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【悪役令嬢との茶会】後編
しおりを挟む『結婚式』の午後。僕とE嬢は喫茶室の個室でランチを取りながら取材をした。某高級喫茶室はE嬢が経営する店だ。
そう、E嬢個人の経営する喫茶室。
僕はまだこの令嬢を侮っていた。この喫茶室はE嬢の父親のものだと思っていた。けれど取材延期の申し込みの際、E嬢の父親は笑った。
「アレの経営する最高級の喫茶室を見に行ってくると良い。私は娘の道楽にはあれこれ言わないようにしているのだ。もちろん小遣い以外の資金も出していない。なのに王都随一の高級喫茶。ははは…よく味わってくると良い」
E嬢が個人資産として連鎖店の喫茶を持っているのは知っていた。だがそれが……『道楽』!?その『道楽』喫茶室でランチを頂いたが、食べている間は取材にならなかった、とだけ言っておこう…。
さてこのコラムを読んでくれている大半が気になっているだろう『結婚式』だが……なんというか、控えめに言ってE嬢は女神のような美しさだった。神殿内の様子は取材不可……というか、貴族以外は入れなかったので僕の憶測でしかない。だがE嬢は輝いていた。ゆらゆらと色を変える幻想的な紺碧のドレスに歪んだ真珠を散りばめた髪。そこに女神が降り立ったような錯覚をした。彼女とエスコート役の護衛が進めば人波が割れ、花嫁のための花束を持った幼子が彼女を女神と呼んで花束を渡した。
E嬢は、とても婚約者を掠奪された少女には見えない。悲哀の色が全く見えないのだ。
『婚約者を奪われて悔しくないのか?』と聞いた僕にE嬢はこう語った。
「不思議と悔しくはないのです。なんというか…幼馴染が遠い人になってしまったような『寂しさ』でしょうか。そう思うと、彼もわたくしも、婚約者同士であっても恋人同士ではなかったのでしょうね」
E嬢は微笑んだ。いや、微笑むしかない。そう育てられたんだろう。
彼女が育った環境。詳しくはいえないが、彼女は特殊な環境下で育った。怒り、妬み、嫉みといった女性が必ず持ち得る感情。それを削ぎ落としたのは『婚約者』の両親と周りの大人たちだ。
『今日の花嫁はどうでしたか?』
「素敵でしたね!幸せそうな笑顔で……あ、でも、あの、その……お、おみ足、が……ですね?同性ながらどこを見て良いか………あっ、いえ、綺麗なおみ足は芸術ですが、その…… 見せていいんでしょうか?わたくし流行りに疎くて…」
いやあれはない。遠目から見てすぐに引っ込んでしまったが、非常に斬新なドレスだった。あれは場末の娼婦も恥じらう格好だ。平民や下級貴族のために、「あの花嫁は特殊ですよ」と教えておいた。今の王都の流行は全て貴方がらみだというのを気付いていないのか。服飾デザイナーのマダムSやこの喫茶室。貴女を『悪役令嬢』に仕立てた小説家ベリンダ・オールディス女史は、今はE嬢がモデルの主人公で学園恋愛小説を連載中だ。
来月、E嬢は婚約者と結婚する。第二夫人になるのだ。
『来月、また取材をお願いしても?』
「ええ、父も貴方の記事は面白い、と言っております。ぜひまたお会いしましょう」
記事 ーーー モーリス・オブライエン
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E嬢とC嬢がごちゃごちゃになってました…。ご指摘ありがとうございます!セルフ校正、だいじ…
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