悪役令嬢の末路

IF：もう一つの話『懐かしき日々は時間とともに進みはじめる』

　「願いを、叶えてくれますか？」
　「……いいわ。けれど、私の魔法は時に時間も時空も捻じ曲げるの。願いを叶える代わりに、相応の対価を払ってもらうことになるけれど、本当にいいの？」
　「ええ。承知しています」
　「わかりました。あなたの願いを叶えましょう。さぁ、願いを述べて」

　「私の願いは…×××××××××」

　瞬間、ベラドンナの持つ水晶にヒビが入り、砕けた。





　気がつくとアイラは黄金色の麦畑の中に一人ぽつんと立っていた。

　あれ？私は一体何をしてたのかしら…？
　
　「…やっと。やっとだ」

　声の先には、ローディーが立っていた。
　なんだか、懐かしいような気がする。
　私、何してたんだっけ…？

　「遅くなってごめんなさい？」
　「なんで疑問形なんだ？」
　「なんとなくよ」
　「なんだそれ」

　そう言って、ローディーは笑った。
　私も、嬉しくて笑った。

　「行こうか」
　「ええ」

　ローディーに手を引かれ、私たちは麦畑の中を歩いて行く。

　その姿はだんだん小さくなり、遂には麦畑の中に消えていった。