ」
「どこに行くんです?」
「メシ、こういうときは旨いものを食うに限るからな」
こういうときはどういうときかのか、大麓にはわからなかったが。
ナリタツがあまり他の人には教えない、食事処緑淵という店に連れていってもらった。
そこで肉を食べることになったのだが。
「属性剣の話だけども、あそこで俺も多少は習った」
そこで少し見せてくれた。
「相手に当てるとき、あそこのやり方は吹くだ」
「?」
「例えばこの肉」
ナリタツは自分のナイフを握りながら炎の属性剣、いや、剣まではいかない、炎のナイフを出現させた。
「切りつけるときに、吹く、そうだな、口笛かな、その動作と揃えると切れ味がよくなる」
ジュ
「おおお」
美味しい肉の匂いが広がった。
「まあ、これはあくまで俺が見つけたやり方だが、何してるの?」
「口笛って難しくないですか」
先程の不快さも、真面目に練習しようとする大麓を見たら。
「口笛もいいが、まずは肉を食えよ」
機嫌は直ってしまった。
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