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モブと茶番
しおりを挟む笑顔で釣書を破り捨てる。
皮張りの、それも台紙には鉄板が芯として入っていたので使者どころか護衛で同席してくれた前世の弟妹までも「ふぁっ!?」とか変な声を出している。
(えええ…お兄ちゃん、STRどのくらいあるの…)
(ばっかやろ。兄貴がオレにやるアイアンクローあんだろ?あれな、めっちゃ痛ぇんだぞ?ぜってぇ か弱ぇ錬金術師の腕力じゃねーよ)
そこ!ヒソヒソしない!
「素敵な焚き付けをありがとうございます。よく燃えそうです」
中の紙以外は燃えないけどね!
素敵なゴミを遼に手渡す。兄の手渡すものはとりあえず何であろうと受け取る。うん、いい教育したね。
「御用はお済みでしょうか?」
釣書持ってきた使者が痙攣するように震えているが知ったことか。
釣書。そう、釣書。要はお見合いの身上書。ルクレツィアに、だ。
まあそれはいいだろう。うちの娘だってお年頃だ。いや、貴族の令嬢としては、婚約者もおらず結婚もしてない17歳と言ったら行き遅れの部類だ。
だがこれは無い。
使者がドヤ顔で持ってきていたのは『カガン皇国第二皇子の釣書』だった。
しかもテオが俺と一緒にいない時を見計らって、自衛団詰め所の方に。めっちゃ上から目線で。嫌味のオンパレードで。
俺さ、もしかして舐められてる?うん、舐められてるね。
こんな茶番に付き合わされるなんてね?
「我が娘ルクレツィアは神竜カムイさまの妃となる予定ですが、カガン皇国ではその話はお聞きになっていない?……はぁ…。あ、いいえ、国外ですからね?しかも、半年前にセルビアに便乗して攻め込んできた隣国ですからね?お知りにならないのも無理はありません。ですが、その事が無くとも先程、使者殿が仰ったように『竜などという獣の手の付いた』『伯爵家の末席の』、しかも『平民の愛人が産んだ娘』が、『カガンのような大国の皇子』に嫁ぐなど。『光栄に思い』ますが、ええ、いや、とてもとても。我が夫も『呪われて』おりますし、私も男でありながら男に嫁ぐような『特殊な親』でございますので」
嫌味を嫌味で返すニコニコ顔の俺を、真っ青な顔色をした使者が見つめる。
可哀想にな。お前、生贄の羊だよ。
でもルクレツィアとテオを悪く言ったのは許さん帰って首でもなんでも切られろ物理じゃないといいな!(ワンブレス)
「お断りいたします」
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