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【国王視点】
しおりを挟む執務室に泥だらけの息子が転がり込んできた。
「父上!あれは何ですか!?ロゼマリアが、ロゼマリアが…っ!?」
「なに、とは?」
書類から目を離さずに聞き返す。
「あれでは別人ではないですか!?しかもあの叔父上付きの凶暴な侍従を護衛に付けたのですか!?あ、あ、あ、あいつを捕まえてください!牢に入れて、鞭打ちを……!」
「ルドルフ?」
ビクリと息子の体が竦み上がった。
「わかっているだろう?あれとロゼマリアには王位継承権がある。あの『獅子の瞳』がその証拠だ」
「………っ!?しょっ…庶子と公爵家の娘ではありませんか!王位継承権を持つのは王族だけでしょう!?」
「誰がそう言った?」
「え……」
「ロゼマリアとお前の婚約の時、私は言っただろう?『獅子の瞳』を持たぬお前は王太子にはなれても王にはなれぬ。私だけではない、他家の支持も得られぬ。ロゼマリアに『獅子の瞳』の王子を産ませれば、中継ぎの王にはなれるだろう、と」
「~~~っでは!では何故私とロゼマリアを引き離すような真似をなさいます!?あの護衛に『ロゼマリアに近付けさせるな』と仰ったのは父上でしょう!婚約者の傍に寄れぬとは、一体どういう……」
「要らぬのだろう?」
「え…」
「新しく就任した影たちは優秀でな?お前の愚痴も一言一句漏らさず報告してくれる。ああ、勿論あの阿婆擦れと何を話して何をしていたかも。ロゼマリアは『陰気で陰険な醜女』なのだろう?醜い芋虫が美しい蝶に羽化して手のひらを返すとは……恥を知れ」
「ちち…うえ……」
「心配するな。今、お前とロゼマリアをどうするか検討している。なにもお前でなくとも、ロゼマリアには気立が良く家柄の良い夫を探してやる故、お前は好きにしなさい」
「……私でなくとも…?ロゼマリアに…夫を……探す?まさか、まさか父上……」
「下がりなさい、執務の邪魔だ」
「父上!お待ちください父上!!嫌です!ロゼマリアは私のものです!!私はロゼマリアと結婚して王になるのです!!婚約を白紙に戻すようなことはやめてください!!父上!父上ー!!」
衛兵たちが息子を引き摺って退室する。
……はあ。少し調べればロゼマリアはもうお前の婚約者でないことはわかるだろうに。自分の見たいものしか見ない、知りたくないというのは王妃の血だろうが、あれの父親も王妃も、ここまでは頭が悪くなかったと記憶しているが……。
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