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モブと宴2
しおりを挟む「あとな、兄貴。兄貴に会いたいって言うから連れてきたんだけど…」
そう。赤竜は俺の弟妹たちと、もう1人。知らない青年を運んできた。
仕立ての良い黒い服と、黒髪。それから、テオやルクレツィアと暮らしてるから綺麗なものに慣れた俺でも、溜息吐きそうな綺麗な顔。でも……あれ………?
どっかで、会った…?
「はじめまして、おにーさん。ハンバーグ食べにきました」
にっこり笑った。うん。この図々しさ。まごうことなき遼の友達だ。
「えーと、冒険者のカズマ。前に言ってた転生者の因子集める会の…一応、上司。カズマ、コレ、オレの兄貴。今の名前はオズワルド」
「オズワルド・ヴァッサロです。この国の大公の、男の嫁やってます」
「カズマです。冒険者やってます」
軽く握手する。うん、遼の友達兼上司はいい人そうだ。所作も綺麗だから貴族かな?
《まったく……我の繊細な心臓が破裂する。もう黒獅子殿は乗せんぞ?!アジ・ダハーカ様に殺される!》
「まあまあ。元はというと、アイツが勝手に子供欲しいとか言って産休入ったのが悪いんだし?俺がちゃんと言っとくよ朱の」
色々事情があるらしい。面倒だから訊かないけど。
赤竜の持ってきた肉は、体量の鹿だった。
鹿肉じゃない、鹿、だ。ウワア生々しい…。
《我がコレをそのまま丸齧りすると思ったらしい。頭からバリバリ系はもう卒業だというに…》
ああー…、俺が最近ちょこちょこっと餌付けしてるからね。成竜は幼竜のカムイほど食わないから、余った時はついでにお裾分けしていっかなーとか思って…。
カズマさんと遼が、料理人軍団に混じって解体を始める。遥はルクレツィアとキャッキャ言いながら小麦粉練ってるから、ナンでも作るのか。だが妹よ。今日はカレーはないぞ?
巨大鉄板に火が入れられ、俺がその上に鍋を置く。
砂糖どかー。醤油だばー。名前知らない酒どぽっ。ブイヨンどぱー。混ぜて混ぜて、火の弱いとこで放置。
真っ黒い液体に転生者以外はドン引き。カムイなんか尻尾を股に挟んでる。
「美味しいから。大丈夫だから」
多分ね?
「あー、でも醤油、こっちじゃ貴重品だろ?大事に使おう…」
鹿の枝肉を錬金術で粗みじんにしながら遼に言う。
「ショウユ、オレのインベントリに樽で持ってきたぜ?後から出しとく。だからケチらず美味いの作れ?」
「………!!素晴らしい!遼くん、お兄ちゃんは今、お前を撫で回したいくらい感動している」
「やめろクソ兄貴」
「お兄ちゃん、遥も褒めて?遥も色々いっぱい持ってきた」
「えらい!遥も偉いぞ!」
遼と遥を撫で回しておく。
なあ遥よ。遼はともかく、何故お前まで俺より背が高いんだ?
解せぬ…。
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