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自分以外はみんなサメ
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翌朝、サメに連れ去られた監督が戻ってきました。
「生まれてはじめての経験だよ」
でしょうね。
「それで監督、これなんです?」
「トロフィーみたいなもんらしいんだけども」
全部で三つ持って帰った。
「昆布がリボンみたいに巻いてある」
「後、なんて書いているか読めない」
「…こんなんイッキュウが落書きで書いていなかったっけ」
「それならお嬢さんなら何か知っているかも」
……
「ええっと現在の段階でわかっていることなんですが、監督の持ってきたトロフィー、あれはヒエログリフです」
「あのピラミッドとかの」
「そうです、そうです」
「じゃあ、この包丁みたいなのは?」
「葦の穂ですね」
「えっ、これは?スフィンクス?」
「ライオン!」
「ポケットは」
「カップだそうです、これが2つ続いているのは、アルファベットでいうCKが同じ文字になるので」
「三つのトロフィーの共通点から、ここがブラックバンドフィルムフェスティバルっていう意味ですね、そしてここがただのヒエログリフじゃなくて、ヒエロサメグリフとでもいうのでしょうか、ヒエログリフにはないものです」
サメとおそらく昆布を現す字があるというのだ。
「この人間のマークが男を意味します、これが2つトロフィーには刻まれていて、その下の文字が違う、ヒントは監督のその巻かれた昆布」
たすきがけられた昆布である。
「昆布がついているトロフィーは一つだけなので、これが監督のもの、ええっとサメ以外の監督賞になるのかな」
「それで呼ばれたみたいだからね」
「他の2つは主演サメ賞と音楽賞のノミネートですね」
「えっ?じゃあ、これカルボンくんのなの?」
「というか、お嬢さんの話だと、イッキュウの落書き、あれ落書きじゃなくて会話だったみたいだし、お嬢さん、それでヒエロサメグリフすらすら読めるみたいですよ」
おそらく人類でも数少ない読解力を持っている。
「第二言語には認められないわよとかいってましたが」
「なんだろうね、娘に何かを残してやれた気がするよ」
「イッキュウが、『ひらがな』『アルファベット』が理解できているのは、ヒエロサメグリフがその2つに対応していたからみたいです」
なので、タモツにはひらがなメモを渡していた。
「よくなんか角のある蛇とか書いていたから、好きなのかなって思っていたんだけども、意味あったんだ」
「もう名探偵には憧れたけども、実際にこんなこと起きたら、面倒くさいもんだよ」
「そんなことあるある」
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
「先日、サメに拐われまして」
「監督、よく帰ってきましたね」
「そりゃあ、次の日にお返ししますってメモ残してくれたから」
「それ、信じちゃうんだ」
「どっかでサメに拐われたい願望があったし、でも実際にうじゃうじゃサメが来たら、もう覚悟決めるしかないよね」
映画館。
ちょっとお客さんが落ち着いてきてから、ゆっくりいい席で見るぞと思っていたら…
「チケット完売、これがサメシングルの力なのか」
などと思っていました。
でも真ん中の席でゆっくり見れるから俺には関係ない。
そう思っていたんです。
「俺以外のお客、みんなサメだった」
ポップコーンとコーラというオーソドックスなスタイルで楽しみにしているので、驚くのは野暮だなと思って着席。
そして上映開始で自分以外みんなサメというのが忘れられる素晴らしい映画でした。
そして同受賞ノミネートのカルボンの場合は、またちょっと違っていたらしい。
「あいつ、しばらく忙しいから、フェカリスのことよろしくって」
「なんかKCJの波里さんたちも忙しくしてますよね」
「そうそう、その映画祭の副賞でな、契約とかで忙がしくて」
「副賞って何もらったんです?船とか?」
「アワビの養殖場もらった」
「えっ?」
「いや、もらったらしいよ」
サメ達が丹精込めて育てたアワビの一種グリーンリップ、こちらの養殖場A認定のものを差し上げます。
「そしたら、お寿司屋さんのチェーンがうちと契約してくださいって押し掛けてて」
「すごいですね、一夜にして人生が変わるとは…」
「本人は自分は賞とかとは無縁だと思っていたから素直に嬉しいですってコメントしたらしいんだ」
そして現在、サメシングルのスピンオフのサメくんの音楽製作しているから授賞式出れないことを申し訳なく思うと伝えたら、送りつけてきたんだ。
「今日はそんなわけでキッチンカーの方にそのアワビの煮付けが出るんだけども」
「高いですよね?」
「400円」
「居酒屋メニューですか!」
「貝一つで400円」
「もっととんでもなかった」
「だからKCJの人たちがいうには、各社のバイヤーとかえらい人が今日は来るんじゃないかと、あれなんてそうじゃないか?」
高そうな車が並んでいる。
ちらっと傑が見る限りでは。
「経済紙で見たことがある人がいますよね」
「そうなのか?」
「面白くなってきたな」
こういうとき、人間というものが出るものだ。
「おっ」
昼時、浜薔薇の三人もそのアワビを食べてみたが。
「美味しいですね」
「だな」
「冥土の土産になるな」
「冥土に行くなら、もっと土産持たせるんで待ってくださいよ」
冥土ジョークも出たところで本日はこの辺で締めさせてもらおう。
「生まれてはじめての経験だよ」
でしょうね。
「それで監督、これなんです?」
「トロフィーみたいなもんらしいんだけども」
全部で三つ持って帰った。
「昆布がリボンみたいに巻いてある」
「後、なんて書いているか読めない」
「…こんなんイッキュウが落書きで書いていなかったっけ」
「それならお嬢さんなら何か知っているかも」
……
「ええっと現在の段階でわかっていることなんですが、監督の持ってきたトロフィー、あれはヒエログリフです」
「あのピラミッドとかの」
「そうです、そうです」
「じゃあ、この包丁みたいなのは?」
「葦の穂ですね」
「えっ、これは?スフィンクス?」
「ライオン!」
「ポケットは」
「カップだそうです、これが2つ続いているのは、アルファベットでいうCKが同じ文字になるので」
「三つのトロフィーの共通点から、ここがブラックバンドフィルムフェスティバルっていう意味ですね、そしてここがただのヒエログリフじゃなくて、ヒエロサメグリフとでもいうのでしょうか、ヒエログリフにはないものです」
サメとおそらく昆布を現す字があるというのだ。
「この人間のマークが男を意味します、これが2つトロフィーには刻まれていて、その下の文字が違う、ヒントは監督のその巻かれた昆布」
たすきがけられた昆布である。
「昆布がついているトロフィーは一つだけなので、これが監督のもの、ええっとサメ以外の監督賞になるのかな」
「それで呼ばれたみたいだからね」
「他の2つは主演サメ賞と音楽賞のノミネートですね」
「えっ?じゃあ、これカルボンくんのなの?」
「というか、お嬢さんの話だと、イッキュウの落書き、あれ落書きじゃなくて会話だったみたいだし、お嬢さん、それでヒエロサメグリフすらすら読めるみたいですよ」
おそらく人類でも数少ない読解力を持っている。
「第二言語には認められないわよとかいってましたが」
「なんだろうね、娘に何かを残してやれた気がするよ」
「イッキュウが、『ひらがな』『アルファベット』が理解できているのは、ヒエロサメグリフがその2つに対応していたからみたいです」
なので、タモツにはひらがなメモを渡していた。
「よくなんか角のある蛇とか書いていたから、好きなのかなって思っていたんだけども、意味あったんだ」
「もう名探偵には憧れたけども、実際にこんなこと起きたら、面倒くさいもんだよ」
「そんなことあるある」
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
「先日、サメに拐われまして」
「監督、よく帰ってきましたね」
「そりゃあ、次の日にお返ししますってメモ残してくれたから」
「それ、信じちゃうんだ」
「どっかでサメに拐われたい願望があったし、でも実際にうじゃうじゃサメが来たら、もう覚悟決めるしかないよね」
映画館。
ちょっとお客さんが落ち着いてきてから、ゆっくりいい席で見るぞと思っていたら…
「チケット完売、これがサメシングルの力なのか」
などと思っていました。
でも真ん中の席でゆっくり見れるから俺には関係ない。
そう思っていたんです。
「俺以外のお客、みんなサメだった」
ポップコーンとコーラというオーソドックスなスタイルで楽しみにしているので、驚くのは野暮だなと思って着席。
そして上映開始で自分以外みんなサメというのが忘れられる素晴らしい映画でした。
そして同受賞ノミネートのカルボンの場合は、またちょっと違っていたらしい。
「あいつ、しばらく忙しいから、フェカリスのことよろしくって」
「なんかKCJの波里さんたちも忙しくしてますよね」
「そうそう、その映画祭の副賞でな、契約とかで忙がしくて」
「副賞って何もらったんです?船とか?」
「アワビの養殖場もらった」
「えっ?」
「いや、もらったらしいよ」
サメ達が丹精込めて育てたアワビの一種グリーンリップ、こちらの養殖場A認定のものを差し上げます。
「そしたら、お寿司屋さんのチェーンがうちと契約してくださいって押し掛けてて」
「すごいですね、一夜にして人生が変わるとは…」
「本人は自分は賞とかとは無縁だと思っていたから素直に嬉しいですってコメントしたらしいんだ」
そして現在、サメシングルのスピンオフのサメくんの音楽製作しているから授賞式出れないことを申し訳なく思うと伝えたら、送りつけてきたんだ。
「今日はそんなわけでキッチンカーの方にそのアワビの煮付けが出るんだけども」
「高いですよね?」
「400円」
「居酒屋メニューですか!」
「貝一つで400円」
「もっととんでもなかった」
「だからKCJの人たちがいうには、各社のバイヤーとかえらい人が今日は来るんじゃないかと、あれなんてそうじゃないか?」
高そうな車が並んでいる。
ちらっと傑が見る限りでは。
「経済紙で見たことがある人がいますよね」
「そうなのか?」
「面白くなってきたな」
こういうとき、人間というものが出るものだ。
「おっ」
昼時、浜薔薇の三人もそのアワビを食べてみたが。
「美味しいですね」
「だな」
「冥土の土産になるな」
「冥土に行くなら、もっと土産持たせるんで待ってくださいよ」
冥土ジョークも出たところで本日はこの辺で締めさせてもらおう。
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