悪役令嬢の末路

ラプラス

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灰色の顛末

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 「次が最後だよ、準備はいい?」
 「はい!」
 「行くよ」
 死神のあとをついて、時空の渦に飲み込まれていった。


 「あの子だね」

 死神が止まった。
 私も後ろから覗くと、小さい女の子が明かりもない小さな部屋で1人、人形ごっこをして遊んでいた。

 「この子は誰?死神さん」
 「見てわからない?君のお母さんだよ」
 「え…」
 「レディ・ローズ。魔術師を多く輩出している家門に生まれるが、高すぎる魔力をコントロールできず、魔力減退魔法のかかった部屋に軟禁されていたんだ。そこにーー」

 「ローズ!やっと見つけた」

 どこからともなく女の人がやって来て、お母さんを抱えていってしまった。

 「あの人は?」
 「アイシアナ・シュラバス・スコッティング・アリセラ・モゼット。君のおばあさんだよ」
 「私のおばあさま?」
 「そう。レディ・ローズは元々、時の魔女ベラドンナのお膝元、嘆きの森でアイシアナが育てるはずだったんだけど、アイシアナの夫がレディ・ローズを隠してしまったんだ。今は2人が再会したところ。少し時を送ってみよう」

 すると、次は森に移動した。

 「今あの2人は、本来あるべき姿に戻ろうとしている。そして、長い年月が経ち、すっかり大人の女性に成長したレディ・ローズは恋に落ちる。夢で出会った王子様にね」
 「王子様?パパではないの?」
 「うんや、君のパパとやらだよ。この頃レディ・ローズは君のお父さんにゾッコンで、自分だけの王子様だと思っていたからね。そして、2人は結婚。君という愛の結晶をもうけ、幸せに暮らした。そしてーー」
 「事故にあった」
 「そう。馬車に轢かれそうになった平民の男の子を助けて亡くなったんだ」
 「言葉にすると、なんて短い人生…。それでも、とても美しく、情熱的な人生を歩んだのね、私のお母さまは」
 「ああそうさ、シュトワネーゼ公爵夫人。これからあなたはどう生きる?君は複数人の人生を見てきたけど、どうだった?自分の生き方に後悔している人はいたかい?」

 「私は…」

 刹那、ひだまりのような温かい光が、さしてきた。

 「残念。時間が来てしまったようだ。さあ、今のうちに行くといい、君を呼んでいる人たちの元へ」
 「でも、どうやって帰ったらいいの?」
 「簡単さ、ただ望めばいい。大丈夫。君は正しい道を切り拓いていけるよ」

 あの人もとへ、カイル様の元へ、私を返して!
 そう願うと、体に羽が生えたのように身体が宙を浮きはじめた。
 死神を振り返ると、手を振っている。

 「ありがとう!さようなら!」

 そう言って、私は時空の切れ間を抜けて、闇へと進んでいった。
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