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探し人【1】
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そういえば…と、アイラは夢の内容を思い返していた。夢だと言うのに、なんだか現実味があり過ぎて怖いのだ。私はその光景を、上からとか、少し離れたところではなくアイラという女性の中で見ていた気がする。
それにしても、ローディー・シュトワネーゼって…この家の家系の人なのかな?実在する人なのだろうか。
もし本当に実在するのなら、あのあとどうなったのか、知りたいと思う。夢の終わりに、アイラという女性は、木にもたれて目を瞑っていた。
「ごめんなさい」って、どういう意味だったんだろう。
夢でだけど、同じ一時を過ごしたんだ。関係なくはないよね。
…でも、誰に聞こう?
**********
「今日はお菓子作りのお誘い、ありがとうございました!私、とっても嬉しかったですわ」
リリシア様は嬉しそうにエプロンを身につけた。
「こっちこそ、いきなり誘ってごめんなさい。予定とか、大丈夫でした?」
「全く問題ありませんわ!」
(全力で予定消化しました!)
「よかった。それに、今日は聞きたいことがあって…」
「まぁ。なんですの?」
「あの。ローディー・シュトワネーゼって言う人を知っていたら、教えて欲しいの」
「知ってるも何も!カイルの祖父ですわ」
「え?」
「私でしたら、大叔父さんの関係になるのかしら。私の祖母はローディー大叔父さまの妹なのです」
「わぁ…。話がややこしくてついていけない」
「まぁ。そうですわよね。立場的にカイルの方が本家で、私は分家になるんですの。祖父の話に戻りますが、彼は公爵家の三男で、公爵の後継者争いを辞退して、辺境にあるソンニと言う村の治安維持に勤めていたそうですわ。その後彼は、妻を娶り、男の子1人を設け、先の戦争で亡くなったと聞いています。…公爵家の図書館になら、家の歴史として、資料が残されているかもしれません。これぐらいしかお役に立てなくて、すみません」
「ううん。ありがとう。とても役に立ったわ」
***********
屋敷に帰って、彼について図書館で調べてみた。
ローディー・シュトワネーゼ
シュトワネーゼ家の領地の一つ、辺境の地ソンニで生まれる。妾の子というだけで、他の兄弟から疎まれていた。7歳までをソンニで過ごし、8歳から母と王都にあるシュトワネーゼ家の屋敷で武術や学問を学ぶ。
9歳のとき、母が亡くなる。父は体調を崩し、次期公爵を決めるよう指示する。が、兄達に妨害され、軍に入れられる。軍では、馬術、剣術、リーダーシップや協調性など、様々なことを学んだ。15歳で初めて出陣した戦場の最前線で戦う。17歳で軍を退役する。すでに公爵となった兄に、ソンニの治安維持を名目に厄介払いされる。
19歳の夏、村の巡回中、不思議な娘に出会う。彼女はアイラと名乗り、暫くの間行動を共にしたが、村の豊穣を祝う祭りが何らかの集団に襲撃された際に別れたまま、姿が見えなくなった。
そのまま月日は経ち、彼は兄が用意した女性と政略結婚し、一人の男児を設けた。それからは、ソンニで畑を耕しながら生活していたが、開戦により男達は集められ、ローディーも例外なく戦地へ赴いた。そして、そのまま戦場で命を落とした。
夢は現実にあったことだった…。
でも、どうしていきなりこんな夢を見るようになったのだろう。
私が生まれるずっと前の話。
私が知る由も無い昔の話。
彼が誰かはわかったけれど、彼女は一体何者なのかわからない。
あなたは、誰?
それにしても、ローディー・シュトワネーゼって…この家の家系の人なのかな?実在する人なのだろうか。
もし本当に実在するのなら、あのあとどうなったのか、知りたいと思う。夢の終わりに、アイラという女性は、木にもたれて目を瞑っていた。
「ごめんなさい」って、どういう意味だったんだろう。
夢でだけど、同じ一時を過ごしたんだ。関係なくはないよね。
…でも、誰に聞こう?
**********
「今日はお菓子作りのお誘い、ありがとうございました!私、とっても嬉しかったですわ」
リリシア様は嬉しそうにエプロンを身につけた。
「こっちこそ、いきなり誘ってごめんなさい。予定とか、大丈夫でした?」
「全く問題ありませんわ!」
(全力で予定消化しました!)
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「まぁ。なんですの?」
「あの。ローディー・シュトワネーゼって言う人を知っていたら、教えて欲しいの」
「知ってるも何も!カイルの祖父ですわ」
「え?」
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「わぁ…。話がややこしくてついていけない」
「まぁ。そうですわよね。立場的にカイルの方が本家で、私は分家になるんですの。祖父の話に戻りますが、彼は公爵家の三男で、公爵の後継者争いを辞退して、辺境にあるソンニと言う村の治安維持に勤めていたそうですわ。その後彼は、妻を娶り、男の子1人を設け、先の戦争で亡くなったと聞いています。…公爵家の図書館になら、家の歴史として、資料が残されているかもしれません。これぐらいしかお役に立てなくて、すみません」
「ううん。ありがとう。とても役に立ったわ」
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屋敷に帰って、彼について図書館で調べてみた。
ローディー・シュトワネーゼ
シュトワネーゼ家の領地の一つ、辺境の地ソンニで生まれる。妾の子というだけで、他の兄弟から疎まれていた。7歳までをソンニで過ごし、8歳から母と王都にあるシュトワネーゼ家の屋敷で武術や学問を学ぶ。
9歳のとき、母が亡くなる。父は体調を崩し、次期公爵を決めるよう指示する。が、兄達に妨害され、軍に入れられる。軍では、馬術、剣術、リーダーシップや協調性など、様々なことを学んだ。15歳で初めて出陣した戦場の最前線で戦う。17歳で軍を退役する。すでに公爵となった兄に、ソンニの治安維持を名目に厄介払いされる。
19歳の夏、村の巡回中、不思議な娘に出会う。彼女はアイラと名乗り、暫くの間行動を共にしたが、村の豊穣を祝う祭りが何らかの集団に襲撃された際に別れたまま、姿が見えなくなった。
そのまま月日は経ち、彼は兄が用意した女性と政略結婚し、一人の男児を設けた。それからは、ソンニで畑を耕しながら生活していたが、開戦により男達は集められ、ローディーも例外なく戦地へ赴いた。そして、そのまま戦場で命を落とした。
夢は現実にあったことだった…。
でも、どうしていきなりこんな夢を見るようになったのだろう。
私が生まれるずっと前の話。
私が知る由も無い昔の話。
彼が誰かはわかったけれど、彼女は一体何者なのかわからない。
あなたは、誰?
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