浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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生きてるのって楽しいね

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みなさま、連休はいかがお過ごしでしょうか?KCJの各支部、食堂には眠そうな職員やカジュアルな服装から戦闘許可証持ちのみなさんでしょうか…彼ら彼女らはうどんオーダー率が多いようです。
「我々が疲れている?それは社畜ならぬシーチクなのでしょうがないのです」
そういってみんなは食べているうどんの中にあるチクワを見せては、笑ってる。
このメニューはその名も「シーチクうどん」であった。
元はチクワうどんというそのままだったのだが、それこそだ、今は浜薔薇出張所の波里がトラブルに続くトラブルのためにあちこちに駆り出されて、やっと終わったときにこのネタを口にしたところ、同じくみなが疲れていたために受けた。
その支部ではシーチクうどんという俗称で通じていたが、KCJは他の支部同士行き来があるので、それが広まり、今ではワカメやとろろなど消化に優しいトッピングを増やし、正式にシーチクうどんという名前になり、販売になった。
そんなシーチク中のみなさんがいるところに。
「助けてくれよ、なんかまたデスゲームとか始めますって、異世界でアナウンスが、KCJの職員を倒したらボーナスって」
混乱している女性が駆け込んできた。
「確認とれました」
そしてその後ろから職員である。
「職員はうちの支部、情報、デスゲーム開催は計画的ではなくたまたまマッピング先で開催していたようです、職員救出にご協力ください、休日出動扱い、救出できましたらさらにボーナス出ます」
シーチクたちは、うどんを食べる手をそこで止めたという。

『こんな夜なのに こんな夜なのに こんな夜だから』


この時食堂に流れている音楽は、カルボン先生作詞作曲の「こんばんわ、次はひつぎちゃんの番です」のオープニング曲です。

KCJの職員の出身が、異世界転移に巻き込まれずこちら側が故郷の場合、経歴はオリジナリティあふれる。かぶっている人は一人もいないのではないか?ぐらい個性豊かである。
「レレ、困ったことになったね」
人が乗れるほどのカエル、レレに乗っている女性、彼女が先ほどデスゲームのボーナス扱いされた職員である。
レレの野生の勘で逃げ回ってはいるが、どちらにせよ、この世界から出ないことには時間の問題というやつだ。
「久しぶりに魔法を使うか迷っちゃうよ」
彼女は回復魔法などが使えた。
このレレも、ロロというもう一匹と共に召喚で呼び出して、子供の頃からの付き合いなので友人と同じぐらい長い。
元は管理の名伏せ職員、なんで情報にいるのかというと。
「一日一時間はカエルに乗らないとストレスが溜まるのよ」
現実世界でこの大きさのカエルは乗れないこともない、馬や自転車と同じ扱いの軽車両になる。だが彼女は自由に乗り回したいこともあって、情報に異動願いを出し、こうして未調査の異界、俗称未界をレレと回って、写真を撮影したり、手書きで地図を書いたりしていた。
未界についてはどうやって探しているか、判断しているかというと、それこそレレの野生の力である。
異なる世界の入り口は以外と身近であるが、人は気遣い、異界出身のレレだからこそ、ここにありますね、喉を膨らませたりして教えてくれる。
今日の調査先は、商業地域のゴーストタウンという、人間だと少しばかり気味が悪いところで、レレにのって20分ほどしたところ、いきなりアナウンスが始まった。
「みなさん、ボーナスチャンスを差し上げます、カエルに乗ったKCJの職員がこのデスゲームに乱入してきたようです、デスゲームがここで開催されていることがばれてしまいますと、せっかくみなさんが良心の呵責と戦い手に入れようとした大金を支払えなくなる可能性があります」
レレはこのアナウンスが終わる前に来た道を戻り始めていたが。
「どこにいる」
声が聞こえたため草むらのある空き地に逃げ、職員はそこでレレから逃げた。
「あなただけなら出口まで逃げれるから、私は魔法がある、だからみんなに伝えて」
そうは言われたが、レレは行こうとしなかった。
「カエルならわかりやすいだろう」
「これで金が入るなら楽だわな」
そこまで聞こえてくると、レレは職員にすり寄ったあと、名残惜しそうに塀を飛び越えた。
(久しぶりに回復以外の魔法…これでも神童とか呼ばれたのよ、頑張らなくちゃいけない)
そう彼女はその昔神童と呼ばれた。
回復魔法を使えることで、そう呼ばれたのだ。
だから少女時代といえば、あまり子供らしいことはせずに、連休などがあっても、お仕事であった。
だが、さすがに何もないとまずいと思ったのか、彼女の家族は、連休の最終日半日ほど、お付きのものにお金を渡し、彼女をお出かけさせることとした。
そこで彼女は同じぐらいの年の女の子とあった。
ネジを締めていた。
「何をしているの?」
「見りゃあわかるだろう、ネジが緩んでないか、締め直してるんだよ」
「あなたおもしろいことしているのね」
向こうからするとどこのお嬢さんだといった感じ。この辺では見かけない顔であるが、今は連休だ、おかしくはない。
「暑いなか大変ね」
「そうなんだよ、それだけが面倒」
「そう、じゃあこの子にお願いするといいわ」
そこで彼女は召喚した。
大きなカエルがデン!と登場した。
「なんだよ、これ」
「カエルよ、涼しいわよ」
「本当だ、めちゃくちゃ涼しいな、これ乗れそうだな」
「乗れるわよ、私は乗ったことないけど」
「なんだよ、もったいないな」
「?そう?」
そういってもう一匹呼び出した。
「おっ、なかなか快適だな、お前も乗れよ」
「乗れるかしら」
「乗ってみろって、スゲー、もっと乗りにくかと思ったけども楽しい」
上下に飛び回ることもできるが、人を乗せているので揺れなく移動できる。
そこでカエル二匹はそれぞれ少女を乗せながら移動していると。
「お嬢様」
お付きのものがやってきた。
「どうしたの?」
「事故がありまして、どうしてもお嬢様のお力を借りたいと」
「…わかった、怪我とかは嫌だもんね」
「帰るのか?」
「うん、お仕事、あっ、そうだ」
そういってお仕事に向かう少女はカエルを降り、まだ少女を乗せているカエルに何かを渡した。
価値はない異界の原石である。これを乗られているカエルに飲ませた。
「何してるの?」
「これで撫でるぐらいで充電っていうの、この世界にとどめることができるから」
「えっ?何、こいつとずっと一緒いれるってことか、そうか、うん、いいな、それ。じゃーな、仕事頑張れよ、またな」
「ええ、また」
そういいながら再開は数年先になる。

「お前、見つけたぞ」
向こうからであった。
「なんで遊びに来ないんだよ、俺もそうだが、ロロもだな」
「ロロって」
「カエルだよ、カエル、お前のカエルはなんて名前なんだよ」
「それじゃあ、レレ」
「それじゃあ、レレって今つけたのかよ、もう少しカエルに乗ってやれよ」
そういってその日は久しぶりにカエルに乗った。
大人になるにつれ、自分の家族が何をしているのかわかってくる。
その事で悩むようになっていた彼女に取って、カエルに乗るはいい気分転換になっていた。

彼女の家族は回復魔法以外は興味がなかった。
回復魔法が直接金になり、権力を手に入れるからであったからではないか、そう推測は成り立つが、もうその家族はいない。
再開から家族に黙って異界にカエル散歩をするようになっていた、そしてある日そこから帰ってくると。
サイレンの音。
「生存者を発見しました」
家が燃えてたのだ。
嫉妬か恨みかはわからないが、そんな理由で家は全焼、異界散歩にいってたおかげで助かった。
「お嬢さん、回復魔法を使えるそうですが、ご家族は助けれますか?」
「難しいと思います」
回復魔法は回復魔法を使える人間にかけるのが、一番成功率が高い。病気を持っている人間に回復魔法をかけると、いつも以上に色んなものが持ってかれる。
「あそこで断って、話が終わって良かったと思う、うちの家族じゃそうはいかないから」
ある程度以上もお金を積めば無理を通す、そんな回復魔法の使い手、それが神童の正体である。
だからかそ、他所で断られた人たちが助けを求めてやってきていたのだ。
表向きは、この火事で彼女も死去したという話になってはいるが、その後彼女はKCJの職員になる。
「私の経歴ぐらいじゃ驚かないところはKCJぐらいよ」
そこで管理の名伏せの職員となり、KCJにおける回復魔法データに協力し、現在の運用の元データとなった人間ではあるが。
「そっちの仕事はそっちの仕事でまだ携わっているけども、私はカエルに乗りたかったのよ」
ストレスも減るということで、情報部の未界マッピングというあまりやる人がいない担当になった。
「まだ職員は発見されてないようですよ、みんな頑張らなきゃ、お金ほしくないんですか?」
デスゲームに関しては話は聞いていた、世の中が荒れると人を集めて、開催されるから気をつけてくださいは注意は受けたが、実際にイベント中に巻き込まれたのはこれがはじめてだ。
自分の使える魔法でどうするか悩んでいると。
「ボーナス発見じゃァァァァ」
誰かの叫びが聞こえた。
見つかったかなと思ったが。
「あれ?」
今の声ってKCJの職員じゃねえ?
「緊急アナウンスです、当ゲームは外部に通報されたため、中止となります」
本部がそこで逃げに走ったところ、参加者は混乱し、その混乱に乗じて、KCJの職員や戦闘許可証持ちが暴れまくった。
「レレ、そっちか」
壁の向こうから友人の声が聞こえた。
壁を二匹のカエル、一匹が女性を乗せているのだが。
「おーし、無事だな」
「あら、助けに来たの」
「助けに来たのじゃねーよ、久しぶりにカエルに乗ろうと思って、追っかけてきたら、デスゲームのアナウンス始まって、慌てて食堂に駆け込んだわ」
そう彼女が、食堂に駆け込んだことで、シーチクたちは動いたのである。
「もう、早すぎですよ」
そういって塀を飛び越えてきたのは、警備の職員である。
「ご無事ですか?」
「ええ、なんとか」
「出口まで安全確保してますから、すいませんが速やかに移動をお願いします」
「この兄さんすげぇな、ロロとレレの全速力についてきてるし、息も切らしてない」
「でもしんどいですから」
「まあ、そうだな」
「じゃあ、行きましょう」
彼女はレレに乗り、救出班は未界の出口までたどり着き、そのままKCJの支部で検査することになった。
「で、あそこのデスゲームはどうなったの?」
「首謀者捕まえました、デスゲームの主催初めてだったようなので、手こずることなくですね、ただ心配なのは」
「デスゲーム主催者のセミナーがあるの?」
あなたも簡単デスゲーム主催者になれます、デスゲーム参加者と違い、安全に利益を手に入れることができますというものらしい。
「世も末ね」
「そうですね、そこで緊急の会議が行われることになりまして、これから忙しくなりそうです」
デスゲーム主催者にあなたもなれます!は詐欺です、そのような手紙やメールが届きましたら、すぐに通報をお願いします。


「自分だけが安全に稼げるっていう文句になると、誘惑される人ってすごく多いね」
どうもこのアイディアは最近なったばかりの、ニューバンが面白半分で作ったものらしい。
「元々自分の生きるも死ぬも興味はなかったんだけども、吸血鬼になったら、急に欲が出ちゃったよ」
生きているのって楽しいね、死人になった彼が言うのはなんて皮肉だろうか。
「あっ、ひつぎちゃんの三話見なきゃ」
彼にとってはデスゲも新作アニメも楽しみはそう変わらないように見えた。
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