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第1章*とんでもない専属メイド初日
11・蛇+ヤンデレ変態魔法使い=最凶
しおりを挟む本来『MLR』でのアステロッドルートでは、こうだ。
身体でのし上がろうとする主人公の企みに気づいたアステロッドが、協力を申し出てくる。
真意が読めないまま二人は共犯となるが、主人公は次第にアステロッドに惹かれていく。
そんなことより問題なのが。
所狭しと仕掛けられた、必要以上のバッドエンド行きのフラグフラグフラグ!
選択肢ひとつ間違えるだけで、即バッド行きの問題キャラ。それがアステロッドだ。
(私は忘れない)
蛇と一緒に部屋へ監禁された挙句に、アステロッドに犯され続けるという最悪なバッドエンドを。
****
(ひええええええええ)
蛇なんか大嫌いだ。
だけどそれよりも、こんなことをしてくるアステロッドはもっと嫌いだ。
前世の知識があろうとなかろうと、それだけは変わらない。
「ねえ、どこまでされた?」
アステロッドの細い指が、ルーナの頬を撫でる。
ルーナの背にぞわりと寒気が走った。
(触るな触るな触るな!!)
「どこまでも何も……何もされていないわ!!」
そんなの嘘だ。
だが、アステロッドに本当のことを言う義理がどこにあるだろう。
王子に触れられた感触は、今もまだルーナの肌に残っている。
前世を思い出していなかったら、きっと彼のことを嫌えていた。
だけど、思い出してしまったから。
あんなことをされたというのに、ルーナは王子のことを嫌えないまま。
かといって、好きだとも思えないが。
「嘘つき」
「な……」
見てもいないくせにアステロッドが断言する。
はっきりと言われて、ルーナは言葉に詰まってしまった。
「俺に嘘をつくの?」
きゅっ、と。
両手首と両足首に巻きついた蛇が、さらに強く巻きついてくる。
(やだやだやだ、蛇無理蛇無理!!)
どうにか意識を逸らそうと頑張ってみたが、限界だ。
無理だ。無理無理。
恐怖で足が震える。
「俺に嘘をつく悪い子には、お仕置きしないとね?」
「……っ!?」
アステロッドは底知れぬ笑みを浮かべると、さらに一歩ルーナに近づいた。
アステロッドの靴が温室のれんがだたみを叩く。靴音がやけにルーナの耳につく。
距離がなくなるほどアステロッドが近づいてきて、ルーナは思わず顔を歪めた。
「来ないでよ! 離れて!!」
原作ゲームなんて知ったことか。
いじめっ子なんて嫌いだ。
ルーナは唯一自由な声で抵抗を試みる。
「それは無理な相談だね、ルーナ」
アステロッドは言いながら、ルーナの顎を無理やり掴んだ。
強引に視線を合わせられる。
「や……っ」
本当は、両手を振り回してアステロッドを突き飛ばしたい。
だけど、巻き付く蛇のせいで体が全く動かない。
ルーナは悔しくて、アステロッドをきつく睨みあげる。
だが逆効果だったようで、アステロッドは嬉しそうに恍惚とした笑みを浮かべた。
「いい目だ。その憎しみのこもった君の瞳、そそられるよ」
(……っ)
ぞわり。
こいつ変態だ。
紛うことなき変態だ。
「まあ、君が王子にどこまでされていようが俺には関係ない。俺がルーナを愛していればそれでいい」
「……っンン!!」
アステロッドはルーナの唇に、自身のそれを押し付けた。
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