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【服飾師ソワヨ視点】 2
しおりを挟むお断りした縁談は王命になって帰ってきた。畜生。顔合わせの際にはにこやかだった糞王太子が、帰り際に小さく舌打ちしたのをわたくしは聞き逃さなかった。
王家の再教育は無駄だったらしい。
よろしい、ならば戦争だ。わたくしは王太子に薬を盛った。もちろん合法のもので、王妃様公認である。「わたくし、不安で…」と涙ながらに訴えると、脳内お花畑王妃様は『ちょっと素直になるお薬』を入手してくださった。通常ならそれは媚薬と呼ばれるものだろう。わたくしは手が滑って5倍の量を盛った。もはや自白剤だ。王妃様は『うちの子に限って』と思っていたのだろう。気持ちはわかる。犬も猫もバカほど可愛いのだ。ただし王太子、お前はダメだ。
かくしてわたくしは、国王陛下の誕生パーティーという各同盟国首脳の集まる場所で無事に婚約破棄された。『行き遅れのくせに』『侯爵家4女など平民も同然だろう』『女のくせに商売をするなど卑しい』『お前の商会を貰ってやる』『結婚しても仕事は続けて私に貢げ』『年増の割には良い体をしているから性奴隷にならしてやる』
『嫌なら婚約破棄だ』
ええ、わたくし泣き崩れました。嘘泣きですが。陛下の誕生パーティーは大混乱。わたくしは家に帰されましたがそのまま出奔いたしました。作っていた平民風旅装束に着替え、大切なものだけを抱えて。女性だけで構成された冒険者パーティーに護衛をしていただき、アレスゲーテ公国に転がり込んだのです。
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