浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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雄弁な耳掃除

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「それじゃあ、耳掃除を始めるわね、はじめての人にお耳を掃除されるのは怖いかしら、怖くありませんよ」
そういって耳かきが耳のなかに… 
「あなた、耳の外もパリパリになってるわね」
パリパリとそういいがら、サジの部分でかき落としてくれた。
「はい、これで、綺麗なんだけども、やっぱり暑いから、このまま綺麗にしちゃいましょうね」
そういって耳掃除をしたあとに、泡でモコモコにされてから、ローションを塗られる、さっぱりなのだが、耳の穴、奥がまだである。
「お耳の入り口も汚れてますね、べたっとしているから、暑さに体が参っているみたい、あなたの耳は乾燥タイプだから、こういう感じでべたっとしてるのは、暑さに負けているせいね、今よりももっと自分に優しくしてあげて、無理をしちゃダメよ、自分をビールだと思って、炎天下にさらされちゃったら悪くなるから、ビールだと思ってちょうだい」
耳掃除は少しばかり大変なようで、手前からちょっとづつ進めていく。
「ああ、大きいのがあるわね、ちょっと頑張って取るから、深呼吸してくれる?」
スーハー
スーハー
「はい、リラックスしないとね、耳掃除って上手くいかないのよ、耳の穴が開いてくれないのよね」
そういってコロンととれた。
「ただいま」
そこに理容師さんの家族が帰ってくると。
「あれ?お客さん、浜薔薇で見たことある」
会釈で返す。
「ああ、そうなの、あまりご新規のお客さんがいないお店だから、珍しいわねって思ったんだけども、いつも元主人がお世話になっております」
この方はタキ先生の元奥さんで、帰ってきた人はタキ先生の娘さんである。
「あの人は本当に昔からああなんで」
他の人達が驚いたマスクドシャンプーの話を聞いても、一つも驚かなかった。
「タキにしてはおとなしい方ではないかしら」
ああこの人、タキ先生のかなりの奇天烈を一番身近で見てきた人だ。
「蘆根くんが修行に来ていたときには静かだったのよ、浜薔薇継ぎますっていう話になってから、奇天烈がまた甦ったから、たぶんずっとそうなのね」
「ずっとアンセルモさんでいいよって、お母さんもいってるから」
「少しは落ち着いてもいいと思うのよね、でも春ちゃんが今はいるから、しばらくはおとなしいんじゃないかな」
「でもタッグまで組んでいるわけだからわからないと思うよ、春ちゃんってやっぱり寂しかったのかなって」
「そりゃあそうでしょうよ、家族が取れる民間の介護の資格取ったり(河川ザメ初)して、必死に付き添いとかしてて、どれだけ大事にしていたか…勝さん(春隣のお父さん)本当にお酒が好きな人でね」
タキ先生の奥さんは色々知ってるようだ。
「腕はいい人で講師も勤めていたんだけども、講義終わりの後はみんなで飲みにいったりして、体悪いって話は聞かなかったというか、言い渡されてもお酒の量減らしたりしなかった、だからもうお酒は止まらないのかと思ったら、春ちゃん来たでしょ」
資格を持ってないから他の人は出来ないが、家族ならばできるので、自分の技を毎日教えていた。
「あそこでお酒やめた、春に全部教えるって、あれで春ちゃんがついてきたから良かったのよ、勝さんはやっぱり偏屈だからお弟子さんとってもね、続かない人で、そういえば蘆根くんは会ったことなかったかもしれないわね、あの時にはもう全盛期じゃないってことで拗ねていた時だし、まあ、何にせよ、誰かが思いを繋げるのはいいことだと思うわ、蘆根くんにはしばらくあってなかいけども、よろしくいっておいてちょうだい」
そのメッセージをファンクラブ会員は受け取り、ファンクラブのホームページに、会員推薦の店が紹介文と共に新しく載った。

タキ先生の元奥さんのお店です。
タキ先生が出張などで自分のお店を営業してないときは、娘さんと二人体制だったりしますが、予約の確認を忘れずにお願いします。

レビュー
・かなり雄弁な耳掃除をしてくれる、人によっては苦手かもしれないけども、これはこれで良いし、浜薔薇では味わえないタイプなの楽しみがある。
・トークが面白いのと、場所が会社のそばなんで浜薔薇よりも行きやすい。

「雄弁な耳掃除っていいですよね」
「自分の耳がどうなっているのか、実況してくれるようなもんじゃん、ああああああ、浜薔薇でゲスト呼んでくれないものな」
その情報が更新されると、会員たちも思いをぶつけ始めた。

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