浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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ブロードリーフバーサーカー

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車のバッテリーが上がる、それはいきなり起こる。
「すいません」
運転手が浜薔薇に救援を求めると、KCJの東司と波里が出てきて、公道の車を駐車場に押してきた。
「ありがとうございます」
「これで関係各所に連絡お願いします」
KCJでは職員のキャリアのために、資格や免許取得のために費用の応援をしていたりする。
「このおかげで義実家がゴブリンに襲われて、急に休むことになったときも助かりました」
この職員は後に退職しましたが、ゴブリン対策に取得した資格が役に立ったと言います。
しかし、本来これは戦闘職向けのキャリアプランであった。
戦闘職というのは収入が一般職よりも上であるが、これは戦闘職が長年勤められる役職ではないためである。
それこそ、一般職や市民を危険から守ることが求められている、それが勤めれなければならないし、本人からもう体が昔のようには動かないという申告でやめることも多い。
その時に一般職に転属出来るのならば転属なのだが、それは今のところ上手くはいってない。
「東司は車両関係の免許持ってますからね」
「公道で走れるだけだぞ」
大型特殊まで持っています。
また直帰直行の浜薔薇出張所の運転担当も東司であり、運転手当てももらっていた。
そういうわけで重宝がられて、ちょっと前までは運転目的であちこちの現場に呼ばれたりすることはあった。
「だって、東司にしかあれって出来ないし」
もちろん普通の話ではない。
東司燭は霊的なものの影響をあまり受けない。
「見ても、いるなぐらい」
「なんて羨ましい」
逆に波里は見たくないものまで見てしまうものである。
運転免許持ってる、霊的なものの影響をあまり受けない、そして戦闘職、この三つが揃っている戦闘職はKCJでもそういないので。
「じゃあ、回収をよろしくお願いしたいんだけども」
「あっ、はい、わかりました」
訳ありの車両の回収に立ちあったりするのだが、この回収もスムーズにいけばいいのだが、それはなかなか難しく。
回収先もそういった車両が来るということで、ドキドキしながら待っていた、その車両の姿が見えたときにホッとした。
「お疲れ様です」
「ああ」
そういってサイドブレーキを引いた。
「な、何もありませんでしたか?」
「さっきまでは今、ブレーキがなんでか利かないから、サイドブレーキ使ったんだが…」
「おおい、塩を持ってきて、浄化しないと怖くて触れない」
他の人間が触るのを躊躇うものでも東司だとこの程度で済んでしまうのである。
「まあ、東司は容赦ないですし」
「そうか?」
「そうですよ」
東司が武具とする矛があるのだが、これは前にもいったアマノウズメブランド、柄に刻印されている笹のマークがその印である。
「俺は戦闘訓練を受けて戦闘職になったからな」
既製品の武具をはじめてする場合、インストラクターからレクチャーを受ける。
初心者向けの武具としてアマノウズメブランドが愛されている理由としては、訓練を受けると生存率が高くなるからであった。
もうデータ化されて、その武器と訓練を受けるとどのぐらい生存率が高いのかわかっているので、初心者はそういう高いところから選ぶ。
アマノウズメブランドは、敵となったら、その武器を握ったら、容赦なく振れ、躊躇うなと教える。
「油断するとやっぱりやられるんだ」
その躊躇いや迷いがあると、そこで致命傷を受けることが多い。
「アマノウズメブランドってバーサーカー武器ですし」
それを握ったら殲滅するまで油断するなとも教えられる。
「笹がか、それだからな」
柄に笹の刻印があるが、これは狂笹といい、笹を持つことで狂を表現している。
故にアマノウズメブランドの武具を持ち歩くものはブロードリーフバーサーカーなどと言われたが、それが一番生存率が上がるからという理由なので、思ったよりもブロードリーフバーサーカーは、バーサーカーではない。
そのために一緒に現場で組むことになった人が。
(うわ、アマノウズメブランド…)
東司と組むことになった人が武具の刻印を見て、明らかに顔の色が変わったとしても。
「思ったよりもバーサーカーじゃないって、仕事していくうちにはわかっていきますから」
「俺はそんな風に思われていたのか」
「ただの戦国武将です」
「えっ?」
武士のような佇まいでサムライ、しかし修羅場になると、茶を一服するその姿から、戦国武将となっていく。

浜薔薇では椎茸をはじめとするキノコ類を栽培している、日陰の塀に、原木を立て掛けているので、さてどんなものだと、蘆根はしゃがんでいると。
ザザザザ
真後ろに砂利をジャリジャリさせた音。
振り替えると、着地失敗のイツモ。
「これは」
塀を挟んで裏はイツモの友達のフェカリスが住んでいる、つまり家に帰るために塀を飛び越えようとすると、そこに蘆根がいた。
避けようとしてもいうよりも、驚いて空中で変な格好になり、蘆根にはぶつからなかったわけ。
「ありがとうな」
ぶつかっていたら大怪我、蘆根はイツモが避けたと思ったので、抱き寄せて、毛についた砂利をはらって家の中につれていくのだが。
ツーン
あっ、イツモのこれは、この顔はそういうことにしておくか顔である。
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