浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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魔法の言葉を教えてあげる

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このシリーズも始まってから長いこともあり、設定がチラッと出てきたままのこともあるだろう。

河川ザメないし、河川じゃないサメ、彼らというのは職業分類でいうと水産業、海川問わず漁に関わるものが多いのである。
「サメが船にいると、無事に帰れるっていうのがうちの港にはあってな」
そうインタビューに答えてくれる船長の元にももちろんサメがいる、ご家族と一緒に出荷の手伝いをしている、彼がそれだ。
漁師というのは験を担ぐ、この港唯一のコンビニの売れ筋を見ればよくわかる。
「甘いもの、珈琲なんかもそうですが、よく出ますね。うちのコンビニでしか売れないものっていったら、これでしょうね」
並べられた「大当たり」や「大漁」とプリントされたお菓子。
「これがね、よく出るんですよ、最初はこういう売れ筋とかわからなくて、お客様に教えていただいたって感じですね」
「兄ちゃん、レジお願い」
「はい、ただいま、すいません、レジ行ってきます」
「何?取材、男前にとってくれよ、港で一番のイケメンとは俺のことだから、あっ、前に買ったあれある?」
「大漁びっ栗ですね、ありますよ」
「箱で買える?」
「買えます、買えます」
「悪いんだけども、二ケースもらえる、あれうちのサメ好きでな」
この漁港にはサメが多い、高齢の漁師の手伝いという形で、サメがいるのだ。
「若いのは街に出ていくから、サメはいいぞ、可愛い」
この漁師の車がコンビニの前に泊まっているが、助手席にはサメが乗せられている、よっぽど可愛いのだろう。


「そういう感じで、担い手がいないところにサメ…もわかるんですが、河川ザメって人間を甘やかしちゃうから、長期的に見るとあんまりよろしくないんですがね」
波里が浜薔薇店内にいたのだが、そこで河川ザメのニュースがたまたま流れていたので、そんな話をした。
「河川ザメ、子育て終わるのが早いんですが、親の方はまだ気持ちが残っているんですよ」
そうすることで子供が一人立ちするまでは守り続けるとされるが。
「で代わりに人間を育てるんですけども、彼らの言う人間って、人間の子供じゃないんですよ」
それこそ老若男女なので。
知らんおっさんを育て始めたりもする。
「それも気にしないんですよね、それでおっさんの方も横柄になっていってとか」
サメちゃん、僕お酒飲みたいなとか顎で使うようになったりする。
「最悪の問題が発生している」
「サメの方もはいはい、お酒が飲みたいのね」
僕ちゃんお酒が好きでちゅからね。
「ここで止まればいいんですが」
この先がある。
今のケースは酒、肝臓を壊すまで酒を飲み続けてしまう場合があるという。
「それで病院の世話になるっていう」
「ダメじゃないですか」
「なので次策です」
ルールを作り、家政や保育をしてもらうという。
「働いているお父さんやお母さんは多いし、サメの良いところは人間の病気にかかりませんから」
病児でも問題なし。
「私も一回風邪引いたときに頼みましたが」
ご飯作ってもらえる、掃除や洗濯、ゴミだしも行われ。
「それ定期的に頼みたくありません?」
「なりました、マニュアルがいいのか、少なくともサメだからってことでの問題はないですね」
子育てを手伝ってもらっている同僚は。
「もう戻れないよ、うちの子、めちゃくちゃ元気なんだけども、サメも元気で付き合うから、寝る時間には爆睡してくれるんで、家族が睡眠不足にならないよ」
一匹ではなく二匹なので、ご飯と掃除などの家事も行ってくれる。
「うちの奥さんと二人で家事は行っていたけども、サメちゃんは想像を越える楽さだった」
KCJが職員向けにサメのお手伝いサービスを始める前は。
「家電のチラシとかすんごい見てたもん、たぶん楽になりたい、奥さんには言わないけども、心の底から感じてたんじゃないかな」
この間サメちゃん達を連れて実家にいってきた。
「うちのオヤジは最初は嫌がってた」
この職員は異世界帰還組、誘拐という形で子供の頃連れ去られているので、見慣れないもの、例えこちらにずっと住んでいる河川ザメでもダメな人はいる。
「帰る頃にはサメに甘やかされていたから、うちの子とサメちゃんと別れるのがすごい嫌がってたから、子供が独立したサメは人間を代わりに育てるっていう怖さ、あれが出たね」
KCJは介護サービスとかもやらないかな?って聞いてきたときは、あっ、これはマズイと思ったらしい。
こんなとき用の魔法の言葉を教えてあげる。
「サメが足りません!」
それでいい。
サメは出しても出しすぎない、その教えを守ることが大事である。
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