浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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リーヤンケング

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河川ザメの油。
擦り傷、切傷、そこそこの美肌になる。
「良かったなおっちゃん、そこそこで!そこそこでなかったら、会うたびにそこらのおばちゃんから狙われるところやったわ」
ただちょっと他のサメの方が評価が高いことに嫉妬する部分が、このサメにはあったのです(ナレーション風)
河川ザメが住んでいる堤防や河口に見学に行くと、川土産としてもらえたりする。
西日油とか人はそれを呼びますが、サメたちはなんと呼んでいるかっていうと、早縄油らしい。
そこまで罪が重くないものから搾ったからとか、なんとか。
だがしかし。
「サメのほとんどが一回か二回は搾られてるよ」
って笑いながら話すので、本当に謎は深まるばかりである。

『ここは浜薔薇の耳掃除です』

傑は浜薔薇に来てから、実家から通っている。
さすがに前の職場のやめかたから、家族が心配したせいもあるが、浜薔薇に来てからは家族も不安を感じなくなっていた。
部屋に戻って夜はマッサージの勉強に当てている。
教材は蘆根やタキおすすめの動画。
「これと、やっぱりメーカーさんの公式はよくできていると思うんだ」
どんどん見るものが追加されていくが、それを頑張って追い付こうとしているからこそ、じゃあこれも見てくれと増える。
「だいたいそこが出来ない、せっかくいいものがあったとしても、それがいいものだとは思えないのは残念だと思うんだよな」
そこで生き残ったものが蘆根のようになる。

本日も夜はマッサージのお客さんがやってきた。
「蘆根さん、こんばんは、これお土産です」
そういって日持ちするプリンセットを持ってくるなんて、こやつできる!
「今日どうしたの?」
聞くと。
「疲れました」
さっきの愛想のいい顔から、白目になって言われた。
人にもよるのだが、マッサージに来ても気を使うタイプというのはいる。
身を預けてくれない。
足を回そうとすると、お客さんの方が足を回してくれる。
そういうタイプ。
「これだとかえって疲れがとれませんよ」
「そうなの?」
「そうですよ、だら~んと身を任せる、その時に体もリラックスするからいいのであって、ずっと緊張していると体には悪いです」
緊張と怒りは体に色んな反応を引き起こすとされる。
「だから1日に一度はそういうのから解放される時間を作った方がいいって話でしたね」
その緩みが活力を吹き込む準備になる。
「へぇ」
「逆にこれが出来ないと、結果が出せないんですよ」
「えっ?そうなの?」
「そうです、フルパワーに見えて全然フルパワーを出せてない、見せかけで、その状態が長く続くと、不調が始まる」
「そういうの嫌だな」
「人間結構その状態に陥りますよ、だからこそマッサージなんてものがあるのでしょうが」
「ねえ、蘆根さん」
「なんです?」
「マッサージ覚えて良かった?」
「すごいこと聞きますね」
「いや、なんとなく気になって、どこからほの好奇心とか来るのかなって、たぶん心が弱っているからそんな話が聞きたいのかもしれないけども」
そこで疲れ目のツボを擦られてから、ギゅっとされると、足の指が伸びた。
痛かったようだ。
「マッサージはあんまり覚える気はなかったかな…」
思い出を紐解いていくと。
「あっ、仕事忙しくてマッサージに行ったんですよ、そしたら次の日とんでもなく調子よくて」
「蘆根さんでもそうなんだ」
「たまたま行ったお店も良かったんでしょうね、謎の店構えでしたが」    
リーヤンケングという名前の店である。
「えっ?それどこにあるの」
「今はなくて、先生のことだから占いで店の場所決めてるんですよ」
「占いで」
「運気のいい場所で出してるって本人はいってましたが、とてもそうには見えませんでした、だけどあの時は疲れてて」
もうここでいいや!
「腕はものすごくいいから、どこでもやっていけるんじゃないですかね」
通いすぎたら、仕事は何をしている?と聞かれ、ホテルで働いている理容師ですといったら、マッサージを覚えるなら教えるよと。
「そういえばあのお店がなければ、色んなところに習いにいくってなかったかな」
習わない場合でも、実際にカットなどのサービスを受けてみて。
(そうか、シャンプーの指の使い方、ああいうのがいいのか)
マッサージは長めの方がいいか、それとも短時間で利かせるのがいいかとか、今の浜薔薇のメニューに反映されている。
「振り替えればあっという間かもしれませんけども、前を向いて歩いている最中はね、これでいいのかなって」
「蘆根さんでもそうなの?」
「俺のことどう思っているんですか!」
「へこたれない、メンタルが物凄く強い」
「そこまででは」
「強いって、マッサージやる人が弱気だとまずいはあるとは思うけどもね」
「ああ、それはありますね」
「でしょ?その元気の維持ができてるから、マッサージ受けても気持ち言いはあるのかもしれないし」
「あ~」
「思い当たる?」
「かもなって、後ね、真面目にやってると、これも覚えなさい、この本を参考にしなさいとか言ってくれる人たちが多いんですよ、跡継ぎがいないところもあったから、それはもう丁寧に、嬉しいけども、少し悲しいかな」
「そこはね、あるよ、でも蘆根さんの中で生きているし、次の誰かがそれを継いでくれることもあるかなって、だってさ、蘆根さんって変なのに教えないでしょ」
「それはちょっと嫌かな」
「だから誰が教わるかはわからないけども、その人はきっといい人だって、まっ、そしたら教えてね、近所だったらマッサージ受けに行くから」
「はいはい、いや~未来の教え子はもうお客さんがいるんですよ、食っていけるから早く来てほしいですね」
「ただ、僕らの採点は厳しいよ、百点をいつでも狙う気がないなら行かなくなるから」
「それは怖い怖い、そこも教え子には言っておきますよ」
訪れるかはわからないが、それは素晴らしい未来へのお話。
希望は心にフッ!と明かりを灯すのである。


「蘆根ね、ああ、覚えているよ、その前にした占いでリーヤンケング(学び上手)と会うと出たからね、たから店の名前をそれにして、ある程度伝えたから、あそこでの店をお仕舞いにしたんだ」 
今のお店はラック クン コン ディヨーとありますが、何か意味が?
「私の結婚の相が出たのよ、だからその人が来るまではこの名前よ」
意味はあなた一人だけを愛します、運命の人が早く訪れるといいですね。

その数ヵ月後、このインタビューした人と店主は結婚しました。
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