浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
上 下
300 / 934

気持ちのいい接客でござるな

しおりを挟む
「ツヤツヤになるものね~」
今まで使っていたもので傷んでしまった髪をカットしに来たお客さん。
「今、使ったものってお高いのかしら?」
「いえ、市販のものです」
「何千円もするやつ?」
「500円ぐらいですかね、400ミリリットルのシャンプーで」
「買うわ!」
「はい、毎度!とお客さんの場合、しっとり仕上げの方がいいと思いますよ、パサつきやすいので」
「さっぱりした方がいいと思って、いつもそういうのを選んでいたわね」
「トリートメントもありますが、市販とスペシャルどっちにしますか?スペシャルはサロンの奴ですが、ちょっとシャンプーよりもお高いですが、それでも800円ぐらいで、週に一回ぐらいで二ヶ月は持ちますね」
「それぐらいなら買うのは悩まないけども、どれにしような悩むわね、お店の人的にはどっちがおすすめ?」
「市販のもので物足りなくなったら、スペシャルにすればいいですよ」
「あら、そう?そうなの?それでいいの?じゃあ、そうしようかしらね」
と見事な接客である。

さすがは蘆根殿、気持ちのいい接客でござるな。

この対応には拙者たちもニッコニコでござるよ。

えっ?
なんか忍びとかいるんだけども?
サッ!
気配が遠くなる。
くっそ、逃げたか。

(ん?何かあったような気がする)
傑は天井を見るが何もない。
(イツモが屋根にいたのかな)
猫がいる家、あるあるであるが残念、忍だ!
傑の元に連絡が、おっちゃんからである。
(ミックスフライ定食がとても美味しかったです、このままだと夕方にはそちらに着きます)
みんなでご飯食べてる写真を添付してきた。
(これどうやって文字打ち込んでいるんだろう?)
おっちゃん、フリック入力もローマ字入力も楽々。
4GBのパソコンはしんどいわ~とかいって業務してます。
そして連絡内容には同期のお子さんが、休みが終わったら、靴と鞄を買いにいかなきゃならないんだけども、成長期だわ、いいものを出来れば買ってやりたいということで、お父さん、炊き出し分をお昼に食べてお金貯めてました。
な、もんで、傑さん、おしゃれ番頭という異名をお持ちの方ですから、こういうのもなんとかできるんじゃないかと思っております。
そういっておっちゃんとそのお子さんの写真も最後に載っていた。
ちゃんとお勉強も頑張っているいい子なんです、よろしくお願いします。
ここまで丁寧にされると、とても弱かった。
「う~ん、靴とかは見てもらわないとわからないけども…すいません、僕、奥にいますので」
「ああ、わかった」
店の奥、スタイリングコーディネート用の品物が収納されている倉庫といってもいい。
(リュックサックか)
春と秋に色々と出ます、そこで電子カタログも見ながら、本日入荷しているものを見ると。
(うちにあるここのものと、こっちのカタログのも欲しいな…)
ということで、先にお店に問い合わせるとまだ品物はあるということなんで。
「ずいぶん安いよね」
「なんか、ここ一年ぐらい高いものと安くなっているものの差が激しいですね、子供のものは安い感じになってます」
「靴はある?」
「靴は出てませんね、必要ならば抑えておきますけども」
「後でサイズは連絡しますから、あればほしいです」
「はい、お任せください、浜薔薇さんからの注文でしたらいつでも迅速に対応しますよ」
ローンで買わない、その場で支払い、検品をするタイプなんで、浜薔薇にやってきた新しい兄さんはかなりやる、いいものを選んでいればそれを誉めて買い入れてくれる度量があると、お店の人たちも面白がっているところがある。
「シャツ類もあるんで、よろしかったらそれも」
「それはサンプル見せてくれたらだね、最近はどう?」
「冬物は出てますが、今回の寒さによっては品切になるか、余るか、こればっかりはわかりませんね」
傑いわく。
「頼んできた人によって、予想以上に良いものが手に入るときっていうのがあるんですよ」
クオリティを守ってはいるが、それでも頼んでくれるお客の何人かによっては、飛び抜けて良いものが向こうから話がやって来て、いつもの予算で入ったりする。
「これね、本当に不思議なんですよね」
その後、棚卸しのセールの話が来たりしたので、おそらくおっちゃんはその飛び抜けて良いものが、向こうからやってくるお客さんにあたるのだろう。
「半日セール?」
「半日だけの特別なお値段です」
そこまで期待はしてなかったのだが、お店が終わってからみにいったところ、お客はそんなにいなかった。
(まあ、こういうセールっていきなりここでやりますからとかになるから、来れる人の方が少ないんだけどもね)
今回は浜薔薇には朝のシャンプーラッシュを手伝いに来てくれる方々が応援に来るので、傑は何故か来れたぐらいである。
シャンプーラッシュのお手伝い担当の方はお子さんないるご近所の方だったりします。
(ここは私がやるんで、傑さんは傑さんしかできないことやってくださいって言われたしね)
スタイリングコーディネートは現在傑しかできない。
「こんばんわ」
「こんばんは?それともこんばんわ?」
この独特な挨拶をしてくれる人がお店の人である。
「こんばんわ…」
「あっ、はいはい、今日はちょっと本当にいきなりだったもので、いいものがかなり残ってますから、よろしければ全部でもいいですよ」
はっはっはっ、そんな全部だなんて。
とワゴンを見たら。
あれ?これ全部いきたいかもと思ってしまい、真剣な目付きで選び始めた。







しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...