浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
上 下
61 / 891

失恋の傷はまだ痛む

しおりを挟む
蘆根は自分の仕事の+になりそうなものならば、なんでも興味を持つタイプである。
(膝枕の耳かきか)
ある意味商売敵、だけどもみんな思ってる、浜薔薇はそこを目指さなくても全然良いのよ!
逆にそっちに行こうもんなら。
「どうしたの!具合が悪いのか、それともあれか?経営状態が、それなら相談してくれよ、知り合いの弁護士頼むから、ああ、もう何も言わなくてもいいよ!」
ってたぶん常連がそうなっちゃうの間違いないのである。
「そんなに俺がこういうのを気にするのは変なんだろうか」
(言えない、昔から先輩はそういうところがあったなんて)
仕事を追いかけて周囲を見ないことがあります。
そんなわけで蘆根ははて?という顔をしていた。
時間があれば、自分へのマッサージで練習する蘆根。
「先輩」
「どうした?」
「このマッサージミルクはどうですかね」
同じ商品でも、改良されるとテイストが変わるというか、やっぱり違うので、そういった違いがある場合は打ち合わせ。
「これはちょっと量減らすか」
「でもそうすると」
「そうなんだよな、マッサージしてすぐにそのまま何か触っても大丈夫ぐらいなのが一番いいんだがな」
「そうすると、自分にマッサージするのにも使えますし」
「やっぱりさ、今はみんな時間がないから、マッサージに使うクリームも、塗ってすぐにべたっとしない、さらっとするぐらいのが好まれると思う」
べたっとするタイプは、やはり最初にタオルを準備したり、マッサージをする部分の順番考えなきゃならないから、少々面倒くさいのである。
「座る場所にタオル敷かないといけないとかな、店ではいいけども、お客さんには勧めにくいというか、やっぱりお客さんが使いやすいものじゃないと」
これはサロン専用の商品ではなく、ドラックストアで売られているもので試しております。
「ブログのネタっていうのもなかなか難しいものだな」
「まあ、今すぐそううネタにならなくてもいいんじゃないでしょうかね、ブログは大変なんですよ」
前の店では毎日更新ぐらいの気持ちでやってくださいと言われて、そこが本当に大変だったのである。
「浜薔薇は確かにブログはありますけども、そういうノルマないですもんね」
「えっ?だって、毎日って何書くんだ?」
「それは、そうなんですけども」
「イツモの写真とか?それはもうやっているようなもんだし」
しかし蘆根が撮影すると、イツモは跳び跳ねてぶれぶれだったり、体の一部分しか写ってないのである。
「あれは先輩にしか撮れませんし」
他の人が撮影するとイツモがどういう猫かわかるのだが、蘆根が撮影しようとすると、興奮してなんだこれはみたいかのしか撮れないが。
「王子は今日も元気」
イツモを王子と崇める人たちからは、蘆根の写真は好評だった。
「でもブログとかでできるなら、好きなようにやっていいんだぜ」
「好きなことですか?」
「そうそう、前の店だと私服とか載せてたらしいじゃん」
店をやめたときに全部消去されましたが、ファンは多かったです。
「でも今はそういう気分じゃ、嫌いじゃなぃですけどもね、そうだな、学生さんとかのデートの服とか、考えるぐらいでとりあえずいいと思ってますよ」
「ああ、あれな」
初デート何を着ていけばいいですか?を予算かけずに解決するので。
「傑さん、お願いします」と頼まれることも多いのだが、一回だけしかそれにはこたえていない。
「あんまり僕がやるとね」
「ああ、それな」
だんだん彼女がオシャレな彼だと思ってくるので、オシャレが重荷になるという。
「いきなりそういうのやめると、確実に喧嘩になりますし、一回だけちょっと頑張りましたでいいと思いますよ、それこそ記念にっていうのかな、無理してやっても続きませんから」
「だよな、自分の好きなもの、それこそラーメン好きならラーメン一緒に食べに行ってくれる彼女を大事に、うん、そうだな、次もそういう子と付き合いたいなっていっても、そういうことはなかったりするんだよ」
だんだん言ってて悲しくなっていく。
「一緒にいるって大事だから、本当に!」
「なんだどうした、昔みたいになっているぞ」
「えっ、まさか、これが」
「そうよ、蘆根がうちに来たとき、こんな状態だったから、放っておけなくてな」
発作のように失恋の傷が痛む状態でした。
「まっ、相手に行かねえからそのままにしておいた」
「確かにそうですよね、これで元カノの方に叫びに行ってたら、止めに入りますけども」
「あの時、うちには心配してきた客ばっかりだったのよ、でもこいつがこんな調子だろ?」
えっ?タモツさんが心配できたんだけども、この人大丈夫なんですか? 
タモツよりも蘆根を心配された。
「だからうちの常連は蘆根の元カノの話とか詳しいわけよ」
「あ~そうだったんですか」
不思議なものでたくさんその話をしたところ、あんなに言いたかったことが心から消えてしまったのだという。
「あれはあれで悲しかったな、俺はとんでもなく好きだったんだけどもさ、それがふっ!って蝋燭の炎が消えるように無くなってさ、あれって一体何なんだろうな」
「お前さんが大人になったってことだな」
今は美しい思い出、でも手を伸ばして掴めるなら…の誘惑はまだ起きている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お兄さんの子供を妊娠したの!旦那を寝取った妹からの反撃が怖い!血を分けた家族からの裏切りを解決したのは…

白崎アイド
大衆娯楽
「お兄さんの子供を妊娠したの」と妹がいきなり告白してきた。 恐ろしい告白に私はうろたえる。 だが、妹が本当に狙っているものを知って怒りが湧き上がり…

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

お尻たたき収容所レポート

鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。 「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。 ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。

処理中です...