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一章

臭い洞窟

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 やっぱり予想した岩場、洞窟があるポイントだろうとまた走った。
 しんどい。若い体になっても心の疲労度が来るんだ。今夜は温泉の素使って湯船に浸かろう。

 足元に岩が目立ってきた。木の上は蔦が絡まってるような?鳥の巣か?

「あー、エイプ処理したら卵回収だな」
「親は戻って来ないかな?」
「エイプが近くにいるなら戻らんだろ」
 ほうほう。サルもどき、鳥の敵。

 腕のウォッチが目の端で点滅したって思ったら何かが横切って、クレイバーが盾で吹き飛ばした。
「来たぞ!!」
「「「おう!!」」」
 
 一瞬で戦闘体制に入った〈新月の雷光〉。俺も刀を構える。

「キーーーーァ!!」
「キキキキーーーーィ!!」

 サルは早くて、複数が別方向で襲って来た。
 だがBランクは伊達じゃなかった。
 俺がどうこうする前に終わった。

「こいつらは斥候だ。気を抜くなよ」

 ドレイクが周りを見渡すと次が来た。
 さすがに俺も意地で一頭倒した。良かった。

 計八頭。
「次の気配がないな」
 この前五頭に今日で十三頭。倍はいるはずらしいけど、なぜ止まったのか。

『仲間たちと暮らした巣に導け〈誘導〉』
 シャートがサルもどきの右足を持って魔法を発動。付与魔法じゃなくて、探索、捜索の魔法だって。すごいな。

 手に持った右足が誘導先に引っ張っていかれる感覚らしい。ちょっとホラーじゃないか?

「まだ出てくるかも知れない。気を抜くなよ」
 ドレイクは剣、俺は刀を抜いたままで移動する。
 ドットは拳一つでサルもどきぶっ飛ばしてた。アームカバー着けてるけどびっくりだよな。ワイバーンとかクマもパンチで行くんだってよ。すげぇ。

 シャートを先導に進むと入り口が小さな洞窟を見付けた。

「入れるのか?」
 俺とシャートはギリ入れるかもだけど、あとの三人は無理じゃないか?

「中から出てきそうな気配はないから岩を崩すか?フッンッ!!!」
 確認の前に拳で岩場砕いた!!
 ドットが脳筋と認定した。ドットの行動読めなかった俺だけ、小石が当たったぞ。
 クレイバー、俺も盾に入れてくれよな!!

 シャートが崩れた岩を魔法で浮かして移動させた。魔法は便利だ。

「警戒は解くなよ」
 とにかく俺に気を配ってくれる。出会って間もないのに優しいな。

『目を見渡し導く光りを〈照明〉』
 うーん、シャートが杖を前に向けて、杖の魔石を光らせた。
 詠唱がやっぱ面倒だ。俺はほぼ無詠唱だし、人前で魔法使わないでおこう。

 再び通るのが不可能っぽい岩が現れた。
 脳筋がカチ割った。

 少し中を進んだら突然物凄い臭気が。

 未だかつて嗅いだことがない酷い臭い。

「ウォエ」
「グッ」
「ムリー」

 あ、みんな臭いと感じてる。

 嗅いだことないけどシュールストレミングとかをはるかに上回ってるはずだ。

「コイツはちょっと不味いか?」
「いや動く気配はないぞ」
 シャートが魔法を使ってくれる。
『臭気を取り払い新鮮な空気を〈清浄〉』
 自分に臭いが染み付いたんじゃないかと言う絶望感は完全に拭えないくらい臭かったけど、鼻は助かった。

「久しぶりに臭いの当たった」
「ほぼ密閉されてたなぁ」
 
 岩を退けて進んだら、床に壁に緑の吐瀉物みたいな汚れ。
 散乱した何かの物体。

「あー、ジェイル、結界かけてあげるから外出たらぁ?」
 シャートが気の毒そうに言う。
「確かに新人に見せるのは可哀想だな」
 何やらよろしくない現場らしい。
「いい。今後もソロで動くつもりだから出来るだけ体験したい」
 四人とも少し考えて「そうか」って。

 仲間と冒険も楽しそうだけど、俺に秘密が多過ぎる。(ちょっと厨二っぽいw)

「じゃ臭い汚いは覚悟で来い」
「はーい」

 とにかく汚い通路を進んだら、サルもどきとゴブリンが互いを食いあってた残骸が。
 ゴブリンの巣にエイプが集まってと思われる。
 あと冒険者らしき女の子の残骸。
 一人だったんだろうか?
 ドットが女の子のタグを回収して、持ち帰れそうな武具もマジッグに収納した。

 入れそうなところ全部覗いたけど、とにかく汚くて、最悪だった。

 生きてるエイプもゴブリンも居なくてナワバリ争いか獲物の取り合いで全滅。
 俺とか襲ってきたのはここから逃げたエサだーって来ちゃって運良く助かってた?五頭で俺に倒され、今回の八頭はロック鳥無理ーで逃げて、また人間キターーーーーーーーーで食べようと襲ったらサル生終了。 

 岩場は外側からまたドットが「フッン!!」と入り口周辺の岩を砕いて閉ざした。

「この周辺は見とく?」
「そだな」

 一時間ばかり周辺を探索。 
 気配がないなら終了じゃって思うんだけど、たまに狡猾なのとか、魔力を隠したりしてるのが潜んでるらしい。

 蔦が襲ってきたりしたものの何も出てこなかった。
 エイプより弱いのは逃げてるだろうって。

 最初に見つけた鳥の卵は木をドットが殴って折って(結構な太さだぞ?)落ちてきた巣と転げ出た卵をドレイクたちが受け止めた。
 この鳥の卵も売れるんだそう。

 いつもこんな感じなのか。
 シャートが魔法で卵浮かせたら良かったんじゃと思ったら、全部シャートに任せるのは良くないって。
 それはそうだとは思うけど、いきなりブン殴るのビビるからな。

 帰る前に休憩だと、ウインナー食べてそれぞれ干し果物、干し肉と食べたい物を食べた。
 ワインで水分はちょっと喉が潤う気がしないけど、何も飲まないと脱水になるから飲んだ。

 クレイバーのお誘いで一本吸って。

「じゃ帰ろうか?」
 またもシャートに〈瞬足〉を付与して貰い、森の外に向かう。

 途中で猪(フォレストボア)家族が突進して来たのでクレイバッグが吹き飛ばしてシャートが回収。

 俺全く役に立たない!!!

「普段なら俺たち避けられるのにラッキーだったな」

 ドットとクレイバッグが「「にーく!肉肉!!」」と喜んでる。
 あ、俺が引き寄せるんだっけ。ラッキーって言ってるから良いかな。

 その後はスピードもあってか何も襲って来ず、森を出た。

「まぁゴブリンがまだ少ない巣だったし、エイプと潰しあってくれてて良かったよ」
 運が悪いとどっちも大繁殖して面倒だったそうだ。
 あの臭いのはゴブリンの生活臭と体液と、エイプの体液、かなり嫌なブレンド臭だったらしい。
 もし次出会ったら絶対体液かからんように処理しよう。無理!!

 門の前は少し渋滞。

「お、今日は多いな」
「んー、見かけない馬車じゃない?」
「貴族か?」

 え!貴族なの?

「ジェイル、一応フード被っておけ。お前目立つからな」
 なんかドットに気を遣われた。
 
 しばらくすると貴族の馬車が町に入って、残りの馬車や人も順調に入って行ったので、すぐ俺たちの番になった。

 門番のランドが「おかえりー」と言ってくれて、「おぅ!」「たっだいまー」とどっちたちが返す。

「このままギルドに報告に行くぞ」

 俺だけ帰ったりはダメだよな。

 早く風呂に入りたいぞ。







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 彼らのジョブが出ました。

〈新月の雷光〉
 ドット 拳士
 ドレイク 剣士
 クレイバー 盾士
 シャート 魔導士
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