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近衛騎士団長は団員達と共に、王宮の広場前でカーミラに操られた民衆達を相手に奮闘を続けていた。
国王リヒャルトからの命により、殺傷を禁じられたので全員が徒手空拳である。それでも素人の集団に遅れを取るようなことはなかった。
『ウオォォォッ!』
その時、王宮の奥の方からなにやら声が響いて来た。
「なんだ!? 一体誰の声だ!?」
すると間も無く、広場前にとある集団が辿り着いた。
「お、お前達は...」
それは昏睡状態にあった近衛騎士団の団員達だった。全員漏れなく目が虚ろで明らかに正気じゃない。
『ウオォォォッ!』
彼らは雄叫びを上げながら襲い掛かって来た。素人の民衆達と違い、こちらはカーミラに操られてるとはいえ、鍛え上げられたプロの兵士達だ。
「くっ! 仕方ない! 全員剣を抜け!」
近衛騎士団長はやむなくそう指示を下した。
◇◇◇
その頃、王都の町中をポチの背に跨がってひた走るアマンダは、ある異変に気が付いていた。
普段なら沢山の都民でごった返すメインストリートがやけに閑散としている。そうは言っても、普段よりは少ないというだけで、そこそこの人出があることはあるのだが、なぜか全員漏れなく同じ方向を向いて歩いている。
そしてこれまた全員漏れなく目が虚ろだ。足取りもフラフラとしていて覚束無い。
「これは!? もしかしたら、魅了に耐性のない人達が影響を受けている!?」
そう呟いた後、これはマズい事態になったなと口唇を噛み締めたアマンダは、
「ポチ! 急いで!」
「ウォンッ!」
人混みを掻き分けるようにして先を急いだ。
◇◇◇
その少し前、先に大聖堂の大鐘楼へと辿り着いたミランダは、
「カーミラァァッ! 見ぃ~付けたぁ~!」
大鐘楼の天辺に昇って魔力を放出し続けるカーミラの姿を視界に捉えた。
「来たわね! ミランダ!」
カーミラは魔力を放出するのを止め、ミランダと対峙...することはなかった。コウモリのような翼をはためかせて一目散に逃げ出した。
「ぬなぁっ!? ま、待てこの! ま、待ちなさ~い!」
いきなり逃げ出すとは思っていなかったミランダは、完全に機先を制せられた。慌てて後を追う。
「ウッフフフッ♪ 捕まえてご覧なさ~い♪」
カーミラは余裕綽々といった感じで低空飛行に移行した。王都の町中を人混みを縫うようにして逃げ回る。
「こ、このぉ~! チョコマカとぉ~!」
人混みが邪魔してカーミラの姿を捕捉し切れない。まさか大出力の魔法を王都のど真ん中でぶっ放す訳にもいかず、ミランダはイライラしながらカーミラの後を追った。
国王リヒャルトからの命により、殺傷を禁じられたので全員が徒手空拳である。それでも素人の集団に遅れを取るようなことはなかった。
『ウオォォォッ!』
その時、王宮の奥の方からなにやら声が響いて来た。
「なんだ!? 一体誰の声だ!?」
すると間も無く、広場前にとある集団が辿り着いた。
「お、お前達は...」
それは昏睡状態にあった近衛騎士団の団員達だった。全員漏れなく目が虚ろで明らかに正気じゃない。
『ウオォォォッ!』
彼らは雄叫びを上げながら襲い掛かって来た。素人の民衆達と違い、こちらはカーミラに操られてるとはいえ、鍛え上げられたプロの兵士達だ。
「くっ! 仕方ない! 全員剣を抜け!」
近衛騎士団長はやむなくそう指示を下した。
◇◇◇
その頃、王都の町中をポチの背に跨がってひた走るアマンダは、ある異変に気が付いていた。
普段なら沢山の都民でごった返すメインストリートがやけに閑散としている。そうは言っても、普段よりは少ないというだけで、そこそこの人出があることはあるのだが、なぜか全員漏れなく同じ方向を向いて歩いている。
そしてこれまた全員漏れなく目が虚ろだ。足取りもフラフラとしていて覚束無い。
「これは!? もしかしたら、魅了に耐性のない人達が影響を受けている!?」
そう呟いた後、これはマズい事態になったなと口唇を噛み締めたアマンダは、
「ポチ! 急いで!」
「ウォンッ!」
人混みを掻き分けるようにして先を急いだ。
◇◇◇
その少し前、先に大聖堂の大鐘楼へと辿り着いたミランダは、
「カーミラァァッ! 見ぃ~付けたぁ~!」
大鐘楼の天辺に昇って魔力を放出し続けるカーミラの姿を視界に捉えた。
「来たわね! ミランダ!」
カーミラは魔力を放出するのを止め、ミランダと対峙...することはなかった。コウモリのような翼をはためかせて一目散に逃げ出した。
「ぬなぁっ!? ま、待てこの! ま、待ちなさ~い!」
いきなり逃げ出すとは思っていなかったミランダは、完全に機先を制せられた。慌てて後を追う。
「ウッフフフッ♪ 捕まえてご覧なさ~い♪」
カーミラは余裕綽々といった感じで低空飛行に移行した。王都の町中を人混みを縫うようにして逃げ回る。
「こ、このぉ~! チョコマカとぉ~!」
人混みが邪魔してカーミラの姿を捕捉し切れない。まさか大出力の魔法を王都のど真ん中でぶっ放す訳にもいかず、ミランダはイライラしながらカーミラの後を追った。
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