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頑張って忘れられない思い出を刻みます
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「おっちゃんは河川ザメの中では、おとなしい方ですけども、でもやっぱり河川ザメなので」
時折見せる抜群の身体能力。
「特に物がこう…落ちてきた時なんか、よくわかるな」
ヒョイ
人間では避けることが難しいスピードや角度からでも、当たることはないのだが。
「避け方がずるいわ」
「なんでそこだけ凹む!」
それはおっちゃんにもわからんな!
当たったと思ったら、人間からすると、それこそ、大袈裟、笑いを狙ったのか?ぐらいのポーズで避けたりする。
「一回Cの字で避けたの見たわ」
「それは見たい、なんか都合よく飛んで…こないか、さすがに、そこまで神に愛されてはないか」
「はぁ、がっかり」
なんでそこでため息が出る?おっちゃんは十分神にも愛されてるし。
「良縁…恵まれたら、信じられるんやけども」
カッ!禁止ワード使ってきおった。
「お前ら、もう時間やぞ」
会議前でも漫才が始まるのはいつものことである。
「悩んでも仕事っていうのは手を抜かねえまんだ」
「そうなんですが…」
蘆根はただいまお客さんの相談にのっていた。
「何が嫌なんだ?」
「嫌ですか?なんかこう…今後が不安で」
「なるほど、食事はとったか?」
「ああそういえばまだですね」
「食ってくか?」
「あっ、…KCJの」
「そうそう、このご時世にも関わらず、きちんとしたものを出してくれてるしな」
「あそこは本当、なんなんです?」
「KCJはKCJなんだけも、うちのイツモが100年生きるそうなんで、そういう猫を家族がいなくなった後も引き取っている団体だな」
「奇特というか、なんというか」
「それは思うな、聞いた話によると、戦争があった際に飼ってたケットシーによって助かったから、戦後は復興に力を尽くした貴族、お偉いさんたちが作った団体とかいってたな」
蘆根たちは知りませんが、これ以外にも異世界に連れさられたケットシーの家族という派閥もあり、これが異世界帰還者の受け入れ先としての機能も持つようになっている。
「帰ってきても、働き先がKC以外ではなかったりしますからね」
「子供の頃から向こうにいると、日常生活を送るのも大変だからな」
その教育プログラムもあるのですが、それでも予定通りに進まないものです。
「腕っぷしに自信がある人はKCの戦闘許可証をとればいいと思うかもしれませんが、統計としては座学もきちんと受けた人ほど、長い期間許可証を有することができるとされてますね」
「座学は今のところ基本以外は任意になっている感じだな」
「年々許可証の更新も難しくなってますからね」
それはとある担当者から始まった。
「あ~試験作るの面倒くさいんだよ」
過去の試験を元にして新たに作成するのだが。
「ストレスが溜まる、自分ならこうしたいっていうのがあるんだけども、それはなかなかできないしな」
でも気分転換に。
「絶対に突破できないの作りたい」
そう思ってしまったのだ。
「これ考えたやつ馬鹿だろう!って出るような奴」
そんな独り言を。
「じゃあ試しに作ってみたらいいんじゃないか?」
KCから赴任した上司が聞いてゴーサイン出した。
「もちろん、そこで落ちた人たちのことも考えた上でだけども」
「いいんですか?じゃあ、頑張って忘れられない思い出刻みます」
やる気がもりもりでたという。
いつもと変わらない更新の試験だと思い、まばらに人が集まったのだが。
「これよりみなさんには限界に挑んでもらいます」
デスゲームのようなアナウンスが流れ出した。
「どこまで食いついてきてくれるのか、私はとても楽しみです」
聞いている方は、みんな「はぁ?」な表情をしていた。
「突然ですが、試験の方式が本日から変わりました、更新までの期日もお知らせが届いた場合は1ヶ月となり、4回のチャンスが与えられることになります」
そして月によって課題は固定難易度のみ調整が行われ。
「試験に伴う予算の増加分は、民間にも試験への参加の拡大、外部からの、試験対策に対応した予備校からの参加、また受験者への過去問や参考書などで賄える予定です」
「えっ?それは俺らが金払うのかよ」
不満が出るが。
「代わりに戦闘許可証取得へのメリットを増大させます、具体的にはKCJの各種サービスを職員と同程度のものとし、詳しいサービスはこちらをご覧ください」
許可証を取得した場合、今までと比べてこのぐらいお金が節約になり、次の更新までの間最大○○万お得である。
「これ今支払っている奨学金も、許可証持っている間肩代わりしてくれるの?」
「KCJはそのぐらいやります」
そこでザワザワし始めた。
「はいはい!それでいいです」
躊躇してしまうような変更も、痛いところをくすぐるようなメリットを用意すると、乗り気になってくれるものはいるようだ。
「今回は通告なしの変更をここで、また対象となる予備校や塾の方々もほぼ同時に聞いているようなものなので、みなさんへのメリットとしての提示はもう一つあります、ここで合格、または惜しくも逃した場合でも、これから試験対策という金脈、産業のために、今回の試験への情報提供というお仕事のお話が来ると思われます、おおっと、話が早いエージェントの方々が試験対策委員会の方にもう連絡してきてますね、合格した方々と必ずお会いして話がしたいとのこと、これはチャンスだと思いませんか!」
これには思わず生唾を飲むものが多くでた。
「ただまあ、ほぼストレス解消で試験は作りましたので、もしもこれを越えるかたがいましたら、私の個人的なコネもオマケではありませんが、つけさせていただきたいと思います、それではやる気は出ましょうか?私もとても楽しみです、合格するかたもそうでなかったかたも、忘れられないような一日にしましょう!」
そこでアナウンスは終了し、やる気に満ちた参加者は、試験対策委員会が作り出した地獄へと走り出した。
「変更後、いわゆる記念すべき第一回なのですが、合格者達は出ました」
「ただ合格したはいいが、怪我人続出し、5回とか6回目ぐらいの合格者がいまのKCJや他の免除になった提携の資格の主力になっているんだよな」
「そういう意味では非常に正しいお金の使い方したとも言えるんですよね」
そしてこの制度は、その時の試験があまりにもあまりだった場合、受験生が試験委員会側に回ることを希望することにも繋がった。
「私が味わった地獄を君たちにも分けてあげるよ」
人間というのはこういうときに、絶大なるエネルギーを発揮するものだということがよくわかる。
そして笑顔も同時に浮かべれることが出来るものなのだ。
「ただ未だに、KCJってなんかこう、アレだよねって言われるんですよね」
「う~ん、それは課題でもあるんだよな」
はい、そこ、今ので目を背けない。
明日は今月の三回目の試験日です、初試験という方もかなり多いといいます、こういう時は試験委員会のブレーキは利いてないぞ!
「みんながびっくりするような、最高の試験にしてやるんだ」
それでは今日はこの辺で、明日の朝、会場でお会いしましょう!
時折見せる抜群の身体能力。
「特に物がこう…落ちてきた時なんか、よくわかるな」
ヒョイ
人間では避けることが難しいスピードや角度からでも、当たることはないのだが。
「避け方がずるいわ」
「なんでそこだけ凹む!」
それはおっちゃんにもわからんな!
当たったと思ったら、人間からすると、それこそ、大袈裟、笑いを狙ったのか?ぐらいのポーズで避けたりする。
「一回Cの字で避けたの見たわ」
「それは見たい、なんか都合よく飛んで…こないか、さすがに、そこまで神に愛されてはないか」
「はぁ、がっかり」
なんでそこでため息が出る?おっちゃんは十分神にも愛されてるし。
「良縁…恵まれたら、信じられるんやけども」
カッ!禁止ワード使ってきおった。
「お前ら、もう時間やぞ」
会議前でも漫才が始まるのはいつものことである。
「悩んでも仕事っていうのは手を抜かねえまんだ」
「そうなんですが…」
蘆根はただいまお客さんの相談にのっていた。
「何が嫌なんだ?」
「嫌ですか?なんかこう…今後が不安で」
「なるほど、食事はとったか?」
「ああそういえばまだですね」
「食ってくか?」
「あっ、…KCJの」
「そうそう、このご時世にも関わらず、きちんとしたものを出してくれてるしな」
「あそこは本当、なんなんです?」
「KCJはKCJなんだけも、うちのイツモが100年生きるそうなんで、そういう猫を家族がいなくなった後も引き取っている団体だな」
「奇特というか、なんというか」
「それは思うな、聞いた話によると、戦争があった際に飼ってたケットシーによって助かったから、戦後は復興に力を尽くした貴族、お偉いさんたちが作った団体とかいってたな」
蘆根たちは知りませんが、これ以外にも異世界に連れさられたケットシーの家族という派閥もあり、これが異世界帰還者の受け入れ先としての機能も持つようになっている。
「帰ってきても、働き先がKC以外ではなかったりしますからね」
「子供の頃から向こうにいると、日常生活を送るのも大変だからな」
その教育プログラムもあるのですが、それでも予定通りに進まないものです。
「腕っぷしに自信がある人はKCの戦闘許可証をとればいいと思うかもしれませんが、統計としては座学もきちんと受けた人ほど、長い期間許可証を有することができるとされてますね」
「座学は今のところ基本以外は任意になっている感じだな」
「年々許可証の更新も難しくなってますからね」
それはとある担当者から始まった。
「あ~試験作るの面倒くさいんだよ」
過去の試験を元にして新たに作成するのだが。
「ストレスが溜まる、自分ならこうしたいっていうのがあるんだけども、それはなかなかできないしな」
でも気分転換に。
「絶対に突破できないの作りたい」
そう思ってしまったのだ。
「これ考えたやつ馬鹿だろう!って出るような奴」
そんな独り言を。
「じゃあ試しに作ってみたらいいんじゃないか?」
KCから赴任した上司が聞いてゴーサイン出した。
「もちろん、そこで落ちた人たちのことも考えた上でだけども」
「いいんですか?じゃあ、頑張って忘れられない思い出刻みます」
やる気がもりもりでたという。
いつもと変わらない更新の試験だと思い、まばらに人が集まったのだが。
「これよりみなさんには限界に挑んでもらいます」
デスゲームのようなアナウンスが流れ出した。
「どこまで食いついてきてくれるのか、私はとても楽しみです」
聞いている方は、みんな「はぁ?」な表情をしていた。
「突然ですが、試験の方式が本日から変わりました、更新までの期日もお知らせが届いた場合は1ヶ月となり、4回のチャンスが与えられることになります」
そして月によって課題は固定難易度のみ調整が行われ。
「試験に伴う予算の増加分は、民間にも試験への参加の拡大、外部からの、試験対策に対応した予備校からの参加、また受験者への過去問や参考書などで賄える予定です」
「えっ?それは俺らが金払うのかよ」
不満が出るが。
「代わりに戦闘許可証取得へのメリットを増大させます、具体的にはKCJの各種サービスを職員と同程度のものとし、詳しいサービスはこちらをご覧ください」
許可証を取得した場合、今までと比べてこのぐらいお金が節約になり、次の更新までの間最大○○万お得である。
「これ今支払っている奨学金も、許可証持っている間肩代わりしてくれるの?」
「KCJはそのぐらいやります」
そこでザワザワし始めた。
「はいはい!それでいいです」
躊躇してしまうような変更も、痛いところをくすぐるようなメリットを用意すると、乗り気になってくれるものはいるようだ。
「今回は通告なしの変更をここで、また対象となる予備校や塾の方々もほぼ同時に聞いているようなものなので、みなさんへのメリットとしての提示はもう一つあります、ここで合格、または惜しくも逃した場合でも、これから試験対策という金脈、産業のために、今回の試験への情報提供というお仕事のお話が来ると思われます、おおっと、話が早いエージェントの方々が試験対策委員会の方にもう連絡してきてますね、合格した方々と必ずお会いして話がしたいとのこと、これはチャンスだと思いませんか!」
これには思わず生唾を飲むものが多くでた。
「ただまあ、ほぼストレス解消で試験は作りましたので、もしもこれを越えるかたがいましたら、私の個人的なコネもオマケではありませんが、つけさせていただきたいと思います、それではやる気は出ましょうか?私もとても楽しみです、合格するかたもそうでなかったかたも、忘れられないような一日にしましょう!」
そこでアナウンスは終了し、やる気に満ちた参加者は、試験対策委員会が作り出した地獄へと走り出した。
「変更後、いわゆる記念すべき第一回なのですが、合格者達は出ました」
「ただ合格したはいいが、怪我人続出し、5回とか6回目ぐらいの合格者がいまのKCJや他の免除になった提携の資格の主力になっているんだよな」
「そういう意味では非常に正しいお金の使い方したとも言えるんですよね」
そしてこの制度は、その時の試験があまりにもあまりだった場合、受験生が試験委員会側に回ることを希望することにも繋がった。
「私が味わった地獄を君たちにも分けてあげるよ」
人間というのはこういうときに、絶大なるエネルギーを発揮するものだということがよくわかる。
そして笑顔も同時に浮かべれることが出来るものなのだ。
「ただ未だに、KCJってなんかこう、アレだよねって言われるんですよね」
「う~ん、それは課題でもあるんだよな」
はい、そこ、今ので目を背けない。
明日は今月の三回目の試験日です、初試験という方もかなり多いといいます、こういう時は試験委員会のブレーキは利いてないぞ!
「みんながびっくりするような、最高の試験にしてやるんだ」
それでは今日はこの辺で、明日の朝、会場でお会いしましょう!
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