女神に可哀想と憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

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一章

女運の無さ、俺だけじゃ無さげ

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 覗き現行犯はクレイバーとヴァロだった。
 無事戻って来たのか。

「リーダー、狡いじゃん~!」
「坊、草やってんだ」

 パンツ一丁で何言ってんだ。
 
「お前ら、服着ろよ」
「暑いじゃん」

 なぜかトイレ横でパンイチの二人がトイレ横に加わった。
 ランガがヴァロに一本出して、クレイバーに煙草の箱を見せる。
「クレイバーは吸うか?」
「いちいち巻いてって面倒って思ったけどそれなんか違う?」
 興味を持ったらしい。

 煙草を一本受け取り、しげしげ観察して鼻に持っていき匂いを嗅ぐ。

「なんだ!これすっげっ良い草か?初めての香りがする!!」
 なんかヤバい草の方連想するんだよなぁ。
 ヴァロと二人火を着けて、
「ウォー!効くぅ!!」
「ドレイクが吸ってる草より甘い香りがするー」
 タバコを幸せそうに吸う姿を見るのは好きだ。

「おい!!いつまでションベンしてんだ!!後がつかえて・・・ん?」
 この声はジョズさんかな。トイレ開けたら誰もいないって事で裏覗くよね。
「お前ら・・・」
 匂いもバレた。
 ジョズさんも吸うかね?
「今はいらん。とっとと中戻れ」
「「「「はーい」」」」
 
 中に戻るとエンマさんが出来上がっていた。

「うふふ、ボルクはね。私と同郷とぉ。んでな、一旗あげるってぇ町を出たとね。年に二回くらい帰って来たとね・・・」
 ランガとヤンとを両脇に座らせて、馴れ初め?を語ってる。
 元パーティメンバーのギルマスは知ってるだろうし、定宿にしてるドットたちも聞いたことがあるんだろう。
 「はいはい」って感じで酒飲んでる。
「・・・でね、聞いとうと?」
「うんうん、それで?」
 ヤンが促すとニコニコと続きを話す。
「私が二十歳に時とよ!待たせすぎと!でもね、うちの前でいきなり大声出して・・・」
 ふんふん!それからどうした。
「飲み過ぎだ」
 物語は佳境に入ったのに、ボルクさんがエンマさんのことを抱き上げて奥に連れて行ってしまった。

「えー!良いところだったよねー?」
 うん、おそらくプロポーズか親に挨拶か。
 この世界の平民は男女十六歳で結婚ができるらしい。
 俺この世界でも晩婚組になるぞ!
 あ"?あっちで結婚出来てないって言ったやつ出てこいや!

「アイツは金貯めて嫁が安心して待っていられる家を用意して迎えに行ったんだ」
 ふわぁ~お!男気全開!
 ギルマスも既婚者かな?
「ギルマスは今の嫁さん三人目だっけ~」
 ギャハハと笑うドットとドレイグ。
「お前も二人だろうが」
 何ぃ!ドットも既婚者~!!
 俺なんてあのアンナがやっと見つかった相手だったのに、ギルマスもドットもけしからん。

「ふふーん、結婚しない組の俺、離婚してないから勝ちー」
「俺もー」
 ヴァロとシャートとクレイバーがお互いハイタッチして喜んでる。

「所帯持つ覚悟がねぇ奴は黙ってろ」
 ギルマスが本気の睨みを効かせてる。
 おおっ人生の重みか。

「えー、留守中に男連れ込まれたり、全財産持ち逃げされる覚悟はない~」
「依頼から帰って来たら家と家族奪われてるとか無理!」
「大遠征から戻ったら身に覚えのない子供いるの怖い」

 それ、全部ギルマスとドット??
 って言うか内容があのアンナとの未来に有り得てた気がして涙が出てちょちょぎれる。

「冒険者やってる間は独り身が正解~」
「俺は一生独身でいいよ。オネエチャンが癒してくれる」

 オネエチャンかぁ。オネエチャンねぇ。ピンとこないなぁ。

 ちなみに現在ギルマスはギルドの中堅だった職員と結婚してて、ドットは独身だそうだ。

 優しくて浮気しない、気立てが良くて世話好きで良い女・・・いたら良いねぇ。ん、エンマさん当てはまる!?
 今この場にいる中でボルクさんだけ超ラッキーな男だ。

「俺の嫁も良い女だぞ?」
 ジョズさんがボソリ。
 俺がみんなの話を聞いて微妙な顔してたからか、女は悪いものじゃないって言いたいらしい。

「俺、なんとなく結婚する事になったと思ったらめっちゃ金食い虫でキーキーうるさくて何かめんどくさいなぁと思っててでも仕方ないか~って思ってたらなんか逃げられた(俺が)んだよねー」
 酒が進みすぎてつい本音がポロリ。
 騒がしかった場がシーンっとなって。
 なぜかみんなが凝視してて。

「それは良かったのか?」
「良かったんじゃね?」
「結婚せずに済んで良かったんだよ」 
「相手が逃げてくれて助かったんだよ」
 あれ?俺が逃げられた方になってる??
「良かったな」
 似たような事を体験したはずのギルマスやドットにも憐れまれてる気がする。

 解せぬ。

「結婚決まってたのにまっさらってやっぱお貴族さまだなー」
「マジかよ!貴族ってやっぱ付き合ってる時やれないのか?」
「お前やっぱ貴族じゃん」

 まっさらを他の連中にもバラされた。
 平民の男は早ければ十代前半で幼馴染や近所のお姉さん、十代後半でも仕事先で出会った彼女と早々に致しているらしい。手が早くない!?
 
「俺は貴族じゃない」
「そんな顔でまっさらで貴族じゃねぇって有り得ん。俺が近所のお姉さんなら絶対逃さないぞ」
「俺、ジェイルの顔だったらやりまくる」

 んー!んんーーーー!!!

「全く使わないと病気になるぞ」
「不特定多数とやった方がヤバいわ!!」

 あー!!!
 人のシモの話はいいんだよ!

「愛のない行為なんてムダ撃ちもいいとこだ」
 戻って来たボルクさんが俺を揶揄うランガたちを叩く。
 ボルクさん、良い男だなぁ。

「男は女を求めるもんだろー」
「お前らは女じゃ無くて冒険を選んだんだろうが」
「合間は癒しを求めるんだって」

 うーん。もうその話どうでも良いからもっかいタバコ吸って来て良いっすか。



===================

 一応、キャラクターガイド

 〈小鳥の止まり木〉
 宿マスター・ボルク
 おかみさん・エンマ
 〈新月の雷光〉
 ドット 
 ドレイク 
 クレイバー 
 シャート 
 〈鋼鉄の拳〉
 ランガ
 ヤン
 ヴァロ

 冒険者ギルド ギルマス・ニコルソン
 冒険者ギルド 解体主任・ジョズ
          


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