【異世界大量転生4】役に立たない淫売聖女(♂)は極寒の地に追放されました。※なお、英雄王弟は即追いかけて行った模様です。

とうや

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楽園と崩壊と

56 ノア・ヴォルテッラが笑う(クリストファー視点)

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……………私は、一体どうしてしまったのだろう。

ここ数日、記憶に靄がかかったようだ。何かをしなくてはならないのだが、それすらも朧げだ。

ペトレルラ公爵邸が燃え落ちたらしい。

使用人らしき者たちは居らず、ペトレルラ公爵と思しき遺体が書斎のあった場所で見つかった。


ドロシーは ーーー 私の婚約者は行方不明だ。


現場に駆けつけようとしても、この城から出てはならぬと陛下からのご命令だ。一体、何が起こっているのだ。





ここ数日、夢にノア・ヴォルテッラが出てくる。

恨み言も言わない。私を嘲る事もない。ただ、幸せそうに微笑んでいる。傍らにはあの男が ーーー アレクシスが居た。

ノア・ヴォルテッラが笑う。

抱き締められて、嬉しそうに。くちづけられて、頬を染めて。

エスコートなどと呼べない、気品の欠片もなく。幼子のように手を繋いで、幸せそうに。


ああ…、お前は、本当は…。そんなふうに、笑う、のか。


学園でのお前は、寂しそうに俯いて。何を言われても、小首を傾げて。

それが男を誘うのだと、一体誰が言ったのか。もう覚えていない。

ノア・ヴォルテッラが笑う。

その先にいるのは私ではない。

お前が意地を張らずに私の元に来ていれば良かったのだ。

ああ、そうか。お前はドロシーにしていたのか?私は男色家ではないから応えてやることは出来ないが、どうしてもと言うなら傍に置いてやっても良かった。

《聖女》としての能力も何故隠した。あのように素晴らしい能力があるのなら、使世界をもこの手に出来ただろう。

ノア・ヴォルテッラが笑う。幸せそうに。

その先にいるのは ーーー アレクシス・ヴォルテッラ。

蕩けるように笑って、ノア・ヴォルテッラを抱き締める。

何故なんだ。何もかも捨てた男が、何故そんなふうに笑っている!?



いいや違う。捨てられたんじゃない。










…………なんだったか。


ああ、そうだ。ドロシー。ドロシーを探さねば。

教会へ。

……教会へ、行って……何を…する………んだった、か。

教会で…。確かめる、んだ。










私は、 ーーー 間違ってなんかない。












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