浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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こちらの方でも作品は公開してますが、浜薔薇も含めて成人向け扱いになってます。


ニュ!
目の前を、視界を塞ぐ何かである。

問題(デデ!/SE)
これはなんでしょうか?
寝起きの頭なのであまり上手く回りませんが、考えてみましょう。

「あっ、イツモか」
答えはイツモの肉球ドアップ、みなさんも正解できたかな?

室内は猫に快適な気温ではあるが、外は大変寒い日である。
「おはようございます」
蘆根に挨拶するのは学校の後輩でもある傑である。
「今日は寒いな」
「本当ですよね」
浜薔薇は蘆根が継いだときに、リフォームされている、寒暖差があまり起きないような断熱性能でありながら、光熱費はかからない作りになっているため、四季を通じて快適になっている。
「こんにちは」
お客さんがやってきた、暖かい室内でコートをロッカーにしまい、さっそく本日のメニューを注文した。
「髪はこのぐらいで…」
このお客さんは近年、浜薔薇に通ってくれるお客さんで、前髪が邪魔になるぐらいになるとやって来る。
「前に通っていたお店は、前髪をいつも切り損ねてさ」
それでも我慢していたのだが、前髪に煩わされるのがイヤになり、店を変えた。
パーティションで仕切られた一角にご案内し、まずはブラッシングからである。
このブラッシングを丁寧に行うことで、頭皮のマッサージにもなるし、汚れもかき出せる。
「なんか浜薔薇に来ると、さっぱりするんだよ」
それもそのはず。
浜薔薇ではご自宅ではなかなか難しい毛穴の汚れまでとってくれる。
お湯である程度以上流し洗いしてからのシャンプー、マッサージ、トリートメントで生まれるツヤガミからの、カット!
「切るのが惜しくなるぐらい艶々にされるんだもんな」
「これでヘタスタイル変わることもありますね」
あまりに痛みすぎると切るしかない場合もある。
「でもこのバランス考えると残した方がいい(んですよね」
そういうバランスの取り方、ヘアスタイルにあまりこだわりのないお客さんに提案する能力を傑はもっている。
「こんな良くなるとは…」
たまたま店に来たタイプのお客さんは、自分の魅力的な一面を思い知らされることとなる。
「また来るよ」
そしてそのまま常連客コースというのが、最近は多いだろうか。
元々スタイルにこだわりある方からの、細かい注文も応えれるために、カットのメインは傑である。
「じゃあ、次は爺出番だな」
そういってよっこいしょと、タモツが出てきた。
このこだわりあるお客さんは、予約の段階で、タモツ先生がちょうどいいときに予約をとりたいのですが?といって先に抑えてきていた。
「そういわれたら、やるしかねえな」
そういって予約がある朝はいつもより気合いを入れているらしい。
「やっぱり爺だから、だましだましよ」
そうはいうが、蒸しタオルを準備し、ブラシで泡立てる姿は、一分の隙も見せない。
その姿を見ると、蘆根はうるっときてしまう。
奥さんが倒れて、入院、あっという間に亡くなってしばらくは、声をかけるのもためらったぐらいだ。
「もううちも終わりだ」
それがその頃の口癖だ。
そこに蘆根がけんか腰で。
「タモツ先生からはまだまだ教わることがありますからね」
と押し掛けて来た。
「勝手にしろ!」
険悪な日々が続きはしたが、店を開けるとお客さんたちはやってくる。
先に浜薔薇をよろしく頼むね、いい跡継ぎが見つかったといったのは、近所の人たちが喜んだ。
ある時忙しく、蘆根だけではさばききれなくなったのを見て、ふらっとタモツはやってきた。
「俺がこっち引き受けるから、慌てなさんな」
そういって何事もなかったように客の相手を始めるのだった。
しかしブランクはタモツの魔法のような腕を奪ってしまった。
往年のタモツの技を知るものの中には、そこにがっかりとし、離れていったものも多い。
けども、それを埋めるように蘆根がサポートをし始める。
チーン
仏壇には亡くなった奥さんの写真が飾られていた。
「しっかりしなきゃ、笑われちまうからな」
そういってタモツは、また店に戻ってきた。
確かに往年の腕、本調子ではないかもしれないが、まだやれる、まだやろうとする気持ちは本物である。
がさっ!
耳の中から大きな音がした。
タモツの耳かきが、耳の中から大きな垢を削り、それを取り出したのだ。
「寒いもんだけども、家の中はあったかいですから、それで汗をかいてますし、お客さん、水分不足になってます、お肌がカサカサしてます」
「えっ?そうなの」
「はい、これではいくらクリームをつけてもダメですから、時間を決めてお水を飲んだ方がいいと思います」
「うちでお水差し上げてますから、どうぞこちらを」
そういってペットボトルのミネラルウォーターが出てきた。
暖房のきいた室内、ごくごくと飲めてしまう。
「こんなにカラカラになっているとは思わなかったよ」
「これからマッサージもしますから、老廃物も流せますし」
マッサージは蘆根の出番である。
ゴリゴリ
「お客さん、これ、家でもマッサージした方がいいですね、お風呂上がりでも、それで大分違いますから」
「仕事でね、結構しんどくてね」
「頭と胃ですね」
「ひゃぁ」
そして一眠りしてから、今日のメニューはおしまいとなった。
一眠り、仮眠はフルコースメニューのサービスとなっております、ご用のかたは遠慮なくお申し付けください。
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