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憧れの道は荒波で出来ている
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トランペットのサメくんについての記事で、音楽を担当したカルボンはこんな風に答えている。
「確かに大変だったんですけども、フィギュアスケートサメシン(以下サメシン)は先に音楽が作ってから、撮影開始しているので、そこからトランペットのサメくんが始まるまで時間はありました」
→まさかの大ヒットですもんね。
「予想できた人いるんでしょうか?」
→いないと思います。
「でしょうね、監督が一番驚いてましたけども」
→ブラックバンド映画祭の音楽部門はノミネートだけでも快挙でしたが。
「ありがとうございます、自分が作っている音楽がアワビミュージックと言われるとは思いませんでした」
注 ブラックバンド映画祭はサメたちの映画祭なので、人間が招待されるのはまず初。そこでカルボンはノミネートはしたが、受賞はならず、だがアワビに値するとアワビの養殖場の権利をもらったことから、カルボンの音楽はアワビミュージックと呼ばれるようになる。
「でも監督が、コンブ監督ですから」
注 監督はサメ以外が撮影したサメ映画監督賞、コンブ賞をもらった。
「お揃いということで」
→話は変わりますが、サメシンのスピンオフで、少年側で何があったのか、そちらの話を作るということで、最初聞いたときはどう思われましたか?
「難しいと思いました」
→でも良かったですよ。
「作る前はドキドキしてますね、毎回、これでいいのかな、あれでいいのかなって」
→前置きも良かったのかもしれません。
「あれは言うべきか迷ったんですがね、監督の方から、俺は作りたいものを作っているんだから、お前も作りたいようにやれ!って言われたんで、だから勇気はでました、サメシンはこちらが想像した少年の成長を描いているけども、トランペットのサメくんは実際の成長、ライブ感が出ていると」
→主演の細遠(さいえん)くんの成長ぶりが著しいですね。
「トランペットのサメくんは、細遠くんが掴んだ音で半分以上できているので、彼がいなければ、こうはならないし、結婚はしてませんけども、親の気持ちでした、学芸会を見るようなといいましょうか」
→イッキュウくんもそうですけども、あの二人は一回集中すると、本当にそれしかやらなくなるじゃないですか。
「だから、三回ぐらい同じことやらせると、だれてくるから、追加で色んなことさせるんですよ」
→えっ?
「そこを面白がれるから、あの二人はおもしろいんですよね」
『浜薔薇はフィギュアスケートサメシングルを応援しております』
「おっちゃん、おる?」
独身寮の一部屋にいるであろうサメに年下の同僚が声をかける。
「いるよ」
「何、お前も遊びに来てたの?」
「おっちゃんに頼まれて、雑誌買ってきた」
今見てるやつがそれ、サメはじっくりとカルボンのインタビューを読んでいた。
「あれだ、おっちゃん、あの監督のファンだから」
「そうなんだ」
「そうだよ、休みの日はよく見てるって話だぜ」
「おっちゃんと同じ種類のサメなんだろ、映画のサメって、イッキュウとか」
「そうそう」
「おっちゃんって本名もおっちゃん?」
「いや、違うよ、おっちゃん、おっちゃん、呼んでいるけども、本名はイサリだったよ」
そういうとサメは、メモを出してくる。
『イサリ・B』
「イサリビ?」
「Bはなんか違う読み方だったと思うけども」
読み方は引き継ぎされませんでした。
「元々おっちゃん、神様の使いとか言われてたとかは聞いた」
「何それ」
「なんかさ…」
酔っぱらいが川になんか落としたら、川の中でなんじゃこれ、痛いわ!っていうことで水面から顔を出したら。
「ひぃぃぃぃ、お前、ばか騒ぎしたから、怒ってるじゃん」
怒ってはいないが、そこでけったいなものが川にいるということで、水族館の職員が迎えにきたという。
「おっちゃんもさ、映画とか出てみたいの?」
そういうと、おっちゃんはビク!となる。
「えっ?まさかの大当たり、映画に興味があるの?」
「あっちはフィギュアスケートだけども、こっちも熟練のジャンプ見せているから、続編あったら、出してもらうとか」
「続編?」
「フィギュアスケート、ワールドシリーズとかそういうの、あんだけ人気だったら、あっちこっちのサメに声とかかかるんじゃないの?」
「そんなにあっちこっちにサメっているのか?」
「いるんじゃねえの?知られてないだけで」
「おっちゃんは、話来たら…」
話を振り終わる前に、おっちゃんはその気になっているのがよくわかった。
「わかりやすい」
「なんかおっちゃんのアピール動画とか撮影したらどう?」
「あっ、見れば来るかもしれないからか」
「そうそう」
「誰が撮影するの?」
「いや、俺らが」
「わかってないな」
「えっ?」
「あのプロの技に真っ向勝負したら、ただの学芸会で終わると思うんだが」
(やべぇ先輩、アイドルのファンだった)
ペリカンドールっていいよね、新曲発売日は休むガチ勢です。
「おっちゃん、やるなら止めないが、本気でやってくれ、それが俺のお願いでもある」
しかし、おっちゃんはそこまで覚悟が決まってはいないようだ。
おそらくそこが、実際にスターとなったイッキュウと憧れるだけのおっちゃんの差ではないだろうか。
「もしも本気でやるのならば、きちんとプレゼン資料を作り、関係各所説得に回ってやる」
アイドルに理解があり、仕事が出来る人間はそこまでいった。
「後はおっちゃん次第だ」
いきなり転機というものが訪れた。
これを逃せば、次はたぶんない…
おっちゃんの憧れの道は荒波で出来ているのだった。
「確かに大変だったんですけども、フィギュアスケートサメシン(以下サメシン)は先に音楽が作ってから、撮影開始しているので、そこからトランペットのサメくんが始まるまで時間はありました」
→まさかの大ヒットですもんね。
「予想できた人いるんでしょうか?」
→いないと思います。
「でしょうね、監督が一番驚いてましたけども」
→ブラックバンド映画祭の音楽部門はノミネートだけでも快挙でしたが。
「ありがとうございます、自分が作っている音楽がアワビミュージックと言われるとは思いませんでした」
注 ブラックバンド映画祭はサメたちの映画祭なので、人間が招待されるのはまず初。そこでカルボンはノミネートはしたが、受賞はならず、だがアワビに値するとアワビの養殖場の権利をもらったことから、カルボンの音楽はアワビミュージックと呼ばれるようになる。
「でも監督が、コンブ監督ですから」
注 監督はサメ以外が撮影したサメ映画監督賞、コンブ賞をもらった。
「お揃いということで」
→話は変わりますが、サメシンのスピンオフで、少年側で何があったのか、そちらの話を作るということで、最初聞いたときはどう思われましたか?
「難しいと思いました」
→でも良かったですよ。
「作る前はドキドキしてますね、毎回、これでいいのかな、あれでいいのかなって」
→前置きも良かったのかもしれません。
「あれは言うべきか迷ったんですがね、監督の方から、俺は作りたいものを作っているんだから、お前も作りたいようにやれ!って言われたんで、だから勇気はでました、サメシンはこちらが想像した少年の成長を描いているけども、トランペットのサメくんは実際の成長、ライブ感が出ていると」
→主演の細遠(さいえん)くんの成長ぶりが著しいですね。
「トランペットのサメくんは、細遠くんが掴んだ音で半分以上できているので、彼がいなければ、こうはならないし、結婚はしてませんけども、親の気持ちでした、学芸会を見るようなといいましょうか」
→イッキュウくんもそうですけども、あの二人は一回集中すると、本当にそれしかやらなくなるじゃないですか。
「だから、三回ぐらい同じことやらせると、だれてくるから、追加で色んなことさせるんですよ」
→えっ?
「そこを面白がれるから、あの二人はおもしろいんですよね」
『浜薔薇はフィギュアスケートサメシングルを応援しております』
「おっちゃん、おる?」
独身寮の一部屋にいるであろうサメに年下の同僚が声をかける。
「いるよ」
「何、お前も遊びに来てたの?」
「おっちゃんに頼まれて、雑誌買ってきた」
今見てるやつがそれ、サメはじっくりとカルボンのインタビューを読んでいた。
「あれだ、おっちゃん、あの監督のファンだから」
「そうなんだ」
「そうだよ、休みの日はよく見てるって話だぜ」
「おっちゃんと同じ種類のサメなんだろ、映画のサメって、イッキュウとか」
「そうそう」
「おっちゃんって本名もおっちゃん?」
「いや、違うよ、おっちゃん、おっちゃん、呼んでいるけども、本名はイサリだったよ」
そういうとサメは、メモを出してくる。
『イサリ・B』
「イサリビ?」
「Bはなんか違う読み方だったと思うけども」
読み方は引き継ぎされませんでした。
「元々おっちゃん、神様の使いとか言われてたとかは聞いた」
「何それ」
「なんかさ…」
酔っぱらいが川になんか落としたら、川の中でなんじゃこれ、痛いわ!っていうことで水面から顔を出したら。
「ひぃぃぃぃ、お前、ばか騒ぎしたから、怒ってるじゃん」
怒ってはいないが、そこでけったいなものが川にいるということで、水族館の職員が迎えにきたという。
「おっちゃんもさ、映画とか出てみたいの?」
そういうと、おっちゃんはビク!となる。
「えっ?まさかの大当たり、映画に興味があるの?」
「あっちはフィギュアスケートだけども、こっちも熟練のジャンプ見せているから、続編あったら、出してもらうとか」
「続編?」
「フィギュアスケート、ワールドシリーズとかそういうの、あんだけ人気だったら、あっちこっちのサメに声とかかかるんじゃないの?」
「そんなにあっちこっちにサメっているのか?」
「いるんじゃねえの?知られてないだけで」
「おっちゃんは、話来たら…」
話を振り終わる前に、おっちゃんはその気になっているのがよくわかった。
「わかりやすい」
「なんかおっちゃんのアピール動画とか撮影したらどう?」
「あっ、見れば来るかもしれないからか」
「そうそう」
「誰が撮影するの?」
「いや、俺らが」
「わかってないな」
「えっ?」
「あのプロの技に真っ向勝負したら、ただの学芸会で終わると思うんだが」
(やべぇ先輩、アイドルのファンだった)
ペリカンドールっていいよね、新曲発売日は休むガチ勢です。
「おっちゃん、やるなら止めないが、本気でやってくれ、それが俺のお願いでもある」
しかし、おっちゃんはそこまで覚悟が決まってはいないようだ。
おそらくそこが、実際にスターとなったイッキュウと憧れるだけのおっちゃんの差ではないだろうか。
「もしも本気でやるのならば、きちんとプレゼン資料を作り、関係各所説得に回ってやる」
アイドルに理解があり、仕事が出来る人間はそこまでいった。
「後はおっちゃん次第だ」
いきなり転機というものが訪れた。
これを逃せば、次はたぶんない…
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