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「くっ!」
一方その頃、ずっとクラウドの相手をし続けているマリウスは、体力的にそろそろ限界を迎えようとしていた。
だがこれは、大健闘した部類だと言って良いだろう。カーミラに操られた状態であるとはいえ、あの一騎当千を誇るクラウドが相手なのだから。
北の砦で鍛え直された経験は、伊達じゃなかったということの証明とも言えよう。だがしかし、まだまだ付け焼き刃のような状態の今のマリウスでは、これ以上クラウドを抑え込むのは難しそうだった。
「マリウス殿下! 加勢します!」
するとそこに、大貴族のお歴々の一人が剣を抜いてマリウスの援護に回った。
「済まん! 頼む!」
その隙にマリウスは、ちょっとだけ息を整えることが出来た。
「マリウス殿下! 少しお休みください!」
「我々がクラウド殿下のお相手を努めますので!」
更に大貴族のお歴々が続々と剣を抜いて参戦を表明した。
「卿ら、ありがとう! 恩に着る!」
マリウスはクラウドの相手を大貴族のお歴々に任せ、改めて王宮の広場前を俯瞰した。
手前側では集まった民衆の内、様子がおかしくなった者達を必死に抑え込もうとする近衛騎士団の団員達の姿が確認できた。
王宮の奥側では、昏睡状態から覚めたらしい団員達を、近衛騎士団長率いる団員達がやはり必死になって抑え込もうとしている。
王宮の広場前は修羅場のような状況を呈していた。唯一の救いはマリウスとクラウドの父親である、国王リヒャルトの姿がここに無いということぐらいか。恐らくは、王宮の奥の方に避難したのだろう。
「ミランダ...頼む...早くしてくれ...」
マリウスは初めて弱音を吐いた。
◇◇◇
「カーミラァ~! 待てぇ~! 逃げんなぁ~!」
そのミランダとカーミラの追い掛けっこはまだ続いていた。なにせチョコマカと、人垣の間を縫うようにしてカーミラが逃げ回るものだから、ミランダとしても手の打ちようが無い。
オマケにカーミラは、恐らくわざと人混みの多い場所を選んでそこを逃走ルートにしているので、人垣が途切れることはほとんど無かった。
「うがぁ~! あぁもう~! イライラするぅ~!」
ミランダのストレスは頂点に達しようとしていた。
「ミランダァ~!」
その時、ポチに乗ったアマンダが追い付いて来た。
「えっ!? ママ!?」
いきなり登場したアマンダに面食らったミランダだったが、
「ごめんね~! ごめんね~! ごめんねぇ~!」
ポイポイと人垣を蹴散らしながらやって来るアマンダとポチの姿に対しては、
「ちょ! ちょっとママ! そ、そんな乱暴な!」
さすがに苦言を呈した。
「大丈夫よ! ポチには優しく蹴散らしなさいって言いくるめてあるから! それでも怪我をした人には後でちゃんと治療してあげるわよ!」
アマンダは堂々とそう言い放った。
一方その頃、ずっとクラウドの相手をし続けているマリウスは、体力的にそろそろ限界を迎えようとしていた。
だがこれは、大健闘した部類だと言って良いだろう。カーミラに操られた状態であるとはいえ、あの一騎当千を誇るクラウドが相手なのだから。
北の砦で鍛え直された経験は、伊達じゃなかったということの証明とも言えよう。だがしかし、まだまだ付け焼き刃のような状態の今のマリウスでは、これ以上クラウドを抑え込むのは難しそうだった。
「マリウス殿下! 加勢します!」
するとそこに、大貴族のお歴々の一人が剣を抜いてマリウスの援護に回った。
「済まん! 頼む!」
その隙にマリウスは、ちょっとだけ息を整えることが出来た。
「マリウス殿下! 少しお休みください!」
「我々がクラウド殿下のお相手を努めますので!」
更に大貴族のお歴々が続々と剣を抜いて参戦を表明した。
「卿ら、ありがとう! 恩に着る!」
マリウスはクラウドの相手を大貴族のお歴々に任せ、改めて王宮の広場前を俯瞰した。
手前側では集まった民衆の内、様子がおかしくなった者達を必死に抑え込もうとする近衛騎士団の団員達の姿が確認できた。
王宮の奥側では、昏睡状態から覚めたらしい団員達を、近衛騎士団長率いる団員達がやはり必死になって抑え込もうとしている。
王宮の広場前は修羅場のような状況を呈していた。唯一の救いはマリウスとクラウドの父親である、国王リヒャルトの姿がここに無いということぐらいか。恐らくは、王宮の奥の方に避難したのだろう。
「ミランダ...頼む...早くしてくれ...」
マリウスは初めて弱音を吐いた。
◇◇◇
「カーミラァ~! 待てぇ~! 逃げんなぁ~!」
そのミランダとカーミラの追い掛けっこはまだ続いていた。なにせチョコマカと、人垣の間を縫うようにしてカーミラが逃げ回るものだから、ミランダとしても手の打ちようが無い。
オマケにカーミラは、恐らくわざと人混みの多い場所を選んでそこを逃走ルートにしているので、人垣が途切れることはほとんど無かった。
「うがぁ~! あぁもう~! イライラするぅ~!」
ミランダのストレスは頂点に達しようとしていた。
「ミランダァ~!」
その時、ポチに乗ったアマンダが追い付いて来た。
「えっ!? ママ!?」
いきなり登場したアマンダに面食らったミランダだったが、
「ごめんね~! ごめんね~! ごめんねぇ~!」
ポイポイと人垣を蹴散らしながらやって来るアマンダとポチの姿に対しては、
「ちょ! ちょっとママ! そ、そんな乱暴な!」
さすがに苦言を呈した。
「大丈夫よ! ポチには優しく蹴散らしなさいって言いくるめてあるから! それでも怪我をした人には後でちゃんと治療してあげるわよ!」
アマンダは堂々とそう言い放った。
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