浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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捜査官 猫

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「清心さんの紅葉ちどりはどうですか?」

「旨かったな、やっぱりさ…」

  実はスープもチャーシューも同じ鳥を使っていると、あのあと発表になった。

ラーメン部はその発表にどよどよと、見抜けなかったことを恥じたという。

「まだまだラーメンの道は険しい」

「だからこそ、挑みがいがある」

福猫の一号というキッチンカーを借りると、仕切りはKCJ職員が行ってくれたり、簡単な、基本の動画、日本語や英語の字幕付きを作ってくれるし、しかも自由にそれは店が使える。

「調理に専念できるって、そこでレンタルを決める人は多いようです」

「後は整備部門だろ?」

そう、ここまでするかのサービスがある。

カチカッチ

点火しない。

調理機器のトラブルはいきなりやってくる。

「お任せください」

すぐに支部に連絡をすると、整備から勢いよくやって来ます。

「高速使ったの?」

管理部門、何をしているの?という顔になりました。

「地域の宿命だよな、こういう修理が必要になるとすぐにはいかないしな」

「前に二週間とか言われたことがあります」

だかこそ、KCJから整備がやって来るとなると、その価値があがる。

「しかもあそこは腕がいいですし」

よそでこれは買い換えた方がいいですね、といわれてもだ。 

「任せな」

配線を変えたり、こういうものを取り付けてしまえばいいじゃん。

シュボ

「あっ、ついた」

「アリガトウゴザイマス」

ほとんどその場で解決するのだが、解決でしない場合でも‥

「代わりのものをお持ちしましたのでこれをお使いください」 

えっ、何それ、報告に聞いてないんだけれども、説明してくれるかな。

「このように、先に整備がこのぐらいならばやってやるよって、始めてしまったものが、サービスとして、浸透しちゃって、むしろそれで、すいません、キッチンカーを借りてみたいんですがって来ちゃうから、今更、管理部門が口を出せなくなったと」

本当さ、こういうのやめてくれるかな?前にもそれでさ、始めちゃってやめる手続きのために、何ヵ月かかったか知ってるよね?

しかし、我々は負けません。

前の職場よりも(そこまで)口うるさくないのですから、みなさんの応援があるかぎり、私たちはやり過ぎていきたいと思います。



『ここは浜薔薇の耳掃除です』



店内ではテレビ放送が流れているが、平日の午後特有の二時間ドラマの再放送の時間だった。

『捜査員 猫2』

その画面を見たとき、傑の顔が変わった。

「あれ、そのシリーズ知らなかった?それは実話を元にしてて」

撮影協力、KCJの文字がテロップが出た。

「これは‥」

「そうだ、この主役の捜査員 猫役もケットシーなんだが、元の話もケットシーだな」

原作では怪しい人間に猫のふりをして近づき、撫でられたりして、油断したところで、隠していた盗難品をわざと落とさせる。

「え?」

微笑ましい猫との交流だと思っていた人たちの顔色が変わる。

何しろ何人かの免許証が見えている財布が、地面にばらまかれているのだから。

「け、警察」

「はい!」

「お前がやったのか」

「やりました」

そこで犯人がどういう人生を送ってきたのか、語りはじめて、話が終わるだろう頃に。

「俺は人を信じられない人間だが、猫も信じられなくなりそうだ、今までの生き方にバチが当たったのかもな」

そうはいったが、その男はみんな終わって、新しい生活を始めるときに、部屋に猫のぬいぐるみを飾ったという、それは戒めなのか、自分が捕まる原因になった猫と同じような模様のぬいぐるみだった。

「っていうのはニュースで言ってたな」

詳しく知りたい人はKCJのサイトにアクセス。

「思った以上に二時間ドラマになりそうなテーマですね」

「だろ?今ではシリーズになってて」

「えっ?」

「昔とは曜日とか時間帯とか変わってしまったし、一緒に組む捜査官がだいたい新人さんで、その新人さんが猫 捜査官と組むことで経験を積んでいくっていう、そういう面白さもあるドラマだな」

舞台にもなっている。

「舞台版は役者さんが猫役らしい」

パントマイムが得意な役者さんが選ばれたりするのですが、普段は主役をやらない人が主役を演じたりするので。

「この芝居はファンは多いんです」

KCJにもファンレターというか、その主役を演じる役者さんのファンから、「ありがとうございます」のお礼の手紙がガンガン届くので。

「これは正式に返事に予算を使った方がいいんじゃないかな」

「はいはーい!その仕事やりたいです」

手をあげたのは舞台やライブのためにKCJに働きに来ましたという職員である。

「こういうのはね、ちょっとしたことでね、ファンが喜び、いい循環を語り出した」

なお、KCJの他の職員からすると。

「異世界経験ありながら、異世界の芝居とか楽しめるっていう精神力がすごい」

「落ち着いて見てられないんだよな」

と、自分の意思とは関係なく転移や転生した人たちは信じられないと思われている。

それぐらい少数派のため。

「じゃあ、そこんところがわかっているから、書類作ってくれる」

「わかりました!」

そして自分の芝居に対しての熱い情熱がつまった書類ができた、それをそのまま出そうとしたら。

「短くしよう、短く!」

A4に3枚までにしろと言われた。

「確かにその枚数は守ったが…さ」

それでも書きたい情熱は字を小さくすることで埋めようとし。

「老眼にきついからやめてくれる?」

「チッ」

こうしてファンレターの返信は、公演の後援となったKCJのために撮りおろした、キャストのポストカード(全20種類がランダムで送られる)にしたところ。

「仕事増やしてどうするんだよ!」

怒られたけども、このポストカードは毎回増やしつつ、しかもシークレット入りにし、今も行われている。





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