【異世界大量転生4】役に立たない淫売聖女(♂)は極寒の地に追放されました。※なお、英雄王弟は即追いかけて行った模様です。

とうや

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霊峰オデッサにて

41 最後の挨拶(アレクシス視点)

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シン…と場が鎮まり帰っている。濃厚な血の臭い。また話をな…と俺は呆れた。

半分は真実だ。だが半分はでたらめだ。

このセツナというバケモノは、異世界で行方不明になったノアを必死で探していたわけでもなく、見つけたから連れて帰ろうか…と言った具合らしいのに。

猫が獲物を甚振いたぶるように。セツナにとって、彼らは玩具なのだ。


……はあ。早く帰ってノアで癒されたい。


そのためにも、俺はこのクリストファーバカにやり返してスッキリしなくてはならない。


「クリストファー」


びくりと甥の体が跳ねた。


「馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、お前…本当に馬鹿だったんだな?」

「………!!叔父上…!!」

「まあ、お前がノアをくれたおかげで俺はノアを手に入れた。ありがとう、クリストファー」


お前のものじゃなかったけどな!こう言ったほうがこの馬鹿には効くだろう。


「あっ…あのような、淫売に、騙され……」

「あ、それだけどな?ノアは処女で童貞だぞ?」

「…………は…?な、に…を……」

「俺が護衛を四六時中貼り付けてるのに手を出せる馬鹿はらんだろう。あの子は正真正銘の純潔だ。手を握るだけで耳まで真っ赤になる子猫ちゃんだぞ?」


バカの目が見開かれる。


「純潔の ーーー 再生と豊穣の奇跡を持つ、美しい聖女。お前たちはとんでもない宝物を手放したわけだ。大体な、お前、ちゃんと調べてもないだろう?噂の出所は何処なのか。なにが真実なのか。実際にノアと寝たって言った男は本当に居たのか?自分の信頼している所に調べさせたか?あのペトレルラの女狐に騙されやがってなっさけねぇ」

「ドロシーを悪く言わないでください!!」

「悪く?真実だろ?ああ、もう会うこともないだろうけど、最後に良いこと教えてやるよ。?教会行って確かめたほうがいいぞ?……じゃーな、甥っ子殿」


セツナが俺を見て「スッキリした?」と聞いてきた。






うん、スッキリした。






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