浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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どこかで線を引かないと

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安く良いものを買うためには色々とコツというのがあるが、たぶん一番簡単な方法は、そういう店を見つけることだろうか。
「いらっしゃいませ」
そんな挨拶を聞いて。
(今日は普通かな)
なんて思ってしまうぐらいはここに通っている。
ヶ崎 傑は仕事を始めた頃、この業界はお金をかけようと思えば、ひたすらかかる世界なのだなと思ったものだ。
(どこかで線を引かないと)
妥協はどこにするか。
彼はその妥協を技術で補ったのである。
「最初はよく続くなとは思っていたな」
いつも色んなおしゃれをしている後輩がおりました。
「うちの学校、理容メインなんでさ、あんまりキメキメな奴っていなかったんだよ、でも中身は礼儀正しいし、…あれか、白衣の時がきっかけか」
国家試験の受験の際、試験には白衣を準備しなければならないというものがある。
忘れると、退場食らうというけっこう厳しいもので。
「説明会の時なんか、あの時めちゃくちゃ傑は白衣を持ってた」
「絶対に忘れる人たちがいると思ったので」
「家がそういう所なのか?と聞いたら違うそうじゃないっていって」
「必要なら安いうちに全部まとめて買った方がいいんですよ、白衣にも種類があってですね、いい奴は縫製が美しいし、スタイルもいいんですよ」
「あの時にはもう白衣を譲ってくれないかって、うちの学校以外の人たちも来てなかったか?」
「学園祭で野菜の横でバザーやったんですよ、そしたら顔を覚えれたんです」
野菜を販売しているのは農業科学の学生さんと先生、そして買い物に来る方は近所のマダムなのですが。
「僕がその時出した白衣は半端な数かな、提供したんですよ」
学生がなんか持ち寄るのがバザーの醍醐味。
「そしたらあの白衣もっとないかしら?って聞かれたんです」
ジャムを作るや、調理実習で白衣が必要だからと。
「あることにはありますけど」
「この価格ならば買うわよ」
「わかりました」
そこから出せるぶん出した。
「それで僕は練習に白衣使ってたんですけども、白いから汚れるんで定期的に探していたりしたら、食品加工方面の先生が、この子に頼むと安いのよって、その時は仕事ではなかったですからね」
「白衣は高いからな」
「安いので2000円ぐらいですけども、あれシルエットがあまり好きじゃないんで」
このこだわりもあってか、白衣を問い合わせが定期的に来ていた。
「どこで買って、いや、これは秘密か」
「最初はワゴンセールとかそういうのとかでしたけども、買っているうちに、お店に顔を覚えられまして、この値段ならばこの人は買うって言う感じですね、本当、色んなものはその繰り返しですから」
「お前がいいと思ったら、全部買っちゃえばいいのに」
セールから帰ってきた傑が、蘆根に品物を見せて報告している最中でした。
「買いたい気持ちはありますが、その気持ちに負けちゃうとな、やっぱりダメで、たぶんですけども、またお買い得なものはあると思いますから、残ったぶんはその時と足してやっていきたいと思います」
浜薔薇の高利益を産み出しているのはスタイリングコーディネートであり、これがあるからこそ、シャンプーラッシュの際に対応できる資格持っている近所の方を雇い。
「それこそ日払いで払ってますからね」
最初は月一で払おうかと思ったら、急な出費で出来るだけ早くほしいと言われ、このスタイルになった。
「現金は危ないとは言われたんだが」
「イツモとKCJの人たちがいると、怪獣来ても大丈夫じゃないですかね」
イツモは招かれざる客に対して、凄まじい嗅覚を持っているし、KCJの人たちは民間警備の出身者も多い。
「やっぱり波里さんや東司さんとか見ると、海外暮らしが長いみたいだから、防犯の隙がないよな」
なお二人としては。
「浜薔薇は平和なままでいてください」
「管轄の支部のあるところって、あそこはあそこで盗難とか多い地域なんで、落ち着けないんですよね」
油断も隙もある人生の方がいいよというのが、異世界帰還者からの意見である。
「明日、薔薇の冠にイサリさんを連れていくんでしょ?」
「ああ、この辺で、あのお祭りの辺りに女性が喜びそうな所、旦那さんが浜薔薇や温泉にいっている間に、祭りと寺を見に行くって言うことでな」
「薔薇は見頃でしょうし、あそこね、地味にトイレ環境が素晴らしいんでしょ」
「そうそう、一般人エリアの方の喫茶付きの休憩施設は、そこを中心にバラ園がぐるっと歩けるようになっているから、トイレに行きたくなっても、すぐに行けたり、休憩や荷物ロッカー無料だから、あまり普段歩き慣れてない人でも安心だし、サメを見かけても、いきなりカメラはないよ」
サメより薔薇をみなさんは撮影しております。
くっ、ここでわざと、さりげなく写りこみたい気持ちと戦わなければならないのか。
笑いを求める血が、この心がおっちゃんを苦しめるのである。
「どうしました?トイレならばそっちから」
いや、すまん、トイレではない、ただな、美味しいそうだからっていくか、いかないかの話であってな。
「?今日の日替わりのお茶は薔薇の水という別名がある、7月に育てたもので」
「薫りが豊かやな」
東司も大概だが、おっちゃんはおっちゃんで会話の力技を見せ、強引にコミュニケーションをとっていた。
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