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春は近づいてる。
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シュ
ヒレを右に動かす。
シュ
ヒレを左に動かす。
ピタ
定位置に戻す。
今日も完璧やな!
おっちゃん、朝のルーティーンである。
「ここは浜薔薇の耳掃除です」
このご時世である、浜薔薇も休みが多く、営業時間も短くなった。
「タモツ先生になんかあったら困りますから」
まだまだこれからも頑張ってほしいのでという気持ちは従業員たちもお客さん方も持ってる。
「しかし、我々の活動は止まりませんから」
浜薔薇出張所の方は逆に忙しいらしく、衛生班と共に対応に当たっていた。
「なにもしねえとなると、それはそれで困るんだよな」
タモツが本音を呟くと。
チラッ
サメが訪ねてきた。
イッキュウである。
「おお、オメーか、入ってくれ」
なんでかイッキュウが毎日のように訪ねてくるようになり、タモツはサメについて詳しくなってるようだ。
台の上に乗せたサメに、蒸らしタオルを乗せていく、最近必要な枚数がようやくわかった。
ポフっ
その枚数をおいてしばらくもしないうちに、サメが少し膨らんだような感じになる。
リラックスしたのか、温泉まんじゅうのようなモチモチっとした見た目に見えるではないか。
河川ザメの生態というのは、あまりよくわかってないことの方が多い、身近にいすぎて気にしなかったという理由なのが、彼らと人間との関係を現してる気がした。
サイズとしても幼少時、前に話していたおっちゃんがベリーヤングサイズだと鯉や鮒などと同じサイズ、このぐらいだと鳥に狙われたりするが、彼らのさめ肌は丸飲みには弱いが、噛まれたりするのには強いのである。
大人になっても、巨大な体にはならないので、常に狙われる側であるために、人の目にはとらえにくい波、水流だけではなく気流にも敏感で、これを上手くキャッチして、加速したり減速したりする。
陸上でもそれを行うため、ペチペチ歩いているようでも人間と同じ歩行速度ぐらいは出せるし。
もっと訓練された雪かきジョーズのみなさんに至っては、泳ぐように進むことも可能らしい。
そしてこのご時世、人とは同じ感染症にならないということもあり、サメ達は人間社会に溶け込もうとしてる。
そう、あなたの身近にも!
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
蘆根宇迦(ろこん うか)がKCJの支部に顔を出してる。
家族であるケットシーのイツモがいるから、別におかしくもないのだが。
(ここだな)
KCJの支部内に理容室ができた。
中を覗くと、サメが白衣を着て、テーブルを拭いていた。
カラン
蘆根が中に入ると、店主であるサメがメニュー表を持ってきた。
「サッ!」
サメの店主が蘆根の顔を見て、固まった。
「お客です」
「サッ」
気を取り直して、椅子は勧めてくれるが動揺の色は隠せてない。
実はこのサメさん、春隣(はるとなり)という名前なのだが、海に注がれる川の側で営業していた理容師さんが家族で、その家族を病気で長いお別れとなった。
療養中にその理容師さんのお世話をしてたため、理容師の技を覚えたのはいいが。
「資格的に」
「ああ、そこか」
蘆根はKCJの職員から前もって話は聞いていた。
「でも家族の療養のための資格は持ってるので」
そこからKCJが交渉と。
「俺と傑の後輩になったと」
そうなのである。
あまりにも生徒いないから、授業料安いよ、今だと返さなくてもいい奨学金や、支給とかもあるよになっていたあの学校。
春隣が入学してから世間が騒がしくなり、卒業した状態で、感染症対策真っ只中であった。
「元々家族から習っていたから腕は良かったですし」
KCJで支部に籠りがちの職員たちのカットなどをやってもらえたらと、でももしも行きたい場所があったらそちらを優先にという話だったのだが。
春隣の希望としては自分の家族が住んでいた場所でお店をだった。
しかし通学してるうちに色々と変わってしまい、やっていけるのかなとショボーンとしていた。
やはり一番は家族がいないこと、仲間と共に暮らす河川ザメは、孤独はかなり心を折るのである。
サポートしてくれたKCJの職員がいたこともあり、支部内で営業時間は短いが小さいお店を出した。
評判は上々。
その話を蘆根は聞き付けたのだが、春隣からすると、蘆根からお客さん奪ったのではないかと思って、ヤキモキしていたところがあったのだが。
髪を切ってもらうはもちろんだが、耳掃除も頼んだ。
すす竹の上では白く見える耳垢も、紙にトントンと落とすと、黄色がかり、まつげのような毛が巻き込まれていた。
感染症の心配がなくゆっくりとできるのは本当に贅沢なときである。
ゆっくり伸びをして、トレーに支払いを乗せた。
「支部の人達に手が回らないことがあったから、ちゃんと任せられる職人がいて助かる、また来ます」
帰りがけにその言葉。
カランカラン
蘆根が店を出てからも、春隣は固まったままで、目からホロリと涙がこぼれてから、拭ってから、お金をレジにしまうためにカウンターへと向かっていった。
ヒレを右に動かす。
シュ
ヒレを左に動かす。
ピタ
定位置に戻す。
今日も完璧やな!
おっちゃん、朝のルーティーンである。
「ここは浜薔薇の耳掃除です」
このご時世である、浜薔薇も休みが多く、営業時間も短くなった。
「タモツ先生になんかあったら困りますから」
まだまだこれからも頑張ってほしいのでという気持ちは従業員たちもお客さん方も持ってる。
「しかし、我々の活動は止まりませんから」
浜薔薇出張所の方は逆に忙しいらしく、衛生班と共に対応に当たっていた。
「なにもしねえとなると、それはそれで困るんだよな」
タモツが本音を呟くと。
チラッ
サメが訪ねてきた。
イッキュウである。
「おお、オメーか、入ってくれ」
なんでかイッキュウが毎日のように訪ねてくるようになり、タモツはサメについて詳しくなってるようだ。
台の上に乗せたサメに、蒸らしタオルを乗せていく、最近必要な枚数がようやくわかった。
ポフっ
その枚数をおいてしばらくもしないうちに、サメが少し膨らんだような感じになる。
リラックスしたのか、温泉まんじゅうのようなモチモチっとした見た目に見えるではないか。
河川ザメの生態というのは、あまりよくわかってないことの方が多い、身近にいすぎて気にしなかったという理由なのが、彼らと人間との関係を現してる気がした。
サイズとしても幼少時、前に話していたおっちゃんがベリーヤングサイズだと鯉や鮒などと同じサイズ、このぐらいだと鳥に狙われたりするが、彼らのさめ肌は丸飲みには弱いが、噛まれたりするのには強いのである。
大人になっても、巨大な体にはならないので、常に狙われる側であるために、人の目にはとらえにくい波、水流だけではなく気流にも敏感で、これを上手くキャッチして、加速したり減速したりする。
陸上でもそれを行うため、ペチペチ歩いているようでも人間と同じ歩行速度ぐらいは出せるし。
もっと訓練された雪かきジョーズのみなさんに至っては、泳ぐように進むことも可能らしい。
そしてこのご時世、人とは同じ感染症にならないということもあり、サメ達は人間社会に溶け込もうとしてる。
そう、あなたの身近にも!
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
蘆根宇迦(ろこん うか)がKCJの支部に顔を出してる。
家族であるケットシーのイツモがいるから、別におかしくもないのだが。
(ここだな)
KCJの支部内に理容室ができた。
中を覗くと、サメが白衣を着て、テーブルを拭いていた。
カラン
蘆根が中に入ると、店主であるサメがメニュー表を持ってきた。
「サッ!」
サメの店主が蘆根の顔を見て、固まった。
「お客です」
「サッ」
気を取り直して、椅子は勧めてくれるが動揺の色は隠せてない。
実はこのサメさん、春隣(はるとなり)という名前なのだが、海に注がれる川の側で営業していた理容師さんが家族で、その家族を病気で長いお別れとなった。
療養中にその理容師さんのお世話をしてたため、理容師の技を覚えたのはいいが。
「資格的に」
「ああ、そこか」
蘆根はKCJの職員から前もって話は聞いていた。
「でも家族の療養のための資格は持ってるので」
そこからKCJが交渉と。
「俺と傑の後輩になったと」
そうなのである。
あまりにも生徒いないから、授業料安いよ、今だと返さなくてもいい奨学金や、支給とかもあるよになっていたあの学校。
春隣が入学してから世間が騒がしくなり、卒業した状態で、感染症対策真っ只中であった。
「元々家族から習っていたから腕は良かったですし」
KCJで支部に籠りがちの職員たちのカットなどをやってもらえたらと、でももしも行きたい場所があったらそちらを優先にという話だったのだが。
春隣の希望としては自分の家族が住んでいた場所でお店をだった。
しかし通学してるうちに色々と変わってしまい、やっていけるのかなとショボーンとしていた。
やはり一番は家族がいないこと、仲間と共に暮らす河川ザメは、孤独はかなり心を折るのである。
サポートしてくれたKCJの職員がいたこともあり、支部内で営業時間は短いが小さいお店を出した。
評判は上々。
その話を蘆根は聞き付けたのだが、春隣からすると、蘆根からお客さん奪ったのではないかと思って、ヤキモキしていたところがあったのだが。
髪を切ってもらうはもちろんだが、耳掃除も頼んだ。
すす竹の上では白く見える耳垢も、紙にトントンと落とすと、黄色がかり、まつげのような毛が巻き込まれていた。
感染症の心配がなくゆっくりとできるのは本当に贅沢なときである。
ゆっくり伸びをして、トレーに支払いを乗せた。
「支部の人達に手が回らないことがあったから、ちゃんと任せられる職人がいて助かる、また来ます」
帰りがけにその言葉。
カランカラン
蘆根が店を出てからも、春隣は固まったままで、目からホロリと涙がこぼれてから、拭ってから、お金をレジにしまうためにカウンターへと向かっていった。
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